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535.クリスさんとカーディの反応
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しみじみと噛み締めるようにそうお礼を言ってくれたルセフさんの後ろに、口を押さえられたままのファリーマさんがキラキラと目を輝かせているのが見える。
ウォルターさんはまじかよと言いたげな、ちょっと引いた顔だったけどね。ブレイズはそんな二人の反応を見て、楽し気に笑っていた。
また後で時間があったら、ファリーマさんに魔法の事教えてもらおう。
「あーそれでな…その前提がちゃんとあるんだったら、見知らぬ相手と話してるアキトの声を聞いたら相手が精霊だと思うかもしれないと思ったんだよ。姿も見えない声も見えない相手と話してるなら猶更な」
依頼中なのに俺がハルの存在を一切感じなかったって事は、幽霊には気配探知も効かないんだろうしなと苦笑している。
「あーそう言われれば…まあ、確かに?」
納得した様子のウォルターさんをじっと見つめていたブレイズは、不意にぷいっと視線を反らした。
「へー、さっきまで俺のこと想像力が無いとか馬鹿にしてたのに…?リーダーの説明なら?納得するんだ?へー?」
「ああ、悪かったって、ブレイズ」
「謝り方が軽い!全然悪いと思ってない言い方だよね、それ!」
「そんな事無いって」
すっかり拗ねてしまったらしいブレイズに、ウォルターさんは慌てて近づいて行くと機嫌を取りだした。仲良しだな、二人とも。一方抑え込まれていた口を解放されたファリーマさんは、何事も無かったかのように俺達の方へスタスタと近づいてきた。
「俺も、今の説明で納得いったよ」
「なあアキト、突然体質の事を話してくれたのは、さっきからやけに大人しかったブレイズの事を心配してくれたから…だよな?わざわざありがとうな」
ルセフさんはそう言うと、ぽふぽふと俺の頭に手を置くとそのまま優しく頭を撫で始めた。うーん、明らかにこども扱いされてるんだけど、ルセフさんの手はなんだか温かいから拒否したくならないんだよな。そう思ってされるがままになっていたら、ルセフさんは慌てて口を開いた。
「あ、ハル、これはそういうのじゃないからな?」
「ああ、分かってるよ。ルセフとウォルター、ファリーマはブレイズとアキトを保護者目線で可愛がってるだけだって、俺はちゃんと知ってるからな」
別に頭を撫でるぐらいなら怒り出したりはしないさ。アキトも喜んでるみたいだしなと、ハルは笑って答えた。
ルセフさんはホッと息を吐いてから、真剣な表情で口を開いた。
「俺達四人は体質の話、ちゃんと秘密にするからな。アキトもハルも安心してくれ」
「ありがとうございます」
「ああ、ありがとう」
まだブレイズとウォルターさんはじゃれ合ってるみたいだけど、どうやら四人とも俺の体質の事まで丸ごと受け入れてくれたみたいだ。
「あの…クリスさんとカーディは?俺の体質の事、受け入れられない…ですか?」
二人ともさっきからやけに静かだからずっと気になってたんだよね。クリスさんはハルの話した事が全部嘘ってわけじゃないでしょうって言ってくれてたけど、カーディなんて俺の体質について話し出してからまだ一言も喋ってないんだよな。
俺は意を決してクリスさんとカーディにそう尋ねた。
「いえ、あの…私は何の問題もないんですが…えーっと、カーディは…その…」
言い淀むクリスさんの隣に座っているカーディは、うつむいたままで何も答えない。
幽霊が見える俺の体質が、受け入れられないのかな。それともそんな体質があるわけが無いって信じてもらえなかった?気持ち悪いと思われてんだろうか?
ぐるぐると悩みだした俺の耳元で、ハルがそっと囁いた。
「アキト、あれこれ考える前に、カーディの顔見てごらん」
こそっと言われた言葉にゆっくりと近づいてそっと顔を覗き込んでみると、何故かカーディの顔色は真っ青になっていた。身体も小刻みに震えているしそれなのに汗もかいていて、明らかに普段のカーディとは様子が違っている。
「え、どうしたの!?カーディ!」
慌ててそう尋ねた俺の両手を、カーディの両手が縋るようにぎゅっと握りしめた。痛いぐらいの力がこもった手に、余計に何があったのかと心配になってしまう。ブレイズじゃなくてカーディの方が体調不良だったの?
