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317.四人で昼食を
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四人で休憩所まで移動してお弁当を広げると、中にはたくさんの種類のおかずに特製の柔らかパン、更には食べやすい大きさにカットした果物までもが彩り豊かに並んでいた。
「うわぁ、美味しそう!」
「ああ、本当にうまそうだな!俺の好きなマルックスの香草焼きもある!」
嬉しそうに歓声を上げたカーディさんと一緒になって、俺もお弁当を見つめた。あ、前に朝食で美味しかったと伝えた、茄子みたいな野菜の炒め物も入ってるみたいだ。
「俺、これが好きなんです」
「あ、ハーレか!これも上手いよな」
わいわいと盛り上がる俺達の横で、クリスさんとハルは真剣な顔で視線を交わしてからこそこそと小声で話し出した。
「これは…レーブンさん、一体何時に起きたんでしょうか」
「いつも早朝から起きてるとは言ってたけど…これは相当早起きしたんだろうな」
「ハーレの炒めか…アキトさん、かなり気に入られてますね?」
「ああ、だがマルックスの香草焼きが入ってるって事は、カーディさんもお気に入りなんだろう?」
「ええ、まあ」
クリスさんとハルの会話が終わるのを、俺はカーディさんと二人でそわそわしながら待っていた。何の話かは分からないけど、邪魔したらまずいのかと思ってさ。
「あ、ごめん、アキト」
「カーディ、ごめんね」
申し訳なさそうにそれぞれ謝ってくれたが、俺達はふるふると首を振った。謝罪はいらないので早く食べたいです。
「「いただきます」」
俺とハルの重なった声に二人は一瞬だけ不思議そうな顔をしたけれど、食前の挨拶かくらいで流してくれた。ハルが言ってた通り、これくらいなら異世界人バレには繋がらないみたいだな。
俺はまっさきにハーレの炒め物を口に入れた。茄子みたいな独特な食感が楽しいし、隠し味に使ってあるチーズの風味がふわりと口内に広がった。
「美味しいっ!」
「やっぱりうまいな!」
カーディさんも当然最初に好物であるマルックスの香草焼きから口を付けたみたいだ。
「レーブンさんの配合した香草はやっぱりうまいんだよなぁ。これを使ってるとただの野菜のグリルも上手いんだよ」
「すっごく分かります。レーブンさん料理上手ですもんね」
盛り上がる俺達の横で、ハルとクリスさんは静かに食べ進めている。
「これは…塩分濃いめにしてくれてるのか…」
「さすがレーブンさんですね。元冒険者だけあって気づかいがすごい」
「塩分?」
「ああ、移動で汗をかくからね。塩分を濃いめに作ってくれてるんだと思う」
「へぇ、俺は分からなかったな。うまいのは分かるんだけど」
「俺も気づかなかったですけど、美味しいです」
カーディさんと二人でのんきに笑いながら答えれば、クリスさんとハルもふわりと笑みを浮かべた。
「そうですね。分析するより素直な感想の方が、レーブンさんはきっと喜びます」
「ああ、俺達も味わって食べようか」
そう口にした二人があまりに真剣な顔でお弁当を口に運び出したから、俺とカーディさんは声を上げて笑ってしまった。
食事を終えた俺達は、それぞれが取り出した飲み物を飲みながらこれからの予定を決める事になった。ざっくりとしか予定を決めてなかったから、今のうちに相談しておきたいんだそうだ。
「昼までにレーウェ川の停泊所に行けば良いんだよな?」
「ええ、そうです」
クリスさんの即答に、ハルは俺をちらりと見て口を開いた。
「アキト、今日は野営になるよ」
「うん、分かった」
最初に野営した時はあんなに怖かったのに、ハルのおかげで苦手意識が無くなったから野営には何の問題も無い。
「良かった」
ぽつりと呟いたハルは、愛おしそうに俺の髪をさらりと撫でた。不意打ちの甘い視線に、俺は頬を赤く染めて視線を反らす。クリスさんとカーディさんは、微笑ましそうに笑いながら俺達のやりとりを見つめていた。
「それで、野営はどこにする?」
「決めてませんが、街道沿いは避けたいですね」
「そうか…」
頷いたハルは言葉を切るとしばらく目をつむってから、ぱちりと目を開いた。
「大丈夫だ。近くに人の気配は無いな。それなら、ティシーの森の休憩所はどうだ?」
「あそこは混みあってないですか?」
「今の時期は隣にあるエファールの森が人気の採取地だから、むしろ空いてると思う」
相変わらずハルの知識量はすごいなと感心しながら聞いていれば、クリスさんが口を開いた。
「ああ、なるほど。今はファルブラキノコの時期ですか」
「そうだ」
「ではティシーの森にしましょう」
当然のように話についていけてるクリスさんもすごいよね。しかも冒険者じゃないのに。そう思いながらちらりと視線を向けてみたカーディさんは、尊敬の眼差しでクリスさんを見つめていた。
クリスさんは伴侶の視線に気づくなり、柔らかい笑みを浮かべた。絡み合う視線が甘い。そう思った瞬間、俺の手がきゅっとハルに握られた。
「ハル?」
「気配は無いから、今だけ許して」
