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530.停留場で休憩
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「混雑に巻き込まれずに無事にイーシャルからは離れられましたから、そろそろ一度休憩にしましょうか?」
しばらく街道を進んだ所で、クリスさんは俺達に向かってそう提案した。
「賛成!腹も減ってきたし、皆で飯にしようぜ!」
カーディが明るく笑って賛成すれば、クリスさんの視線がちらりと俺達の方へと流れてきた。やっぱり俺達の意見も聞いてくれるんだな。もちろん文句なんてないからと俺達がすぐに笑顔で頷けば、クリスさんは壁にある小さな小窓をこんこんと軽く叩いた。
今クリスさんが叩いたあの小窓は、ルセフさんが座っている御者席に繋がってるんだ。不自然な位置にある小窓が気になって見つめてたら、ハルがこっそり教えてくれたんだけどね。
クリスさんのノックの音に反応して、向こう側から小窓を覆っていた扉が開かれる。ルセフさんはまっすぐに前を向いたまま、そっと口を開いた。
「どうかしたか?」
「無事にイーシャルからは離れられましたから、そろそろ休憩にしようかと思ったんですが…」
クリスさんの提案に、ルセフさんは少し考えてから答える。
「分かった。この辺りでも休憩程度なら出来ると思うけど、次の停留場でも良いか?」
「ええ、お願いします」
ルセフさんはクリスさんの答えを聞くなり、すぐに他のパーティーメンバーにハンドサインで指示を飛ばした。俺がパーティーに入れてもらった時もハンドサイン使ってたもんな。それにしても、ささっとハンドサインを飛ばす姿ってやっぱり格好良いな。俺の中の少年がワクワクしてる気がする。
ちなみに今俺達が走っている道は、来る時に使った徒歩の道じゃなくて馬車専用の道の方だ。
馬車がすれ違えるように作られた街道だからかなりの道幅があるんだけど、それでも道の真ん中でいきなり休憩なんてしたら当然通行の妨げになる。それを避けるためにわざわざ一定間隔で休憩のための停留場が作られてるそうだ。
高速のSAとかPAみたいだなーなんて考えている間に、馬車は停留場に流れるように停車した。
停留場には数台の馬車が停められるだけの広さがあったけど、今は俺達の馬車だけの貸し切り状態だ。他の馬車の乗客を気にしなくて良いならと、俺達は馬車の近くに集まり輪になって腰を下ろした。
クリスさんは自分の魔道収納鞄から全員分の昼食の包みを取り出すと、いそいそと皆の周りを回って配り始めた。
「はい、どうぞ」
「ああ、わざわざすまない。頂くよ、ありがとう」
ルセフさんは差し出された包みを大事そうに受けると、丁寧にお礼を口にする。
「うわっ…すっげー良い香り!」
ウォルターさんは包みからした香りに、嬉しそうに声をあげる。ちゃんとお礼を言えとルセフさんに怒られてたけどね。
「本当だ!これどこの店のだろう」
ファリーマさんはどうやらお店が気になるみたいだ。
「ああ、これは六番街の表通りに出てた屋台のですよ」
「あ、あのすっごい混んでたところ?」
「うーん、そこかどうかは分からないですが…確かに混んでましたね」
ふふと笑ったクリスさんに、ファリーマさんはありがとう大事に食べるよと笑みをこぼす。
「あ、ありがとう」
ブレイズはそう口にするとそっと包みを受け取って、ウォルターさんの隣に静かに腰を下ろした。もっと大喜びするかと思ってたんだけど、何だか元気が無いような気がする。出会った時はばっちり元気だったと思うんだけどな。
「ハルとアキトさんもどうぞ」
「ああ、ありがとう」
「ありがとうございます」
クリスさんの手から受け取った包みは、まだ温かかった。ハルはぼそりとさすがに良い魔道収納鞄使ってるなって呟いてたから、これはもしかして出来立ての熱さなのかな。
「はい、おまたせ、カーディ」
最後にカーディの分を渡したクリスさんはいそいそとカーディの隣に腰を下ろすと、自分の分の包みを開け始めた。
「あ、遠慮なくどうぞ。足りなければ追加もありますよ」
「「いただきます」」
ハルと二人で声を重ねて、俺達も包みを開いていく。中には半透明な生地に具材が包まれた、何とも不思議な食べ物が入っていた。見た事ないやつだと視線を向ければ、ハルも苦笑して首を振った。ハルも知らない料理なのか。
「あ、見た目は変わってるけど、これうまいぞ!」
物怖じせずに齧りついたらしいカーディは、笑顔を浮かべて歓声をあげる。カーディがそう言うならと俺もすぐに齧りついたんだけど、たしかにこれは美味しい。
想像以上にもちもち食感の生地の中に入っている具材は、細かく刻んだ何種類かの野菜と肉だった。生地の食感は全く違うけど、中の具材は肉まんみたいな感じだ。いや肉汁がたっぷりだから小籠包かな?