「ア、アキト…一つ聞いて良いか…?」
蚊の鳴く用な小さな声で、カーディは呟いた。いつもの明るいカーディとは違う様子に、俺はすぐに答えた。
「え、うん、なんでも聞いて?」
「こ、この近くに幽霊はいたりする…か?」
どんどん小さくなっていく声は、それでもかろうじて俺の耳に届いた。言われるままにきょろきょろと周りを見渡してみたけど、見える範囲には幽霊も人も魔物もいない。
「ううん、何もいないよ?」
「そっか…いない…そうなのか…」
はーっと思いっきり息を吐いたカーディは、俺の手を話すとそのままぐったりとクリスさんにもたれかかってしまった。体格差があるから結構な体重がかかってると思うんだけど、クリスさんは満面の笑みだった。
ウォルターさんはまじかよと言いたげな、ちょっと引いた顔だったけどね。ブレイズはそんな二人の反応を見て、楽し気に笑っていた。
また後で時間があったら、ファリーマさんに魔法の事教えてもらおう。
「あーそれでな…その前提がちゃんとあるんだったら、見知らぬ相手と話してるアキトの声を聞いたら相手が精霊だと思うかもしれないと思ったんだよ。姿も見えない声も見えない相手と話してるなら猶更な」
依頼中なのに俺がハルの存在を一切感じなかったって事は、幽霊には気配探知も効かないんだろうしなと苦笑している。
「あーそう言われれば…まあ、確かに?」
納得した様子のウォルターさんをじっと見つめていたブレイズは、不意にぷいっと視線を反らした。
「へー、さっきまで俺のこと想像力が無いとか馬鹿にしてたのに…?リーダーの説明なら?納得するんだ?へー?」
「ああ、悪かったって、ブレイズ」
「謝り方が軽い!全然悪いと思ってない言い方だよね、それ!」
「そんな事無いって」
すっかり拗ねてしまったらしいブレイズに、ウォルターさんは慌てて近づいて行くと機嫌を取りだした。仲良しだな、二人とも。一方抑え込まれていた口を解放されたファリーマさんは、何事も無かったかのように俺達の方へスタスタと近づいてきた。
「俺も、今の説明で納得いったよ」
「なあアキト、突然体質の事を話してくれたのは、さっきからやけに大人しかったブレイズの事を心配してくれたから…だよな?わざわざありがとうな」
ルセフさんはそう言うと、ぽふぽふと俺の頭に手を置くとそのまま優しく頭を撫で始めた。うーん、明らかにこども扱いされてるんだけど、ルセフさんの手はなんだか温かいから拒否したくならないんだよな。そう思ってされるがままになっていたら、ルセフさんは慌てて口を開いた。
「あ、ハル、これはそういうのじゃないからな?」
「ああ、分かってるよ。ルセフとウォルター、ファリーマはブレイズとアキトを保護者目線で可愛がってるだけだって、俺はちゃんと知ってるからな」
別に頭を撫でるぐらいなら怒り出したりはしないさ。アキトも喜んでるみたいだしなと、ハルは笑って答えた。
ルセフさんはホッと息を吐いてから、真剣な表情で口を開いた。
「俺達四人は体質の話、ちゃんと秘密にするからな。アキトもハルも安心してくれ」
「ありがとうございます」
「ああ、ありがとう」
まだブレイズとウォルターさんはじゃれ合ってるみたいだけど、どうやら四人とも俺の体質の事まで丸ごと受け入れてくれたみたいだ。
「あの…クリスさんとカーディは?俺の体質の事、受け入れられない…ですか?」
二人ともさっきからやけに静かだからずっと気になってたんだよね。クリスさんはハルの話した事が全部嘘ってわけじゃないでしょうって言ってくれてたけど、カーディなんて俺の体質について話し出してからまだ一言も喋ってないんだよな。
俺は意を決してクリスさんとカーディにそう尋ねた。
「いえ、あの…私は何の問題もないんですが…えーっと、カーディは…その…」
言い淀むクリスさんの隣に座っているカーディは、うつむいたままで何も答えない。
幽霊が見える俺の体質が、受け入れられないのかな。それともそんな体質があるわけが無いって信じてもらえなかった?気持ち悪いと思われてんだろうか?
ぐるぐると悩みだした俺の耳元で、ハルがそっと囁いた。
「アキト、あれこれ考える前に、カーディの顔見てごらん」
こそっと言われた言葉にゆっくりと近づいてそっと顔を覗き込んでみると、何故かカーディの顔色は真っ青になっていた。身体も小刻みに震えているしそれなのに汗もかいていて、明らかに普段のカーディとは様子が違っている。
「え、どうしたの!?カーディ!」
慌ててそう尋ねた俺の両手を、カーディの両手が縋るようにぎゅっと握りしめた。痛いぐらいの力がこもった手に、余計に何があったのかと心配になってしまう。ブレイズじゃなくてカーディの方が体調不良だったの?
「ア、アキト…一つ聞いて良いか…?」
蚊の鳴く用な小さな声で、カーディは呟いた。いつもの明るいカーディとは違う様子に、俺はすぐに答えた。
「え、うん、なんでも聞いて?」
「こ、この近くに幽霊はいたりする…か?」
どんどん小さくなっていく声は、それでもかろうじて俺の耳に届いた。言われるままにきょろきょろと周りを見渡してみたけど、見える範囲には幽霊も人も魔物もいない。
「ううん、何もいないよ?」
「そっか…いない…そうなのか…」
はーっと思いっきり息を吐いたカーディは、俺の手を話すとそのままぐったりとクリスさんにもたれかかってしまった。体格差があるから結構な体重がかかってると思うんだけど、クリスさんは満面の笑みだった。
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