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494.二人のお勧めのお店
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「あ…お前のせいでハルさんとアキトさんの前で恥かいたじゃないか」
「は?俺のせいじゃなくてお前のせいだろ?」
まだまだ続きそうなやりとりを止めたのは、やっぱりハルだった。
「お前たち、そろそろ休憩時間も終わるんじゃないのか?」
ハッと言い合いを止めて顔を上げた二人は、揃って制服のポケットから時計の魔道具を取り出した。
「まだもうちょっとだけ大丈夫だな」
「時間超えてるかと思って焦った…ハルさん、教えてくれてありがとうございます」
「いや、気にするな」
「これからお二人はどうする予定なんですか?」
アッシュさんの言葉に、俺とハルは顔を見合わせた。
「どうしようね?」
「うーん、夕食でも食べてから帰ろうか?」
「そうだね、ちょっとお腹減ってきたし」
噴水広場の舞台で大興奮したからかなと思いながら答えると、ハルは笑ってティーさんとアッシュさんに視線を向けた。
「二人のお勧めの店、教えてくれないか?」
「え、俺達のお勧めで良いんですか?」
「イーシャルにはあまり詳しくないからな」
「そうですか」
どこをお勧めするべきかと真剣に悩んでくれる二人を、ハルは面白そうに笑ってみつめている。たまに見せるこういうちょっと悪戯っぽい笑顔も、ハルには似合うんだよなぁ。
「あ、あそこはどうだ?いや、でもな…」
不意に声を上げたティーさんだけど、そこまで口にしてから悩み始めてしまったみたいだ。ハルは笑ってティーさんに話しかける。
「文句なんて言わないから店名を言ってくれ」
「飯も酒も間違いなく美味いけど、あんまりお上品な店じゃないんだよ」
「ああ、俺もアキトもそういう店の方が好きだから大丈夫だぞ?」
「そっか!料理店マティウスって店なんだが」
嬉しそうに続けたティーさんだったけれど、ハルはちらりと俺を見てから口を開いた。まさかここでマティウスさんのお店が飛び出してくるとは思わなかったな。ティーさんもあの店の常連さんなのか。
「あー悪いけど昨日行ったから、そこ以外で頼む」
「ええー!?イーシャルに詳しくないって言いながらあの料理店マティウスに辿り着いたのかよ?」
「依頼人が行き着けの店だったらしくてな」
「あーあの一緒に街に入った二人か…」
あの美味しさを知ってくれてるのは嬉しいような、でもやっぱり俺が伝えたかったようなとティーさんはがっくりと肩を落としている。
「あのー俺からも提案したいと思った店があるんですけど、ハルさん、その前にいくつかアキトさんに質問しても良いですか?」
「ああ、アキトが良いなら良いぞ?」
さらりと俺の意思を確認してくれる辺りが、ハルだなぁ。
「はい、どうぞ?」
「えーではひとつめ。アキトさんって嫌いな食べ物あります?肉が無理ーとか魚が無理ーとかそういうのがあれば知りたいんですが」
「えーと、特に無いです」
実はこの世界特有の馴染みの無い香草でちょっと苦手かなー?ってのはあったんだけど、何回か食べてるうちに美味しく食べれるようになったんだよな。味覚って変わっていくものだよね。それともただ慣れたんだろうか。
この世界に来てから食べられないほど苦手な物にはまだあたった事が無いから、好き嫌いは無いと言えるだろう。
「では次、量はよく食べる方ですか?それとも小食ですか?」
「あ、結構食べます」
この世界の人は皆よく食べるからどの料理も結構多めなんだけど、俺も一人前で足りない事もたまにあるから結構食べる方だと思う。そうだよねとちらりと視線を向ければ、視線の意図に一瞬で気づいたハルは笑って頷いてくれた。
「最後にもうひとつだけ。さっきハルさんが言ってましたけど、お洒落なお店じゃなくても良いんですよね?」
「はい、お洒落さよりも…そうだなー温かい雰囲気の店が好き…だと思います」
考え考え答えた俺に、アッシュさんは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「うん、それなら俺のお勧めのお店は良いかもしれません」
「自信ありそうだな。何ていう店だ?」
「ピシェっていう串焼き屋です」
串焼きか。トライプールでメロウさんと相席したのも串焼き屋さんだったな。そんな風に思いだしていた俺は、続いたアッシュさんの言葉に驚いた。
「普通の串焼きよりも大き目の串に、塊の肉とかを刺して焼くんですよ」
「え、塊で…?」
思わず聞き返した俺に、アッシュさんはすぐに頷いてくれた。肉に野菜、果物、チーズ、川魚なんかも全部大きいままで焼いてから切り分けるらしい。何それ楽しそう。
「それは楽しそうだな」
「豪快な料理ですけど、味付けは繊細なんですよー」
「アキト、どう思う?」
