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408.石の大きさは…
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誰が見ても分かるぐらいでないと意味が無いってどういう意味だろう?クリスさんの言葉の意味が分からなくて首を傾げていると、カーディがニヤニヤと笑いながら俺に話しかけてきた。
「不思議そうな顔してるけどさ、アキトもでっかい石付きの指輪になりそうだよなぁ?」
「え、なんで?」
まだ指輪のデザインについて相談なんてしてないんだけどな。二人で決めようって言ってくれてたから、でっかい石になるかなんて分からないよね。思わずそう聞き返した俺に、カーディとクリスさんは楽し気に笑いだし、ハルは困り顔でそっと視線を反らした。
「アキトさん、良い事を教えてあげますね。カーディの生まれた南の方の地域では『伴侶の指輪の石の大きさは、それすなわち執着の大きさだ』なんて言われてるらしいですよ?」
楽し気に教えてくれたのはクリスさんだった。
「え…それって…」
「さっきクリスも言ってたけどさ、執着が大きいと誰が見ても伴侶がいるんだなーって見せつけたいから大きい石を選ぶらしいよ」
「ええ、まあ。大きい石のほうがより簡単に周りを牽制できるんですら、当然でしょう?」
一瞬だけ黒い笑みを浮かべていたクリスさんだったけど、その後でカーディがさらりと続けた言葉を聞くなりピシリと固まってしまった。
「執着の大きさって事は、つまり気持ちの大きさって事にもなるだろ?だからまあ小さい石で良いとは言ったけど、クリスにそう提案された時は嬉しかったなー」
うん、これは固まっても仕方ないと思う。口には出さなかったけど、指輪の石が大きいのが嬉しかったって言ったんだもんね。俺とハルは思わず顔を見合わせて笑ってしまった。
「まあまだこれから指輪を選ぶんだし、二人で相談して決めれば良いよ。ハルさんも良いよね?」
「ああ、二人で選ぼうって約束はしてたんだ」
「なら余計だったかな?」
「ううん、ありがとう」
「ありがとう、カーディさん」
お礼を言われて照れくさそうに笑っていたカーディに、衝撃から立ち直ったらしいクリスさんがいきなりガバッと抱き着いた。
「なっ…こら、クリス!」
周りにたくさんの人がいる食堂での全力の抱擁に、さすがのカーディも慌てた様子でクリスさんを引き剥がそうとしている。それでも一向に離れないあたり、クリスさんって実は結構鍛えてるんだろうか。
「はーなーれーろー!」
「カーディ、そんなの初めて聞いた…」
「そうだろうな。だって初めて言ったからな」
「うん……カーディ、教えてくれてありがとう」
キラキラと目を輝かせてカーディだけを見つめるクリスさんに、カーディはううと小さく呻いた。
「そこでお礼を言っちゃうのが、クリスらしいよな。あーもう」
不意打ちくらったと頬を赤く染めたカーディを、俺とハルはニヤニヤと笑いながら見つめていた。相変わらず仲が良くて何よりだよ。
「お待たせしました」
そんな声かけと共に現れたたくさんの給仕の人達は、手際よくテーブルの上に料理を並べていく。どれもすごく美味しそうなんだけど――えーと、今って朝ごはんの時間ですよね?夜ごはんの時間じゃないですよね???と思わず首を傾げるほどの豪華さだった。
「すっごい豪華だ…」
「これは…すごいな…」
圧倒される俺達の隣で、カーディだけは通常運転で笑っていた。
「おお、すっごくうまそうだなー」
「ありがとうございます。それではごゆっくりお楽しみ下さい」
給仕の人達が去っていくと、クリスさんはすぐに飲み物の入ったグラスを持ち上げた。カーディとハルも同じように持ち上げているのを見て、俺も慌てて持ち上げる。
「ではいただきましょうか。お二人の新しい関係性に」
「二人の新しい関係性に」
新しい関係性――か。最初は幽霊と見える人だったのが、生身の恋人同士になり、昨日からは伴侶候補だ。目まぐるしく変わっていくハルとの関係を、祝ってもらえるのは素直に嬉しい。
「ありがとうございます!」
「俺からも、本当にありがとう」
グラスを掲げるだけのこの世界の乾杯をしてから、俺達はこくりと飲み物を口にした。
「「いただきます」」
恐る恐るフォークを取り上げて、俺は目の前の豪華すぎる料理をまじまじと見つめた。
黄色いソースのかかった肉から手をつける勇気は無くて、端の方にあった付け合わせらしい野菜をまずは一口食べてみた。ふわりと口内に広がった野菜の風味と旨味、優しい味付けに自然と声がこぼれた。
「え、すっごく、美味しい…」