二人もお互いしか見えてないから大丈夫と続けたハルに、俺も手を繋ぎたいと思ってたと素直に囁き返した。緩く絡まった指先に力を入れて握り返せば、ハルは幸せそうに笑みを浮かべた。
「うわぁ、美味しそう!」
「ああ、本当にうまそうだな!俺の好きなマルックスの香草焼きもある!」
嬉しそうに歓声を上げたカーディさんと一緒になって、俺もお弁当を見つめた。あ、前に朝食で美味しかったと伝えた、茄子みたいな野菜の炒め物も入ってるみたいだ。
「俺、これが好きなんです」
「あ、ハーレか!これも上手いよな」
わいわいと盛り上がる俺達の横で、クリスさんとハルは真剣な顔で視線を交わしてからこそこそと小声で話し出した。
「これは…レーブンさん、一体何時に起きたんでしょうか」
「いつも早朝から起きてるとは言ってたけど…これは相当早起きしたんだろうな」
「ハーレの炒めか…アキトさん、かなり気に入られてますね?」
「ああ、だがマルックスの香草焼きが入ってるって事は、カーディさんもお気に入りなんだろう?」
「ええ、まあ」
クリスさんとハルの会話が終わるのを、俺はカーディさんと二人でそわそわしながら待っていた。何の話かは分からないけど、邪魔したらまずいのかと思ってさ。
「あ、ごめん、アキト」
「カーディ、ごめんね」
申し訳なさそうにそれぞれ謝ってくれたが、俺達はふるふると首を振った。謝罪はいらないので早く食べたいです。
「「いただきます」」
俺とハルの重なった声に二人は一瞬だけ不思議そうな顔をしたけれど、食前の挨拶かくらいで流してくれた。ハルが言ってた通り、これくらいなら異世界人バレには繋がらないみたいだな。
俺はまっさきにハーレの炒め物を口に入れた。茄子みたいな独特な食感が楽しいし、隠し味に使ってあるチーズの風味がふわりと口内に広がった。
「美味しいっ!」
「やっぱりうまいな!」
カーディさんも当然最初に好物であるマルックスの香草焼きから口を付けたみたいだ。
「レーブンさんの配合した香草はやっぱりうまいんだよなぁ。これを使ってるとただの野菜のグリルも上手いんだよ」
「すっごく分かります。レーブンさん料理上手ですもんね」
盛り上がる俺達の横で、ハルとクリスさんは静かに食べ進めている。
「これは…塩分濃いめにしてくれてるのか…」
「さすがレーブンさんですね。元冒険者だけあって気づかいがすごい」
「塩分?」
「ああ、移動で汗をかくからね。塩分を濃いめに作ってくれてるんだと思う」
「へぇ、俺は分からなかったな。うまいのは分かるんだけど」
「俺も気づかなかったですけど、美味しいです」
カーディさんと二人でのんきに笑いながら答えれば、クリスさんとハルもふわりと笑みを浮かべた。
「そうですね。分析するより素直な感想の方が、レーブンさんはきっと喜びます」
「ああ、俺達も味わって食べようか」
そう口にした二人があまりに真剣な顔でお弁当を口に運び出したから、俺とカーディさんは声を上げて笑ってしまった。
食事を終えた俺達は、それぞれが取り出した飲み物を飲みながらこれからの予定を決める事になった。ざっくりとしか予定を決めてなかったから、今のうちに相談しておきたいんだそうだ。
「昼までにレーウェ川の停泊所に行けば良いんだよな?」
「ええ、そうです」
クリスさんの即答に、ハルは俺をちらりと見て口を開いた。
「アキト、今日は野営になるよ」
「うん、分かった」
最初に野営した時はあんなに怖かったのに、ハルのおかげで苦手意識が無くなったから野営には何の問題も無い。
「良かった」
ぽつりと呟いたハルは、愛おしそうに俺の髪をさらりと撫でた。不意打ちの甘い視線に、俺は頬を赤く染めて視線を反らす。クリスさんとカーディさんは、微笑ましそうに笑いながら俺達のやりとりを見つめていた。
「それで、野営はどこにする?」
「決めてませんが、街道沿いは避けたいですね」
「そうか…」
頷いたハルは言葉を切るとしばらく目をつむってから、ぱちりと目を開いた。
「大丈夫だ。近くに人の気配は無いな。それなら、ティシーの森の休憩所はどうだ?」
「あそこは混みあってないですか?」
「今の時期は隣にあるエファールの森が人気の採取地だから、むしろ空いてると思う」
相変わらずハルの知識量はすごいなと感心しながら聞いていれば、クリスさんが口を開いた。
「ああ、なるほど。今はファルブラキノコの時期ですか」
「そうだ」
「ではティシーの森にしましょう」
当然のように話についていけてるクリスさんもすごいよね。しかも冒険者じゃないのに。そう思いながらちらりと視線を向けてみたカーディさんは、尊敬の眼差しでクリスさんを見つめていた。
クリスさんは伴侶の視線に気づくなり、柔らかい笑みを浮かべた。絡み合う視線が甘い。そう思った瞬間、俺の手がきゅっとハルに握られた。
「ハル?」
「気配は無いから、今だけ許して」
二人もお互いしか見えてないから大丈夫と続けたハルに、俺も手を繋ぎたいと思ってたと素直に囁き返した。緩く絡まった指先に力を入れて握り返せば、ハルは幸せそうに笑みを浮かべた。
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