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245.【ハル視点】殺し文句の威力※
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そう答えるなり、俺はアキトの体をそっと抱きかかえた。わわと可愛い声を上げたアキトは俺の首に腕を回して抱き着いてくる。
「……本当に我慢するつもりだったんだよ?」
思わず口にした言い訳に、アキトはうっすらと笑いながら頷いてくれた。
「うん、ハルなら同意したら我慢しちゃうんだろうなって思ったんだ」
「まさかアキトから誘ってもらえるとは思って無かったから…暴走しそうかもしれない」
もちろん自制はするつもりだけど、正直に言えばどこまで我慢できるか自信は無い。まさかアキトから誘ってもらえるとは思ってもみなかったから。
「あー…俺は嬉しいけどな。だってそれだけ欲しがってくれてるって事だし」
こんな状況で殺し文句を口にしたアキトに、俺はぐっと押し黙った。可愛くてたまらないけれど、落ち着け。
「………もしアキトが許せないと思ったら、遠慮なく殴ってくれる?何なら魔法を使って止めてくれても良いから」
アキトは不思議そうに首を傾げた。
「分かった。嫌だったらちゃんと言うし、殴ってでも止めるよ」
戸惑いながらもとりあえず約束をしてくれたアキトに、俺はホッと息を吐いた。これで嫌な思いをさせてしまって嫌われる事だけは回避できたかもしれない。
抱き上げたアキトの体は驚く程に軽かった。身長はそれなりにあるのに、華奢なせいだろうか。食事はしっかり採っているのにこの重さだから体質とかが関係あるんだろうか。
そんな事を考えつつ、恋人抱きのままベッドの前まで足を進める。
「俺が暴走したら、どんな手段でも良いから全力で止めてね」
もう一度そう声をかけながら、アキトの体をベッドの上に横たえる。アキトはちらりと俺を見上げてから口を開いた。
「分かった。でも…俺、ハルになら何されても良いよ」
「っ!…嬉しいけど、あまり俺を甘やかさないで」
叱るように声をかけても不思議そうなアキトの上に、そっと全身で覆いかぶさる。両肘でアキトの顔を挟むようにして顔を近づければ、アキトは照れくさそうにそっと視線を反らした。
「別に甘やかしてるつもりはないんだけど……」
「いや、さっきからずっと甘やかされてる気分だよ」
苦笑を洩らしながらそう言えば、アキトはちらりと俺を見上げてきた。
「ハルだからだよ」
至近距離で見つめ合っていたアキトは、不意にふにゃりと笑みをこぼしながらそんな事を言い放った。その時の衝撃ときたら。俺は何もいう事ができず、ただ無言のままで固まった。
「今まで生きてきて、ハル以外の誰かを甘やかしたいなんて思った事は無いんだ。大好きなハルだからこそ俺に出来る事なら何でもしたいと思う」
本当にアキトは俺をどうしたいんだろう。
大人な対応とか、落ち着いた優しさとか、騎士という地位に相応しい振る舞いとか。周りから求められるのはいつもそんなものばかりだったのに。
アキトは違うんだな。俺だけを甘やかしたいと思ってくれてるんだ。
「あの…俺何かまずい事…っ」
無言の俺に慌てだしたアキトに、俺は衝動的に口づけた。愛おしい気持ちが溢れすぎてどうしても我慢ができなかった。
何度も何度も軽い口づけを重ねていけば、アキトはうっとりと目を閉じた。拒否はされていないようだとアキトの反応を探りながら口づけを続けていると、不意にアキトが動いた。
アキトはそっと唇を開くと、小さく舌を突き出してみせつけてきた。そうか、もっと深いキスがある事は知っているのか。ぎこちない仕草でされたでも明らかな誘惑に、俺は笑顔で応える。
