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477.屋台の通り
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俺とハルは手を繋いだまま、たくさんの露店で賑わっている通りを抜けた。次はどこに行こうと考える間も無く、気づけば周りにはたくさんの屋台やお店が並んでいた。
イーシャルの街全体が会場になると聞いてはいたけど、これは想像していた以上の規模だな。
さっきまで歩いていた道には雑貨や日持ちのする食品・服やアクセサリーなんかのお店が多かったんだけど、ここからは一気に料理や食べ物のお店が増えるみたいだ。ちゃんと色々考えて配置されてるんだろうな。
ここまで街を上げてのお祭りなんて、俺の人生で初だと思う。
「この辺りからは屋台が多そうだね」
ハルの優しい声が、ふわりと上から振って来る。
「うん、あ、でも果物とかも売ってるみたいだね」
「ほんとだ。なんだろ、料理とか食材を集めてるって感じなのかな」
俺も初めてだから分からないやとハルが笑ってくれるのが、何だかすごく嬉しい。二人で手探りでお祭りを楽しんでるって気がするからかな。
のんびりと話しながらキョロキョロと視線を巡らせてみると、周りは賑やかで活気に満ちていて、売られている食材や料理はどれもカラフルだ。なんだかちょっと船着き場の市場を思いだす雰囲気だな。あれよりも規模も人の数も段違いだけど。
屋台の方を見ながら人混みの中を歩き出すと、そこかしこから食欲を刺激する良い香りが漂ってくる。
「良い香り!」
「ああ、確かに良い香りだな」
ジャムのお店を始めとして、色んな所でちょこちょこお試しにって試食を貰ったんだよね。だから余裕で色々なお店を見ながら買い物を楽しんでたんだけど、この香りのせいで一気にお腹が空いてきた気がする。
「ちょっとお腹空いてきたかも」
「結局朝食もちゃんと食べてないからね」
「うん」
「アキト、気になるお店があったら言ってね?」
にっこり笑ってそう言ってくれたハルの顔を、俺はじっと見上げた。
「うん、ちゃんと言うよ。ちゃんと言うけど、ハルも食べたいって思うのがあったらちゃんと俺に教えてね?」
ハルは優しいからさ、俺が食べたい物で良いとか思って、ちゃんと自分の意見を言わない気がするんだよね。だから先周りして念を押してみたんだけど、ハルは俺の言葉を聞いてくしゃりと顔を歪めてから笑顔を浮かべた。あ、これ俺が何も言わなかったら絶対言ってくれなかったやつだ。
「うん、分かった。ちゃんと言う」
約束を取り付けた俺は、上機嫌で屋台へと視線を戻した。
トリク祭りは収穫のお祭りだと言うだけあって、どうやら料理を出す屋台側も気合の入り方が違うみたいだ。
「うちのシャルの果実水は一味違うよー!どこが違うって、飲めばわかるよ!」
元気いっぱいな女性店員が叫ぶと、買った!と叫び返すお客さんの声が聞こえる。
「普段は大通りでしか食べれないトレーシーのあの味が食べられる!」
ダンディな男性のよく通る美声に、道行く人がトレーシーの味!?と騒いでいるのが聞こえる。
「今日はお祭り用に特別にスパイスを変えてあるからね、ぜひ試してってくれ!」
お爺さんの張り上げた声に、普段から美味いのにあれ以上かと常連らしき人が叫び返す。
「うちのスープはトリクの花の香り付きだよ!トリク祭りだけの味!」
スープにトリクの花?と疑っていたお客さんが、一口飲ませて貰うなり財布を出していたりと中々に賑やかだ。
飛び交う呼び込みの声とそれに答えるお客さんの声を聞きながら、俺は自然と笑みを浮かべて道を歩いていた。
「楽しそうだね、アキト」
「うん、楽しい」
この賑やかな感じが好きなのももちろんあるんだけどさ、こんな風に手を繋いでお祭りでデートをする日が来るなんて、想像した事も無かったから。
男同士で手を繋いで歩いているのに誰も俺達に注目しないどころか、お店で買い物をすればさらりと伴侶候補なのかいとお祝いしてもらえたりするんだよ。まるで夢みたいな時間だ。
「あ、アキト…」
「ん?」
ハルが少し恥ずかしそうに俺の手をくいっと引いた。
「あの屋台、寄って良いかな…?」