聞くまでも無いけどと言いたげなハルの質問に、俺は即答で答えた。
「そこ行ってみたいです!」
「は?俺のせいじゃなくてお前のせいだろ?」
まだまだ続きそうなやりとりを止めたのは、やっぱりハルだった。
「お前たち、そろそろ休憩時間も終わるんじゃないのか?」
ハッと言い合いを止めて顔を上げた二人は、揃って制服のポケットから時計の魔道具を取り出した。
「まだもうちょっとだけ大丈夫だな」
「時間超えてるかと思って焦った…ハルさん、教えてくれてありがとうございます」
「いや、気にするな」
「これからお二人はどうする予定なんですか?」
アッシュさんの言葉に、俺とハルは顔を見合わせた。
「どうしようね?」
「うーん、夕食でも食べてから帰ろうか?」
「そうだね、ちょっとお腹減ってきたし」
噴水広場の舞台で大興奮したからかなと思いながら答えると、ハルは笑ってティーさんとアッシュさんに視線を向けた。
「二人のお勧めの店、教えてくれないか?」
「え、俺達のお勧めで良いんですか?」
「イーシャルにはあまり詳しくないからな」
「そうですか」
どこをお勧めするべきかと真剣に悩んでくれる二人を、ハルは面白そうに笑ってみつめている。たまに見せるこういうちょっと悪戯っぽい笑顔も、ハルには似合うんだよなぁ。
「あ、あそこはどうだ?いや、でもな…」
不意に声を上げたティーさんだけど、そこまで口にしてから悩み始めてしまったみたいだ。ハルは笑ってティーさんに話しかける。
「文句なんて言わないから店名を言ってくれ」
「飯も酒も間違いなく美味いけど、あんまりお上品な店じゃないんだよ」
「ああ、俺もアキトもそういう店の方が好きだから大丈夫だぞ?」
「そっか!料理店マティウスって店なんだが」
嬉しそうに続けたティーさんだったけれど、ハルはちらりと俺を見てから口を開いた。まさかここでマティウスさんのお店が飛び出してくるとは思わなかったな。ティーさんもあの店の常連さんなのか。
「あー悪いけど昨日行ったから、そこ以外で頼む」
「ええー!?イーシャルに詳しくないって言いながらあの料理店マティウスに辿り着いたのかよ?」
「依頼人が行き着けの店だったらしくてな」
「あーあの一緒に街に入った二人か…」
あの美味しさを知ってくれてるのは嬉しいような、でもやっぱり俺が伝えたかったようなとティーさんはがっくりと肩を落としている。
「あのー俺からも提案したいと思った店があるんですけど、ハルさん、その前にいくつかアキトさんに質問しても良いですか?」
「ああ、アキトが良いなら良いぞ?」
さらりと俺の意思を確認してくれる辺りが、ハルだなぁ。
「はい、どうぞ?」
「えーではひとつめ。アキトさんって嫌いな食べ物あります?肉が無理ーとか魚が無理ーとかそういうのがあれば知りたいんですが」
「えーと、特に無いです」
実はこの世界特有の馴染みの無い香草でちょっと苦手かなー?ってのはあったんだけど、何回か食べてるうちに美味しく食べれるようになったんだよな。味覚って変わっていくものだよね。それともただ慣れたんだろうか。
この世界に来てから食べられないほど苦手な物にはまだあたった事が無いから、好き嫌いは無いと言えるだろう。
「では次、量はよく食べる方ですか?それとも小食ですか?」
「あ、結構食べます」
この世界の人は皆よく食べるからどの料理も結構多めなんだけど、俺も一人前で足りない事もたまにあるから結構食べる方だと思う。そうだよねとちらりと視線を向ければ、視線の意図に一瞬で気づいたハルは笑って頷いてくれた。
「最後にもうひとつだけ。さっきハルさんが言ってましたけど、お洒落なお店じゃなくても良いんですよね?」
「はい、お洒落さよりも…そうだなー温かい雰囲気の店が好き…だと思います」
考え考え答えた俺に、アッシュさんは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「うん、それなら俺のお勧めのお店は良いかもしれません」
「自信ありそうだな。何ていう店だ?」
「ピシェっていう串焼き屋です」
串焼きか。トライプールでメロウさんと相席したのも串焼き屋さんだったな。そんな風に思いだしていた俺は、続いたアッシュさんの言葉に驚いた。
「普通の串焼きよりも大き目の串に、塊の肉とかを刺して焼くんですよ」
「え、塊で…?」
思わず聞き返した俺に、アッシュさんはすぐに頷いてくれた。肉に野菜、果物、チーズ、川魚なんかも全部大きいままで焼いてから切り分けるらしい。何それ楽しそう。
「それは楽しそうだな」
「豪快な料理ですけど、味付けは繊細なんですよー」
「アキト、どう思う?」
聞くまでも無いけどと言いたげなハルの質問に、俺は即答で答えた。
「そこ行ってみたいです!」
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