舌を絡めた深いキスをしかければ、アキトは体を震わせながら甘い吐息を吐いた。
「んっ…っ…」
「アキト、大丈夫?」
夢中になっていた俺が我に返って覗き込んだ時には、顔中を真っ赤に染めたアキトの目は涙で潤んでいた。
「あー……やりすぎたかな?」
キスだけでこんなに反応してくれる事を嬉しく思う気持ちと同時に、暴走してしまった自分に申し訳ない気持ちになった。ぼんやりとしていたアキトは、ふるふると首を振って答えてくれた。
「すご…キスだけでも、こんなにきもちいいんだ」
「あーうん…それは光栄だけど…あまり煽らないで欲しいな」
言いながら腰骨の辺りを撫で上げてみれば、アキトはひゃっと叫び声を上げた。アキトは腰骨の辺りが弱いんだな。きちんと覚えておこう。
そのまま胸へと探るように手を這わせても、抵抗しようとする素振りは一切無い。本当に俺に抱かれても良いと思ってくれてるんだなと胸がほわりと温かくなった。
その後のアキトの反応は、あまりの可愛さについつい抱きしめて頭を撫でたくなった。プライドに関わるかもしれないとなんとか我慢はしたが、そうしたいほどの可愛さだった。
俺の指がそっと乳首に触れた瞬間、アキトは不思議そうに首を傾げた。喘ぎ声どころか吐息すら洩らさないその無反応さが、そのままアキトの経験の無さだと思えばそれだけで嬉しくなってしまった。
「何で笑ってるの?」
拗ねたように聞かれて初めて、俺は自分が笑ってしまっている事に気づいた。拗ねているアキトもたまらなく可愛いな。
俺が笑っている理由なんて簡単だ。大好きな恋人がまっさらな体で、その体を全て自分好みに育てていく事ができる。そう知って喜ばない奴がいるだろうか。
「あーうん。仕込みがいがあるなと思って」
「しこっ…」
思わず本音の一部を洩らしてみれば、アキトは俺の言葉を繰り返しかけて絶句した。
「ごめん。でも今日はそんな事しないから安心してて良いよ」
アキトはボッと頬を赤く染めて、俺を見上げてきた。上目遣いのアキトも可愛いな。
「……本当に我慢するつもりだったんだよ?」
思わず口にした言い訳に、アキトはうっすらと笑いながら頷いてくれた。
「うん、ハルなら同意したら我慢しちゃうんだろうなって思ったんだ」
「まさかアキトから誘ってもらえるとは思って無かったから…暴走しそうかもしれない」
もちろん自制はするつもりだけど、正直に言えばどこまで我慢できるか自信は無い。まさかアキトから誘ってもらえるとは思ってもみなかったから。
「あー…俺は嬉しいけどな。だってそれだけ欲しがってくれてるって事だし」
こんな状況で殺し文句を口にしたアキトに、俺はぐっと押し黙った。可愛くてたまらないけれど、落ち着け。
「………もしアキトが許せないと思ったら、遠慮なく殴ってくれる?何なら魔法を使って止めてくれても良いから」
アキトは不思議そうに首を傾げた。
「分かった。嫌だったらちゃんと言うし、殴ってでも止めるよ」
戸惑いながらもとりあえず約束をしてくれたアキトに、俺はホッと息を吐いた。これで嫌な思いをさせてしまって嫌われる事だけは回避できたかもしれない。
抱き上げたアキトの体は驚く程に軽かった。身長はそれなりにあるのに、華奢なせいだろうか。食事はしっかり採っているのにこの重さだから体質とかが関係あるんだろうか。
そんな事を考えつつ、恋人抱きのままベッドの前まで足を進める。
「俺が暴走したら、どんな手段でも良いから全力で止めてね」
もう一度そう声をかけながら、アキトの体をベッドの上に横たえる。アキトはちらりと俺を見上げてから口を開いた。
「分かった。でも…俺、ハルになら何されても良いよ」
「っ!…嬉しいけど、あまり俺を甘やかさないで」