さっきした俺との約束をちゃんと守ってくれたんだ。
「もちろん!」
ちなみにハルが食べたいと主張したのは、ステーキっぽい肉の串焼きだったよ。スパイスが効いていて、すっごく美味しかった。
イーシャルの街全体が会場になると聞いてはいたけど、これは想像していた以上の規模だな。
さっきまで歩いていた道には雑貨や日持ちのする食品・服やアクセサリーなんかのお店が多かったんだけど、ここからは一気に料理や食べ物のお店が増えるみたいだ。ちゃんと色々考えて配置されてるんだろうな。
ここまで街を上げてのお祭りなんて、俺の人生で初だと思う。
「この辺りからは屋台が多そうだね」
ハルの優しい声が、ふわりと上から振って来る。
「うん、あ、でも果物とかも売ってるみたいだね」
「ほんとだ。なんだろ、料理とか食材を集めてるって感じなのかな」
俺も初めてだから分からないやとハルが笑ってくれるのが、何だかすごく嬉しい。二人で手探りでお祭りを楽しんでるって気がするからかな。
のんびりと話しながらキョロキョロと視線を巡らせてみると、周りは賑やかで活気に満ちていて、売られている食材や料理はどれもカラフルだ。なんだかちょっと船着き場の市場を思いだす雰囲気だな。あれよりも規模も人の数も段違いだけど。
屋台の方を見ながら人混みの中を歩き出すと、そこかしこから食欲を刺激する良い香りが漂ってくる。
「良い香り!」
「ああ、確かに良い香りだな」
ジャムのお店を始めとして、色んな所でちょこちょこお試しにって試食を貰ったんだよね。だから余裕で色々なお店を見ながら買い物を楽しんでたんだけど、この香りのせいで一気にお腹が空いてきた気がする。
「ちょっとお腹空いてきたかも」
「結局朝食もちゃんと食べてないからね」
「うん」
「アキト、気になるお店があったら言ってね?」
にっこり笑ってそう言ってくれたハルの顔を、俺はじっと見上げた。
「うん、ちゃんと言うよ。ちゃんと言うけど、ハルも食べたいって思うのがあったらちゃんと俺に教えてね?」
ハルは優しいからさ、俺が食べたい物で良いとか思って、ちゃんと自分の意見を言わない気がするんだよね。だから先周りして念を押してみたんだけど、ハルは俺の言葉を聞いてくしゃりと顔を歪めてから笑顔を浮かべた。あ、これ俺が何も言わなかったら絶対言ってくれなかったやつだ。
「うん、分かった。ちゃんと言う」
約束を取り付けた俺は、上機嫌で屋台へと視線を戻した。
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「うちのシャルの果実水は一味違うよー!どこが違うって、飲めばわかるよ!」
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「普段は大通りでしか食べれないトレーシーのあの味が食べられる!」
ダンディな男性のよく通る美声に、道行く人がトレーシーの味!?と騒いでいるのが聞こえる。
「今日はお祭り用に特別にスパイスを変えてあるからね、ぜひ試してってくれ!」
お爺さんの張り上げた声に、普段から美味いのにあれ以上かと常連らしき人が叫び返す。
「うちのスープはトリクの花の香り付きだよ!トリク祭りだけの味!」
スープにトリクの花?と疑っていたお客さんが、一口飲ませて貰うなり財布を出していたりと中々に賑やかだ。
飛び交う呼び込みの声とそれに答えるお客さんの声を聞きながら、俺は自然と笑みを浮かべて道を歩いていた。
「楽しそうだね、アキト」
「うん、楽しい」
この賑やかな感じが好きなのももちろんあるんだけどさ、こんな風に手を繋いでお祭りでデートをする日が来るなんて、想像した事も無かったから。
男同士で手を繋いで歩いているのに誰も俺達に注目しないどころか、お店で買い物をすればさらりと伴侶候補なのかいとお祝いしてもらえたりするんだよ。まるで夢みたいな時間だ。
「あ、アキト…」
「ん?」
ハルが少し恥ずかしそうに俺の手をくいっと引いた。
「あの屋台、寄って良いかな…?」
さっきした俺との約束をちゃんと守ってくれたんだ。
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