246 / 1,112
245.【ハル視点】殺し文句の威力※
しおりを挟む
そう答えるなり、俺はアキトの体をそっと抱きかかえた。わわと可愛い声を上げたアキトは俺の首に腕を回して抱き着いてくる。
「……本当に我慢するつもりだったんだよ?」
思わず口にした言い訳に、アキトはうっすらと笑いながら頷いてくれた。
「うん、ハルなら同意したら我慢しちゃうんだろうなって思ったんだ」
「まさかアキトから誘ってもらえるとは思って無かったから…暴走しそうかもしれない」
もちろん自制はするつもりだけど、正直に言えばどこまで我慢できるか自信は無い。まさかアキトから誘ってもらえるとは思ってもみなかったから。
「あー…俺は嬉しいけどな。だってそれだけ欲しがってくれてるって事だし」
こんな状況で殺し文句を口にしたアキトに、俺はぐっと押し黙った。可愛くてたまらないけれど、落ち着け。
「………もしアキトが許せないと思ったら、遠慮なく殴ってくれる?何なら魔法を使って止めてくれても良いから」
アキトは不思議そうに首を傾げた。
「分かった。嫌だったらちゃんと言うし、殴ってでも止めるよ」
戸惑いながらもとりあえず約束をしてくれたアキトに、俺はホッと息を吐いた。これで嫌な思いをさせてしまって嫌われる事だけは回避できたかもしれない。
抱き上げたアキトの体は驚く程に軽かった。身長はそれなりにあるのに、華奢なせいだろうか。食事はしっかり採っているのにこの重さだから体質とかが関係あるんだろうか。
そんな事を考えつつ、恋人抱きのままベッドの前まで足を進める。
「俺が暴走したら、どんな手段でも良いから全力で止めてね」
もう一度そう声をかけながら、アキトの体をベッドの上に横たえる。アキトはちらりと俺を見上げてから口を開いた。
「分かった。でも…俺、ハルになら何されても良いよ」
「っ!…嬉しいけど、あまり俺を甘やかさないで」
叱るように声をかけても不思議そうなアキトの上に、そっと全身で覆いかぶさる。両肘でアキトの顔を挟むようにして顔を近づければ、アキトは照れくさそうにそっと視線を反らした。
「別に甘やかしてるつもりはないんだけど……」
「いや、さっきからずっと甘やかされてる気分だよ」
苦笑を洩らしながらそう言えば、アキトはちらりと俺を見上げてきた。
「ハルだからだよ」
至近距離で見つめ合っていたアキトは、不意にふにゃりと笑みをこぼしながらそんな事を言い放った。その時の衝撃ときたら。俺は何もいう事ができず、ただ無言のままで固まった。
「今まで生きてきて、ハル以外の誰かを甘やかしたいなんて思った事は無いんだ。大好きなハルだからこそ俺に出来る事なら何でもしたいと思う」
本当にアキトは俺をどうしたいんだろう。
大人な対応とか、落ち着いた優しさとか、騎士という地位に相応しい振る舞いとか。周りから求められるのはいつもそんなものばかりだったのに。
アキトは違うんだな。俺だけを甘やかしたいと思ってくれてるんだ。
「あの…俺何かまずい事…っ」
無言の俺に慌てだしたアキトに、俺は衝動的に口づけた。愛おしい気持ちが溢れすぎてどうしても我慢ができなかった。
何度も何度も軽い口づけを重ねていけば、アキトはうっとりと目を閉じた。拒否はされていないようだとアキトの反応を探りながら口づけを続けていると、不意にアキトが動いた。
アキトはそっと唇を開くと、小さく舌を突き出してみせつけてきた。そうか、もっと深いキスがある事は知っているのか。ぎこちない仕草でされたでも明らかな誘惑に、俺は笑顔で応える。
舌を絡めた深いキスをしかければ、アキトは体を震わせながら甘い吐息を吐いた。
「んっ…っ…」
「アキト、大丈夫?」
夢中になっていた俺が我に返って覗き込んだ時には、顔中を真っ赤に染めたアキトの目は涙で潤んでいた。
「あー……やりすぎたかな?」
キスだけでこんなに反応してくれる事を嬉しく思う気持ちと同時に、暴走してしまった自分に申し訳ない気持ちになった。ぼんやりとしていたアキトは、ふるふると首を振って答えてくれた。
