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406.船の食堂
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カーディは机に突っ伏してひどいと嘆いているクリスさんをあっさりとスルーすると、俺達に向かってにっこりと明るい笑みを浮かべた。
「アキト、ハルさん、伴侶候補おめでとう」
「ああ、ありがとう」
「ありがと、カーディ」
「あ、カーディ!ずるいですよ!私からも、おめでとうございます」
ガバッと体を起こしたクリスさんは、慌てた様子でお祝いの言葉を口にしてくれた。
「ありがとう、クリス」
「ありがとうございます」
「もし何か困った事があれば、私たちにも頼ってくださいね」
まあハルは顔が広いから助けてくれる人には事欠かないでしょうが、とクリスさんは笑って続けた。そんなクリスさんの言葉を聞くなり、ハルはニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべた。そのちょっと悪い笑い方も格好良いんだよね。思わずまじまじと見つめてしまった。
「そんな事を言ったら、本当に頼らせてもらうぞ?良いのか?」
「ええ、もちろんです。カーディの名前に誓って、約束は守りますよ」
そこでカーディの名前に誓うあたりが、何ともクリスさんらしいな。カーディに誓うなら絶対に守るんだろうなと確信できてしまうのが、何だかすごく面白い。
「クリス、勝手に俺の名前に誓うなよ」
苦笑しながらカーディはそう口を挟んだ。
「まあでも、俺達の本拠地はトライプールの街だから。相談があってもなくても、いつでも会いにきてくれよ」
「うん、ありがとう」
この依頼が終わってからも、友人としての付き合いは続くんだ。そう思うと胸の中がぽかぽかする気がした。俺、異世界に来てから周りの人に恵まれ過ぎてる気がするな。
そんな事をぼんやりと考えていると、そっと給仕の人が近づいてきた。
「お客様、ご注文はお決まりでしょうか?」
「注文…えーと…」
慌ててテーブルの上を探してみたけれど、メニューらしきものは何も無かった。え、どうしよう。注文と言われても何があるのかすら分からないんだけど。入口の辺りに書いてあったりしたんだろうか。
助けを求めるようにちらりとハルに視線を向けてみたけれど、ハルも明らかに困った表情を浮かべていた。これは何があるんですかと聞くしかないかな。俺がそう決意した瞬間、クリスさんが笑顔で給仕の人に話しかけた。
「二人が伴侶候補になったお祝いに、一番豪華な朝食セットを四人前お願いします。料金は全て私が払います」
さらりと言ってのけたクリスさんの言葉を理解するなり、俺とハルは慌てて声を上げた。
「待って下さい!そんな事しなくて良いですよ!」
「そうだぞ、クリス。むしろ心配をかけたんだから、俺達が払う」
二人がかりでそう言いつのったけれど、クリスさんはぶんぶんと首を振った。
「お祝いの食事の費用を、本人が払うなんてあり得ないですよ」
「でも…」
「あー、アキト、ハルさん。クリスに甘えといたら良いよ」
「カーディまで!」
「だってクリスは言い出したら聞かないぞ。それに俺も朝から美味しいものが食べられるのは嬉しいから気にするな!」
この船の料理は絶品だから朝食も楽しみだよなと、カーディは明るく笑って続けた。
「分かった…ありがとう」
「ありがとうございます」
「それでは、一番豪華な朝食セットを四人前お願いしますね」
クリスさんの言葉で振り返れば、俺達の後ろにはさっきの給仕の人が立っていた。
気づいてなかったけれど、なんと給仕の人は俺達の会話が終わるまでずっとその場で待っていてくれたようだ。慌ててハルと二人で時間を取らせた事を詫びれば、お気になさらずとさらりと返されてしまった。更には俺達二人に伴侶候補のお祝いの言葉まで告げてから、店員さんは笑顔で注文を取って去っていった。
「昨日の夕飯美味しかったよな」
「あ、そうだ。クリス夕飯も手配ありがとう」
「いいんですよ」
「二人でのんびりと食事を楽しめて、すごく幸せだったよ」
ハルがそう告げれば、カーディはにんまりと笑みを浮かべた。
「仲直りしたかどうかが気になるから、手配したのは失敗だったかもしれないって言ってたのになークリス?」
「カーディ…なんで言っちゃうんですか……」
がっくりと肩を落としたクリスさんに、カーディは笑いながらあっさりと答えた。
「折角の二人きりの時間なのに、アキトとハルさんの事ばっっっかり気にしてたから、軽い嫌がらせ?」
笑ってはいるけれど、それって結構つらいよね。もし二人きりの時にハルがカーディとクリスの事ばっかり気にしていたら、俺だったら盛大に拗ねると思う。
「う…ごめんなさい…」
「まあ俺も二人の事は気になってたから怒っては無いんだけどな」
ばらしてごめんなと笑ったカーディに、クリスさんはふうとひとつ息を吐いた。
「俺の伴侶が最高に優しいっ!」