「うわっ、本当に美味しい!」
「あ、確かに。これは見ためからは想像できないぐらい食べやすい味だな」
ハルもかなり気に入ったみたいで、満面の笑みを浮かべている。うーん、ステーキと川魚串に次ぐ良い笑顔だな。
しばらく街道を進んだ所で、クリスさんは俺達に向かってそう提案した。
「賛成!腹も減ってきたし、皆で飯にしようぜ!」
カーディが明るく笑って賛成すれば、クリスさんの視線がちらりと俺達の方へと流れてきた。やっぱり俺達の意見も聞いてくれるんだな。もちろん文句なんてないからと俺達がすぐに笑顔で頷けば、クリスさんは壁にある小さな小窓をこんこんと軽く叩いた。
今クリスさんが叩いたあの小窓は、ルセフさんが座っている御者席に繋がってるんだ。不自然な位置にある小窓が気になって見つめてたら、ハルがこっそり教えてくれたんだけどね。
クリスさんのノックの音に反応して、向こう側から小窓を覆っていた扉が開かれる。ルセフさんはまっすぐに前を向いたまま、そっと口を開いた。
「どうかしたか?」
「無事にイーシャルからは離れられましたから、そろそろ休憩にしようかと思ったんですが…」
クリスさんの提案に、ルセフさんは少し考えてから答える。
「分かった。この辺りでも休憩程度なら出来ると思うけど、次の停留場でも良いか?」
「ええ、お願いします」
ルセフさんはクリスさんの答えを聞くなり、すぐに他のパーティーメンバーにハンドサインで指示を飛ばした。俺がパーティーに入れてもらった時もハンドサイン使ってたもんな。それにしても、ささっとハンドサインを飛ばす姿ってやっぱり格好良いな。俺の中の少年がワクワクしてる気がする。
ちなみに今俺達が走っている道は、来る時に使った徒歩の道じゃなくて馬車専用の道の方だ。
馬車がすれ違えるように作られた街道だからかなりの道幅があるんだけど、それでも道の真ん中でいきなり休憩なんてしたら当然通行の妨げになる。それを避けるためにわざわざ一定間隔で休憩のための停留場が作られてるそうだ。
高速のSAとかPAみたいだなーなんて考えている間に、馬車は停留場に流れるように停車した。
停留場には数台の馬車が停められるだけの広さがあったけど、今は俺達の馬車だけの貸し切り状態だ。他の馬車の乗客を気にしなくて良いならと、俺達は馬車の近くに集まり輪になって腰を下ろした。
クリスさんは自分の魔道収納鞄から全員分の昼食の包みを取り出すと、いそいそと皆の周りを回って配り始めた。
「はい、どうぞ」
「ああ、わざわざすまない。頂くよ、ありがとう」
ルセフさんは差し出された包みを大事そうに受けると、丁寧にお礼を口にする。
「うわっ…すっげー良い香り!」
ウォルターさんは包みからした香りに、嬉しそうに声をあげる。ちゃんとお礼を言えとルセフさんに怒られてたけどね。
「本当だ!これどこの店のだろう」
ファリーマさんはどうやらお店が気になるみたいだ。
「ああ、これは六番街の表通りに出てた屋台のですよ」
「あ、あのすっごい混んでたところ?」
「うーん、そこかどうかは分からないですが…確かに混んでましたね」
ふふと笑ったクリスさんに、ファリーマさんはありがとう大事に食べるよと笑みをこぼす。
「あ、ありがとう」
ブレイズはそう口にするとそっと包みを受け取って、ウォルターさんの隣に静かに腰を下ろした。もっと大喜びするかと思ってたんだけど、何だか元気が無いような気がする。出会った時はばっちり元気だったと思うんだけどな。
「ハルとアキトさんもどうぞ」
「ああ、ありがとう」
「ありがとうございます」
クリスさんの手から受け取った包みは、まだ温かかった。ハルはぼそりとさすがに良い魔道収納鞄使ってるなって呟いてたから、これはもしかして出来立ての熱さなのかな。
「はい、おまたせ、カーディ」
最後にカーディの分を渡したクリスさんはいそいそとカーディの隣に腰を下ろすと、自分の分の包みを開け始めた。
「あ、遠慮なくどうぞ。足りなければ追加もありますよ」
「「いただきます」」
ハルと二人で声を重ねて、俺達も包みを開いていく。中には半透明な生地に具材が包まれた、何とも不思議な食べ物が入っていた。見た事ないやつだと視線を向ければ、ハルも苦笑して首を振った。ハルも知らない料理なのか。
「あ、見た目は変わってるけど、これうまいぞ!」
物怖じせずに齧りついたらしいカーディは、笑顔を浮かべて歓声をあげる。カーディがそう言うならと俺もすぐに齧りついたんだけど、たしかにこれは美味しい。
想像以上にもちもち食感の生地の中に入っている具材は、細かく刻んだ何種類かの野菜と肉だった。生地の食感は全く違うけど、中の具材は肉まんみたいな感じだ。いや肉汁がたっぷりだから小籠包かな?
「うわっ、本当に美味しい!」
「あ、確かに。これは見ためからは想像できないぐらい食べやすい味だな」
ハルもかなり気に入ったみたいで、満面の笑みを浮かべている。うーん、ステーキと川魚串に次ぐ良い笑顔だな。
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