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409.思い出作り
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見た目も食材も豪華なのに味は繊細で優しいというちょっと不思議な朝食を、俺達は四人で堪能した。
食事をしながらの話題は、それはもう色々だった。四人揃うとぽんぽんと予想外の方向に話題が飛んでいったりするんだよね。でもそれもまた楽しい時間だった。
二人は何度も何度もお祝いを言ってくれたし、実際に伴侶になる前に決めておいた方が良い事とかもサラリと教えてくれた。
「「ごちそうさまでした」」
「さすがに美味しかったですね」
「ああ、今日のもすごくうまかったな」
食事が終わるタイミングをはかって運ばれてきたのは、花の香りのする温かいお茶だった。今までに飲んだことの無いお茶だったけど、控え目な花の香りだからか飲みやすくて美味しかった。俺達はお茶を楽しみながら、のんびりと時間を過ごしていた。
「今日は昼頃には下船だったよな?」
「ええ、お昼前には着く予定だって言ってましたね」
「昼食は下りてから取るとして、移動方法はどうする?」
「私は馬車に乗っても良いかと思っていたんですが」
「でも乗合は何かあった時に危険じゃないかな?」
ハルとクリスさんは真剣な顔で、そんな風に情報交換を始めていた。残念ながら、俺はあまり役に立てそうにない話題だな。
「なあなあ、アキト」
「ん?どうしたの?カーディ」
こっそりと声をかけてきたカーディに、俺も思わず声をひそめて返事を返す。
「下船までまだ時間があるからさ、もし良かったら二人で船の甲板行ってきたらどうだ?」
「甲板?」
「出られるって聞いて俺達も朝食前に行ってみたんだけど、すごい景色だったぞ。食堂の向かい側にある階段を上るだけなんだけどな」
すごく綺麗だったから俺達の思い出作りにどうかなと思ってさと、カーディはこっそりとそう教えてくれた。
「何年か経ってから、伴侶候補になった日の翌日に二人で甲板から景色を見たね――なんて話ができるようになるぞ」
カーディは悪戯っぽい笑みでそう続けた。
うん、それはすごく嬉しい事だ。多分カーディにも、クリスさんとのそういう思い出があるんだろうな。だから俺達にもって思ってくれたんだと思う。これは行くしかないよね。景色ももちろん楽しみだけど、何よりカーディの気持ちが嬉しいから絶対に行きたい。
「ありがとう、カーディ!行ってみるよ」
「ん?どこに行くんだ?」
興奮したせいでついつい声が大きくなってたみたいで、真面目に話し込んでいたハルにまで気づかれてしまった。クリスさんも俺とカーディをキョトン顔で見つめている。
「あ、ごめん。二人の情報交換の邪魔しちゃった?」
「いや、もう終わったし、アキトが邪魔な事なんて無いよ」
そう言いながらハルは俺の頭を柔らかく撫でてきた。えーと、俺の気のせいかもしれないけど、前までよりも触れ方が優しくなってる気がするんだよね。言葉も更に甘いように感じるけど、これって伴侶候補になったからなのかな?
「んー…カーディ、一体何を話してたんです?」
「ん?今朝俺達が見た景色の話!」
「ああ、なるほど。カーディが言ってなかったら、私もこの後でハルに教えるつもりだったんですよ」
さすが私の伴侶です、気持ちが通じ合ってますねと、クリスさんはとろけるような笑みを浮かべた。カーディは照れくさそうに笑いながらも、満更でもなさそうだ。
「景色?」
不思議そうに首を傾げていたハルは、カーディとクリスさんに一体何の話だと尋ねていたけれど笑って誤魔化されていた。
「ちゃんとアキトには行き方も教えておいたから、連れていってもらったら良いよ」
「そうですよ、ハルはただアキトさんについていけば良いんです」
二人の言葉でちらりと俺の方を見たハルに、俺はピンッと片手を上げた。
「はい!道案内はまかせて!」
しっかり案内するからねと主張すれば、ハルはふわりと笑みを浮かべた。
「うん、分かった。じゃあアキトにまかせるね」
「それでは。次は下船の時に会いましょう」
「アキト、またあとでなー」
笑顔で見送ってくれる二人にお礼を言ってから、俺とハルは手を繋いで食堂を後にした。