「すご…キスだけでも、こんなにきもちいいんだ」
「あーうん…それは光栄だけど…あまり煽らないで欲しいな」
言いながら腰骨の辺りを撫で上げてみれば、アキトはひゃっと叫び声を上げた。アキトは腰骨の辺りが弱いんだな。きちんと覚えておこう。
そのまま胸へと探るように手を這わせても、抵抗しようとする素振りは一切無い。本当に俺に抱かれても良いと思ってくれてるんだなと胸がほわりと温かくなった。
その後のアキトの反応は、あまりの可愛さについつい抱きしめて頭を撫でたくなった。プライドに関わるかもしれないとなんとか我慢はしたが、そうしたいほどの可愛さだった。
俺の指がそっと乳首に触れた瞬間、アキトは不思議そうに首を傾げた。喘ぎ声どころか吐息すら洩らさないその無反応さが、そのままアキトの経験の無さだと思えばそれだけで嬉しくなってしまった。
「何で笑ってるの?」
拗ねたように聞かれて初めて、俺は自分が笑ってしまっている事に気づいた。拗ねているアキトもたまらなく可愛いな。
俺が笑っている理由なんて簡単だ。大好きな恋人がまっさらな体で、その体を全て自分好みに育てていく事ができる。そう知って喜ばない奴がいるだろうか。
「あーうん。仕込みがいがあるなと思って」
「しこっ…」
思わず本音の一部を洩らしてみれば、アキトは俺の言葉を繰り返しかけて絶句した。
「ごめん。でも今日はそんな事しないから安心してて良いよ」
アキトはボッと頬を赤く染めて、俺を見上げてきた。上目遣いのアキトも可愛いな。
「……本当に我慢するつもりだったんだよ?」
思わず口にした言い訳に、アキトはうっすらと笑いながら頷いてくれた。
「うん、ハルなら同意したら我慢しちゃうんだろうなって思ったんだ」
「まさかアキトから誘ってもらえるとは思って無かったから…暴走しそうかもしれない」
もちろん自制はするつもりだけど、正直に言えばどこまで我慢できるか自信は無い。まさかアキトから誘ってもらえるとは思ってもみなかったから。
「あー…俺は嬉しいけどな。だってそれだけ欲しがってくれてるって事だし」
こんな状況で殺し文句を口にしたアキトに、俺はぐっと押し黙った。可愛くてたまらないけれど、落ち着け。
「………もしアキトが許せないと思ったら、遠慮なく殴ってくれる?何なら魔法を使って止めてくれても良いから」
アキトは不思議そうに首を傾げた。
「分かった。嫌だったらちゃんと言うし、殴ってでも止めるよ」
戸惑いながらもとりあえず約束をしてくれたアキトに、俺はホッと息を吐いた。これで嫌な思いをさせてしまって嫌われる事だけは回避できたかもしれない。
抱き上げたアキトの体は驚く程に軽かった。身長はそれなりにあるのに、華奢なせいだろうか。食事はしっかり採っているのにこの重さだから体質とかが関係あるんだろうか。
そんな事を考えつつ、恋人抱きのままベッドの前まで足を進める。
「俺が暴走したら、どんな手段でも良いから全力で止めてね」
もう一度そう声をかけながら、アキトの体をベッドの上に横たえる。アキトはちらりと俺を見上げてから口を開いた。
「分かった。でも…俺、ハルになら何されても良いよ」
「っ!…嬉しいけど、あまり俺を甘やかさないで」
叱るように声をかけても不思議そうなアキトの上に、そっと全身で覆いかぶさる。両肘でアキトの顔を挟むようにして顔を近づければ、アキトは照れくさそうにそっと視線を反らした。
「別に甘やかしてるつもりはないんだけど……」
「いや、さっきからずっと甘やかされてる気分だよ」
苦笑を洩らしながらそう言えば、アキトはちらりと俺を見上げてきた。
「ハルだからだよ」
至近距離で見つめ合っていたアキトは、不意にふにゃりと笑みをこぼしながらそんな事を言い放った。その時の衝撃ときたら。俺は何もいう事ができず、ただ無言のままで固まった。
「今まで生きてきて、ハル以外の誰かを甘やかしたいなんて思った事は無いんだ。大好きなハルだからこそ俺に出来る事なら何でもしたいと思う」
