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410.甲板で二人きり
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手を繋いだまま食堂を出ると、ハルは俺を見つめて悪戯っぽく尋ねてきた。
「それで、アキトは俺をどこに連れていってくれるのかな?」
「えーっと…あ、あっち!」
カーディが教えてくれた階段は、本当に食堂の真向いに位置していた。うん、これならすこしも迷わずにハルを案内できそうだ。折角まかせてくれたのに役目を果たせないなんて嫌だもんな。
ゆっくりと階段を上りきると、そこには繊細な彫刻が施された大きなドアがあった。このドアであってるよね?少しだけ不安になりながらも、俺は恐る恐る手を伸ばした。ゆっくりとノブを回せば、そのドアは重厚な見た目に反してするりと軽く開いた。
一気に開けた視界に飛び込んできたのは、雲一つない青空と、朝日に照らされた美しい森の木々、そしてどこまでも続いているように思える壮大な川の流れだった。
「うわー!すごい!すごいね!」
ドアから見える景色に思わずはしゃいでしまったけれど、ちらりと視線を向ければハルも大きく目を見開いてるから感動してくれたみたいだ。
「ああ、これはすごいな!」
「ここが目的地だよ。甲板が解放されてるってさっきカーディに教えてもらったんだ。クリスさんとカーディは朝食前に来たんだって」
思い出作りにお勧めされたんだという話は、なんだか恥ずかしくて口にはできなかった。
「これは確かに一見の価値があるね」
案内ありがとうと言ってくれたハルは、優しい笑みを浮かべていた。
「ねえ、アキト。折角だし外に出てみようか?解放されてるなら問題無いよね?」
「うんっ!出てみたいっ!」
もっと綺麗に景色が見れる場所もあるかもしれない。そう思って俺はハルの提案に飛びついた。
二人で手を繋いだままドアから一歩外へと足を踏み出せば、遮るもののない太陽の日差しが容赦なく照りつけてくる。今日も暑い日になりそうだ。その上甲板の上は、思った以上に風が強いみたいだ。髪の毛がぶわっとひるがえって、おでこが全開になってしまう。
「うわー!」
「アキト、あそこの手すりの所まで行こう」
俺は予想外の強風にあおられてただ慌てているだけだったのに、ハルは周りを見渡すと冷静にそう伝えてくる。力強い手に引っ張られるようにして、何とか手すりの所まで辿り着いた。
「風、強いねっ!」
「うん、すごい風だ!」
風の音がうるさいからと大きな声で話しかければ、ハルも同じくらい大きな声で答えてくれた。
あれ、これってもしかして、レアなハルの姿が見れるチャンスなのかな?
慌ててハルの方をちらりと伺ってみれば、俺と同じく完全に前髪がめくれあがっておでこが出ていた。元々彫りの深い整った顔立ちだからか、おでこが出てても格好良いのがずるいよね。俺は何だかこどもっぽくなる気がするんだけど。
思わずじっと見つめてると、不意に風に煽られていた髪の毛をハルの手が無造作にかき上げた。
俺は思わず息をのんだ。何、今の、格好良すぎない?いや、いつもハルは格好良いなとは思ってるんだよ。思ってるんだけどさ、今のその仕草はちょっとやばかった。
こんなの見せられたら、誰だってハルの事好きになっちゃうんじゃないかな。そんな事を思って慌てて周りを見渡してみたけれど、甲板にいるのはどうやら俺達だけみたいだ。ちょっとだけホッとしてしまった自分に苦笑が漏れる。
「ねえアキト、何だか顔赤くない?暑い?」
日差しの強さを気にしてかそう声をかけてくれたハルは、腕輪を軽く触りながらここに飲み物も持ってるけど何か飲む?と聞いてくれた。
「あ、飲み物は無くて大丈夫!」
「そう?」
「えーっとね、暑いとかじゃなくて…その…髪の毛をかき上げてたハルが格好良すぎて」
「え、そうなの?それは嬉しいな」
これは褒められ慣れてる人の反応だななんて考えていると、ハルはお礼を口にしながら、自然と立ち位置を変えた。それだけで俺に向かって吹いてくる風が一気に減った。
あ、これ俺の事を風から守るために位置を変えてくれたのか。うう、ハルって見た目だけじゃなくて中身まで男前なんだよなぁ。
体格差のおかげで風の影響はほとんどハルが遮ってくれる。その分ハルは風の影響をすっごく受けてるんだけどね。そんなハルは、楽しそうに俺の髪を手櫛で整えてくれている。自分の髪は風に吹かれるがままなのにな。
その優しい手つきと見下ろしてくる甘い瞳に、愛されてるなぁとしみじみ実感してしまった。
「それで、アキトは俺をどこに連れていってくれるのかな?」
「えーっと…あ、あっち!」
カーディが教えてくれた階段は、本当に食堂の真向いに位置していた。うん、これならすこしも迷わずにハルを案内できそうだ。折角まかせてくれたのに役目を果たせないなんて嫌だもんな。
ゆっくりと階段を上りきると、そこには繊細な彫刻が施された大きなドアがあった。このドアであってるよね?少しだけ不安になりながらも、俺は恐る恐る手を伸ばした。ゆっくりとノブを回せば、そのドアは重厚な見た目に反してするりと軽く開いた。
一気に開けた視界に飛び込んできたのは、雲一つない青空と、朝日に照らされた美しい森の木々、そしてどこまでも続いているように思える壮大な川の流れだった。
「うわー!すごい!すごいね!」
ドアから見える景色に思わずはしゃいでしまったけれど、ちらりと視線を向ければハルも大きく目を見開いてるから感動してくれたみたいだ。
「ああ、これはすごいな!」
「ここが目的地だよ。甲板が解放されてるってさっきカーディに教えてもらったんだ。クリスさんとカーディは朝食前に来たんだって」
思い出作りにお勧めされたんだという話は、なんだか恥ずかしくて口にはできなかった。
「これは確かに一見の価値があるね」
案内ありがとうと言ってくれたハルは、優しい笑みを浮かべていた。
「ねえ、アキト。折角だし外に出てみようか?解放されてるなら問題無いよね?」
「うんっ!出てみたいっ!」
もっと綺麗に景色が見れる場所もあるかもしれない。そう思って俺はハルの提案に飛びついた。
二人で手を繋いだままドアから一歩外へと足を踏み出せば、遮るもののない太陽の日差しが容赦なく照りつけてくる。今日も暑い日になりそうだ。その上甲板の上は、思った以上に風が強いみたいだ。髪の毛がぶわっとひるがえって、おでこが全開になってしまう。
「うわー!」
「アキト、あそこの手すりの所まで行こう」
俺は予想外の強風にあおられてただ慌てているだけだったのに、ハルは周りを見渡すと冷静にそう伝えてくる。力強い手に引っ張られるようにして、何とか手すりの所まで辿り着いた。
「風、強いねっ!」
「うん、すごい風だ!」
風の音がうるさいからと大きな声で話しかければ、ハルも同じくらい大きな声で答えてくれた。
あれ、これってもしかして、レアなハルの姿が見れるチャンスなのかな?
慌ててハルの方をちらりと伺ってみれば、俺と同じく完全に前髪がめくれあがっておでこが出ていた。元々彫りの深い整った顔立ちだからか、おでこが出てても格好良いのがずるいよね。俺は何だかこどもっぽくなる気がするんだけど。
思わずじっと見つめてると、不意に風に煽られていた髪の毛をハルの手が無造作にかき上げた。
俺は思わず息をのんだ。何、今の、格好良すぎない?いや、いつもハルは格好良いなとは思ってるんだよ。思ってるんだけどさ、今のその仕草はちょっとやばかった。
こんなの見せられたら、誰だってハルの事好きになっちゃうんじゃないかな。そんな事を思って慌てて周りを見渡してみたけれど、甲板にいるのはどうやら俺達だけみたいだ。ちょっとだけホッとしてしまった自分に苦笑が漏れる。
「ねえアキト、何だか顔赤くない?暑い?」
日差しの強さを気にしてかそう声をかけてくれたハルは、腕輪を軽く触りながらここに飲み物も持ってるけど何か飲む?と聞いてくれた。
「あ、飲み物は無くて大丈夫!」
「そう?」
「えーっとね、暑いとかじゃなくて…その…髪の毛をかき上げてたハルが格好良すぎて」
「え、そうなの?それは嬉しいな」
これは褒められ慣れてる人の反応だななんて考えていると、ハルはお礼を口にしながら、自然と立ち位置を変えた。それだけで俺に向かって吹いてくる風が一気に減った。
あ、これ俺の事を風から守るために位置を変えてくれたのか。うう、ハルって見た目だけじゃなくて中身まで男前なんだよなぁ。
体格差のおかげで風の影響はほとんどハルが遮ってくれる。その分ハルは風の影響をすっごく受けてるんだけどね。そんなハルは、楽しそうに俺の髪を手櫛で整えてくれている。自分の髪は風に吹かれるがままなのにな。
その優しい手つきと見下ろしてくる甘い瞳に、愛されてるなぁとしみじみ実感してしまった。
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