のんびり食事してる間にだいぶ人も減ってたから、なんてのはただの言い訳だ。本当はただ俺がハルと手を繋ぎたかっただけだし、なんなら人が多くても繋いでた気がする。
食事をしながらの話題は、それはもう色々だった。四人揃うとぽんぽんと予想外の方向に話題が飛んでいったりするんだよね。でもそれもまた楽しい時間だった。
二人は何度も何度もお祝いを言ってくれたし、実際に伴侶になる前に決めておいた方が良い事とかもサラリと教えてくれた。
「「ごちそうさまでした」」
「さすがに美味しかったですね」
「ああ、今日のもすごくうまかったな」
食事が終わるタイミングをはかって運ばれてきたのは、花の香りのする温かいお茶だった。今までに飲んだことの無いお茶だったけど、控え目な花の香りだからか飲みやすくて美味しかった。俺達はお茶を楽しみながら、のんびりと時間を過ごしていた。
「今日は昼頃には下船だったよな?」
「ええ、お昼前には着く予定だって言ってましたね」
「昼食は下りてから取るとして、移動方法はどうする?」
「私は馬車に乗っても良いかと思っていたんですが」
「でも乗合は何かあった時に危険じゃないかな?」
ハルとクリスさんは真剣な顔で、そんな風に情報交換を始めていた。残念ながら、俺はあまり役に立てそうにない話題だな。
「なあなあ、アキト」
「ん?どうしたの?カーディ」
こっそりと声をかけてきたカーディに、俺も思わず声をひそめて返事を返す。
「下船までまだ時間があるからさ、もし良かったら二人で船の甲板行ってきたらどうだ?」
「甲板?」
「出られるって聞いて俺達も朝食前に行ってみたんだけど、すごい景色だったぞ。食堂の向かい側にある階段を上るだけなんだけどな」
すごく綺麗だったから俺達の思い出作りにどうかなと思ってさと、カーディはこっそりとそう教えてくれた。
「何年か経ってから、伴侶候補になった日の翌日に二人で甲板から景色を見たね――なんて話ができるようになるぞ」
カーディは悪戯っぽい笑みでそう続けた。
うん、それはすごく嬉しい事だ。多分カーディにも、クリスさんとのそういう思い出があるんだろうな。だから俺達にもって思ってくれたんだと思う。これは行くしかないよね。景色ももちろん楽しみだけど、何よりカーディの気持ちが嬉しいから絶対に行きたい。
「ありがとう、カーディ!行ってみるよ」
「ん?どこに行くんだ?」
興奮したせいでついつい声が大きくなってたみたいで、真面目に話し込んでいたハルにまで気づかれてしまった。クリスさんも俺とカーディをキョトン顔で見つめている。
「あ、ごめん。二人の情報交換の邪魔しちゃった?」
「いや、もう終わったし、アキトが邪魔な事なんて無いよ」
そう言いながらハルは俺の頭を柔らかく撫でてきた。えーと、俺の気のせいかもしれないけど、前までよりも触れ方が優しくなってる気がするんだよね。言葉も更に甘いように感じるけど、これって伴侶候補になったからなのかな?
「んー…カーディ、一体何を話してたんです?」
「ん?今朝俺達が見た景色の話!」
「ああ、なるほど。カーディが言ってなかったら、私もこの後でハルに教えるつもりだったんですよ」
さすが私の伴侶です、気持ちが通じ合ってますねと、クリスさんはとろけるような笑みを浮かべた。カーディは照れくさそうに笑いながらも、満更でもなさそうだ。
「景色?」
不思議そうに首を傾げていたハルは、カーディとクリスさんに一体何の話だと尋ねていたけれど笑って誤魔化されていた。
「ちゃんとアキトには行き方も教えておいたから、連れていってもらったら良いよ」
「そうですよ、ハルはただアキトさんについていけば良いんです」
二人の言葉でちらりと俺の方を見たハルに、俺はピンッと片手を上げた。
「はい!道案内はまかせて!」
しっかり案内するからねと主張すれば、ハルはふわりと笑みを浮かべた。
「うん、分かった。じゃあアキトにまかせるね」
「それでは。次は下船の時に会いましょう」
「アキト、またあとでなー」
笑顔で見送ってくれる二人にお礼を言ってから、俺とハルは手を繋いで食堂を後にした。
のんびり食事してる間にだいぶ人も減ってたから、なんてのはただの言い訳だ。本当はただ俺がハルと手を繋ぎたかっただけだし、なんなら人が多くても繋いでた気がする。
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