本当にアキトは俺をどうしたいんだろう。
大人な対応とか、落ち着いた優しさとか、騎士という地位に相応しい振る舞いとか。周りから求められるのはいつもそんなものばかりだったのに。
アキトは違うんだな。俺だけを甘やかしたいと思ってくれてるんだ。
「あの…俺何かまずい事…っ」
無言の俺に慌てだしたアキトに、俺は衝動的に口づけた。愛おしい気持ちが溢れすぎてどうしても我慢ができなかった。
何度も何度も軽い口づけを重ねていけば、アキトはうっとりと目を閉じた。拒否はされていないようだとアキトの反応を探りながら口づけを続けていると、不意にアキトが動いた。
アキトはそっと唇を開くと、小さく舌を突き出してみせつけてきた。そうか、もっと深いキスがある事は知っているのか。ぎこちない仕草でされたでも明らかな誘惑に、俺は笑顔で応える。
舌を絡めた深いキスをしかければ、アキトは体を震わせながら甘い吐息を吐いた。
「んっ…っ…」
「アキト、大丈夫?」
夢中になっていた俺が我に返って覗き込んだ時には、顔中を真っ赤に染めたアキトの目は涙で潤んでいた。
「あー……やりすぎたかな?」
キスだけでこんなに反応してくれる事を嬉しく思う気持ちと同時に、暴走してしまった自分に申し訳ない気持ちになった。ぼんやりとしていたアキトは、ふるふると首を振って答えてくれた。
「すご…キスだけでも、こんなにきもちいいんだ」
「あーうん…それは光栄だけど…あまり煽らないで欲しいな」
言いながら腰骨の辺りを撫で上げてみれば、アキトはひゃっと叫び声を上げた。アキトは腰骨の辺りが弱いんだな。きちんと覚えておこう。
そのまま胸へと探るように手を這わせても、抵抗しようとする素振りは一切無い。本当に俺に抱かれても良いと思ってくれてるんだなと胸がほわりと温かくなった。
その後のアキトの反応は、あまりの可愛さについつい抱きしめて頭を撫でたくなった。プライドに関わるかもしれないとなんとか我慢はしたが、そうしたいほどの可愛さだった。
俺の指がそっと乳首に触れた瞬間、アキトは不思議そうに首を傾げた。喘ぎ声どころか吐息すら洩らさないその無反応さが、そのままアキトの経験の無さだと思えばそれだけで嬉しくなってしまった。
「何で笑ってるの?」
拗ねたように聞かれて初めて、俺は自分が笑ってしまっている事に気づいた。拗ねているアキトもたまらなく可愛いな。
俺が笑っている理由なんて簡単だ。大好きな恋人がまっさらな体で、その体を全て自分好みに育てていく事ができる。そう知って喜ばない奴がいるだろうか。
「あーうん。仕込みがいがあるなと思って」
「しこっ…」
思わず本音の一部を洩らしてみれば、アキトは俺の言葉を繰り返しかけて絶句した。
「ごめん。でも今日はそんな事しないから安心してて良いよ」
アキトはボッと頬を赤く染めて、俺を見上げてきた。上目遣いのアキトも可愛いな。
298
お気に入りに追加
4,145
あなたにおすすめの小説
突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています
ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた
魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。
そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。
だがその騎士にも秘密があった―――。
その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。
【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼第2章2025年1月18日より投稿予定
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる