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247.【ハル視点】特製ポーション※

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「あー…えっと、じゃあ俺もハルの触りたい!」

 アキトの提案に、俺はこっそりと頭を抱えた。もちろんアキトの意思で俺のものに触ってくれるのは嬉しいが、今の状態では歓迎できない。

「今アキトに触られたら本気で暴走しそうだから、今日は無理かな」
「…暴走して良いのに?」

 俺の気も知らずに可愛く言い放ったアキトに、俺はぐっと奥歯を噛み締めた。

「それよりこっち、触らせて欲しいな」

 耳元で囁きながら、そっとアキトの後孔に触れる。

「アキトが嫌だったらもちろん我慢するけど」
「嫌じゃないけど…でも、汚い…から」

 アキトは準備をしていないと呟くと、気まずそうに目を反らした。準備というのは何の事だろう。異世界ではどんな準備をするんだろうか。気になる気持ちはあったけれど、今聞くべきではないと判断して俺は声をかけた。

「汚くなんてないけど、気になるならこうしようか」

 呪文を呟けば、すぐに指先に光が集まってきた。未熟さの象徴でもあった光だが、アキトの褒め言葉のおかげで気にならなくなったな。

「浄化魔法?」
「うん、正解」

 そっとアキトの後ろに指を触れさせれば、光はふわりと消えていった。

「うん、中まで綺麗になったよ」
「浄化魔法ってすごいんだね」
「ああ、これで触っても大丈夫だね」

 満面の笑みを浮かべて尋ねれば、アキトは小さな声でぽつりと答えた。

「う、お手柔らかにお願いします」



 許可をもらった俺が最初にした事は、左手の腕輪から特製ポーションを取り出す事だった。同性相手の時は特にこれが無いと受け入れる側がつらい思いをするから、必須と言って良い物だ。

 腕輪から取り出す所は見なかったのか、アキトは不思議そうに首を傾げた。
 
「それなに?」

 小瓶を目の前に移動させれば、アキトはまじまじと瓶を見つめた。

「これは特製のポーションだよ。これがあると痛みが減るからね」

 特製ポーションを販売している店はたくさんあるが、多少の調薬スキルがある者なら自作をする事も多い。作り方もそれほど難しくは無いし、使う素材も意外と簡単に手に入るものが多い。恋人の嗜好に合わせて香りや成分を調整するのが一般的だ。

 かくいうこれも、俺が騎士団の調薬室で作った物だ。黒鷹亭で抱くつもりは無かったけれど、いつか必要になった時にアキトにつらい思いをさせたくない一心で作ったポーションだ。これほど早く役立つとは思っていなかったけれど。

 アキトは感心したようにまじまじと小瓶を眺めている。この香りを気に入ってくれるだろうかとワクワクしながら、俺はそっと片手で瓶の蓋を開いた

「アキト、良かったら嗅いでみる?」

 クンクンと可愛らしく鼻を動かしたアキトは、パァッと笑みを浮かべた。

「いい香りだね」
「気に入ったなら良かった」

 ここまでうっとりとしながら香りを楽しんでくれれば、製作者冥利に尽きるな。俺はひっそりと笑いながら、特製ポーションをたっぷりと手のひらに取り出した。瞬間、ふわりと広がったのは爽やかな森のような香りだ。

 幸せそうに香りを堪能している間に、俺はアキトの後孔に手を触れた。

「ひゃっ…」

 目に嫌悪感や恐怖心が無いかと覗き込んでみれば、アキトはそっと手を伸ばして俺にキスを贈ってくれた。大丈夫だと伝えてくれたキスに、自然と笑みがこぼれる。

「続けるよ」

 特製ポーションでぬめりを帯びた指は、じわじわとアキトの中へと侵入していく。たった一本の指でも狭いけれど、拒絶されている感じはしないな。

「くっ…ぁ…っ」
「痛い?」

 中をそっと探りながら尋ねれば、アキトは軽く首を振って応えてくれた。

「…んっ…くっ」

 ゆっくりと押し込んだ指を、今度はそのままゆっくりと抜いていく。特製ポーションをもう一度指にたっぷりと垂らしてから、俺は再びアキトに声をかけた。

「もう一回、入れるよ」

 特製ポーションのおかげか、アキトの中はあっさりと俺の指を受け入れてくれた。

「えっ…なっ…で?」
「ああ、特製ポーションを足したからね」

 これだけ滑りが良ければ、多少動かしても痛みは少ないだろう。違和感も減っていると良いんだが。俺はアキトの反応を見ながら慎重に指を動かし始めた。

「んっ…あっ」

 不意に漏れたのは、明らかに苦痛の無い甘い喘ぎ声だった。俺の指で感じてくれている。そう思うとたまらない気持ちになった。今すぐにでも抱いてしまいたい気持ちと、もっともっと感じさせたいという気持ちがぶつかり合っている。

「アキト、可愛い」

 思わずこぼれた俺の本音に、アキトは俺をじっと見上げてきた。

「ハ、ル…」
「どうしたの?」

 何かを伝えたいのかと指を止めれば、アキトはふにゃりと笑って告げた。

「ハル、は、かっこいい…よ」

 さっきのアキト可愛いの返事が、ハルは格好良いになったのか。なんて可愛くて、愛おしい存在だろう。

「アキトには敵わないな」

 くしゃりと笑った俺は、そっとアキトの額にキスを贈った。
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