見た目こそかなり豪華だけど、味は朝食向けの味付けにしてくれてるみたいだ。隣でオムレツみたいな卵料理を口に運んだハルも、これはすごいなと感心している。
「うまいな!」
「ええ、美味しいですね」
「不思議そうな顔してるけどさ、アキトもでっかい石付きの指輪になりそうだよなぁ?」
「え、なんで?」
まだ指輪のデザインについて相談なんてしてないんだけどな。二人で決めようって言ってくれてたから、でっかい石になるかなんて分からないよね。思わずそう聞き返した俺に、カーディとクリスさんは楽し気に笑いだし、ハルは困り顔でそっと視線を反らした。
「アキトさん、良い事を教えてあげますね。カーディの生まれた南の方の地域では『伴侶の指輪の石の大きさは、それすなわち執着の大きさだ』なんて言われてるらしいですよ?」
楽し気に教えてくれたのはクリスさんだった。
「え…それって…」
「さっきクリスも言ってたけどさ、執着が大きいと誰が見ても伴侶がいるんだなーって見せつけたいから大きい石を選ぶらしいよ」
「ええ、まあ。大きい石のほうがより簡単に周りを牽制できるんですら、当然でしょう?」
一瞬だけ黒い笑みを浮かべていたクリスさんだったけど、その後でカーディがさらりと続けた言葉を聞くなりピシリと固まってしまった。
「執着の大きさって事は、つまり気持ちの大きさって事にもなるだろ?だからまあ小さい石で良いとは言ったけど、クリスにそう提案された時は嬉しかったなー」
うん、これは固まっても仕方ないと思う。口には出さなかったけど、指輪の石が大きいのが嬉しかったって言ったんだもんね。俺とハルは思わず顔を見合わせて笑ってしまった。
「まあまだこれから指輪を選ぶんだし、二人で相談して決めれば良いよ。ハルさんも良いよね?」
「ああ、二人で選ぼうって約束はしてたんだ」
「なら余計だったかな?」
「ううん、ありがとう」
「ありがとう、カーディさん」
お礼を言われて照れくさそうに笑っていたカーディに、衝撃から立ち直ったらしいクリスさんがいきなりガバッと抱き着いた。
「なっ…こら、クリス!」
周りにたくさんの人がいる食堂での全力の抱擁に、さすがのカーディも慌てた様子でクリスさんを引き剥がそうとしている。それでも一向に離れないあたり、クリスさんって実は結構鍛えてるんだろうか。
「はーなーれーろー!」
「カーディ、そんなの初めて聞いた…」
「そうだろうな。だって初めて言ったからな」
「うん……カーディ、教えてくれてありがとう」
キラキラと目を輝かせてカーディだけを見つめるクリスさんに、カーディはううと小さく呻いた。
「そこでお礼を言っちゃうのが、クリスらしいよな。あーもう」
不意打ちくらったと頬を赤く染めたカーディを、俺とハルはニヤニヤと笑いながら見つめていた。相変わらず仲が良くて何よりだよ。
「お待たせしました」
そんな声かけと共に現れたたくさんの給仕の人達は、手際よくテーブルの上に料理を並べていく。どれもすごく美味しそうなんだけど――えーと、今って朝ごはんの時間ですよね?夜ごはんの時間じゃないですよね???と思わず首を傾げるほどの豪華さだった。
「すっごい豪華だ…」
「これは…すごいな…」
圧倒される俺達の隣で、カーディだけは通常運転で笑っていた。
「おお、すっごくうまそうだなー」
「ありがとうございます。それではごゆっくりお楽しみ下さい」
給仕の人達が去っていくと、クリスさんはすぐに飲み物の入ったグラスを持ち上げた。カーディとハルも同じように持ち上げているのを見て、俺も慌てて持ち上げる。
「ではいただきましょうか。お二人の新しい関係性に」
「二人の新しい関係性に」
新しい関係性――か。最初は幽霊と見える人だったのが、生身の恋人同士になり、昨日からは伴侶候補だ。目まぐるしく変わっていくハルとの関係を、祝ってもらえるのは素直に嬉しい。
「ありがとうございます!」
「俺からも、本当にありがとう」
グラスを掲げるだけのこの世界の乾杯をしてから、俺達はこくりと飲み物を口にした。
「「いただきます」」
恐る恐るフォークを取り上げて、俺は目の前の豪華すぎる料理をまじまじと見つめた。
黄色いソースのかかった肉から手をつける勇気は無くて、端の方にあった付け合わせらしい野菜をまずは一口食べてみた。ふわりと口内に広がった野菜の風味と旨味、優しい味付けに自然と声がこぼれた。
「え、すっごく、美味しい…」
見た目こそかなり豪華だけど、味は朝食向けの味付けにしてくれてるみたいだ。隣でオムレツみたいな卵料理を口に運んだハルも、これはすごいなと感心している。
「うまいな!」
「ええ、美味しいですね」
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