周りに配慮してか小声ではあったけれどいつもの調子で騒ぎだしたクリスさんに、俺とハルは顔を見合わせてから笑ってしまった。
「アキト、ハルさん、伴侶候補おめでとう」
「ああ、ありがとう」
「ありがと、カーディ」
「あ、カーディ!ずるいですよ!私からも、おめでとうございます」
ガバッと体を起こしたクリスさんは、慌てた様子でお祝いの言葉を口にしてくれた。
「ありがとう、クリス」
「ありがとうございます」
「もし何か困った事があれば、私たちにも頼ってくださいね」
まあハルは顔が広いから助けてくれる人には事欠かないでしょうが、とクリスさんは笑って続けた。そんなクリスさんの言葉を聞くなり、ハルはニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべた。そのちょっと悪い笑い方も格好良いんだよね。思わずまじまじと見つめてしまった。
「そんな事を言ったら、本当に頼らせてもらうぞ?良いのか?」
「ええ、もちろんです。カーディの名前に誓って、約束は守りますよ」
そこでカーディの名前に誓うあたりが、何ともクリスさんらしいな。カーディに誓うなら絶対に守るんだろうなと確信できてしまうのが、何だかすごく面白い。
「クリス、勝手に俺の名前に誓うなよ」
苦笑しながらカーディはそう口を挟んだ。
「まあでも、俺達の本拠地はトライプールの街だから。相談があってもなくても、いつでも会いにきてくれよ」
「うん、ありがとう」
この依頼が終わってからも、友人としての付き合いは続くんだ。そう思うと胸の中がぽかぽかする気がした。俺、異世界に来てから周りの人に恵まれ過ぎてる気がするな。
そんな事をぼんやりと考えていると、そっと給仕の人が近づいてきた。
「お客様、ご注文はお決まりでしょうか?」
「注文…えーと…」
慌ててテーブルの上を探してみたけれど、メニューらしきものは何も無かった。え、どうしよう。注文と言われても何があるのかすら分からないんだけど。入口の辺りに書いてあったりしたんだろうか。
助けを求めるようにちらりとハルに視線を向けてみたけれど、ハルも明らかに困った表情を浮かべていた。これは何があるんですかと聞くしかないかな。俺がそう決意した瞬間、クリスさんが笑顔で給仕の人に話しかけた。
「二人が伴侶候補になったお祝いに、一番豪華な朝食セットを四人前お願いします。料金は全て私が払います」
さらりと言ってのけたクリスさんの言葉を理解するなり、俺とハルは慌てて声を上げた。
「待って下さい!そんな事しなくて良いですよ!」
「そうだぞ、クリス。むしろ心配をかけたんだから、俺達が払う」
二人がかりでそう言いつのったけれど、クリスさんはぶんぶんと首を振った。
「お祝いの食事の費用を、本人が払うなんてあり得ないですよ」
「でも…」
「あー、アキト、ハルさん。クリスに甘えといたら良いよ」
「カーディまで!」
「だってクリスは言い出したら聞かないぞ。それに俺も朝から美味しいものが食べられるのは嬉しいから気にするな!」
この船の料理は絶品だから朝食も楽しみだよなと、カーディは明るく笑って続けた。
「分かった…ありがとう」
「ありがとうございます」
「それでは、一番豪華な朝食セットを四人前お願いしますね」
クリスさんの言葉で振り返れば、俺達の後ろにはさっきの給仕の人が立っていた。
気づいてなかったけれど、なんと給仕の人は俺達の会話が終わるまでずっとその場で待っていてくれたようだ。慌ててハルと二人で時間を取らせた事を詫びれば、お気になさらずとさらりと返されてしまった。更には俺達二人に伴侶候補のお祝いの言葉まで告げてから、店員さんは笑顔で注文を取って去っていった。
「昨日の夕飯美味しかったよな」
「あ、そうだ。クリス夕飯も手配ありがとう」
「いいんですよ」
「二人でのんびりと食事を楽しめて、すごく幸せだったよ」
ハルがそう告げれば、カーディはにんまりと笑みを浮かべた。
「仲直りしたかどうかが気になるから、手配したのは失敗だったかもしれないって言ってたのになークリス?」
「カーディ…なんで言っちゃうんですか……」
がっくりと肩を落としたクリスさんに、カーディは笑いながらあっさりと答えた。
「折角の二人きりの時間なのに、アキトとハルさんの事ばっっっかり気にしてたから、軽い嫌がらせ?」
笑ってはいるけれど、それって結構つらいよね。もし二人きりの時にハルがカーディとクリスの事ばっかり気にしていたら、俺だったら盛大に拗ねると思う。
「う…ごめんなさい…」
「まあ俺も二人の事は気になってたから怒っては無いんだけどな」
ばらしてごめんなと笑ったカーディに、クリスさんはふうとひとつ息を吐いた。
「俺の伴侶が最高に優しいっ!」
周りに配慮してか小声ではあったけれどいつもの調子で騒ぎだしたクリスさんに、俺とハルは顔を見合わせてから笑ってしまった。
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