叱るように声をかけても不思議そうなアキトの上に、そっと全身で覆いかぶさる。両肘でアキトの顔を挟むようにして顔を近づければ、アキトは照れくさそうにそっと視線を反らした。
「別に甘やかしてるつもりはないんだけど……」
「いや、さっきからずっと甘やかされてる気分だよ」
苦笑を洩らしながらそう言えば、アキトはちらりと俺を見上げてきた。
「ハルだからだよ」
至近距離で見つめ合っていたアキトは、不意にふにゃりと笑みをこぼしながらそんな事を言い放った。その時の衝撃ときたら。俺は何もいう事ができず、ただ無言のままで固まった。
「今まで生きてきて、ハル以外の誰かを甘やかしたいなんて思った事は無いんだ。大好きなハルだからこそ俺に出来る事なら何でもしたいと思う」
本当にアキトは俺をどうしたいんだろう。
大人な対応とか、落ち着いた優しさとか、騎士という地位に相応しい振る舞いとか。周りから求められるのはいつもそんなものばかりだったのに。
アキトは違うんだな。俺だけを甘やかしたいと思ってくれてるんだ。
「あの…俺何かまずい事…っ」
無言の俺に慌てだしたアキトに、俺は衝動的に口づけた。愛おしい気持ちが溢れすぎてどうしても我慢ができなかった。
何度も何度も軽い口づけを重ねていけば、アキトはうっとりと目を閉じた。拒否はされていないようだとアキトの反応を探りながら口づけを続けていると、不意にアキトが動いた。
アキトはそっと唇を開くと、小さく舌を突き出してみせつけてきた。そうか、もっと深いキスがある事は知っているのか。ぎこちない仕草でされたでも明らかな誘惑に、俺は笑顔で応える。
舌を絡めた深いキスをしかければ、アキトは体を震わせながら甘い吐息を吐いた。
「んっ…っ…」
「アキト、大丈夫?」
夢中になっていた俺が我に返って覗き込んだ時には、顔中を真っ赤に染めたアキトの目は涙で潤んでいた。
「あー……やりすぎたかな?」
キスだけでこんなに反応してくれる事を嬉しく思う気持ちと同時に、暴走してしまった自分に申し訳ない気持ちになった。ぼんやりとしていたアキトは、ふるふると首を振って答えてくれた。
「すご…キスだけでも、こんなにきもちいいんだ」
「あーうん…それは光栄だけど…あまり煽らないで欲しいな」
言いながら腰骨の辺りを撫で上げてみれば、アキトはひゃっと叫び声を上げた。アキトは腰骨の辺りが弱いんだな。きちんと覚えておこう。
そのまま胸へと探るように手を這わせても、抵抗しようとする素振りは一切無い。本当に俺に抱かれても良いと思ってくれてるんだなと胸がほわりと温かくなった。
その後のアキトの反応は、あまりの可愛さについつい抱きしめて頭を撫でたくなった。プライドに関わるかもしれないとなんとか我慢はしたが、そうしたいほどの可愛さだった。
俺の指がそっと乳首に触れた瞬間、アキトは不思議そうに首を傾げた。喘ぎ声どころか吐息すら洩らさないその無反応さが、そのままアキトの経験の無さだと思えばそれだけで嬉しくなってしまった。
「何で笑ってるの?」
拗ねたように聞かれて初めて、俺は自分が笑ってしまっている事に気づいた。拗ねているアキトもたまらなく可愛いな。
俺が笑っている理由なんて簡単だ。大好きな恋人がまっさらな体で、その体を全て自分好みに育てていく事ができる。そう知って喜ばない奴がいるだろうか。
「あーうん。仕込みがいがあるなと思って」
「しこっ…」
思わず本音の一部を洩らしてみれば、アキトは俺の言葉を繰り返しかけて絶句した。
「ごめん。でも今日はそんな事しないから安心してて良いよ」
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