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241.ハルの手で※

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 ひとしきり笑い合った後には、俺の動揺はすっかりどこかに消えていた。こういう事に慣れてない俺がもし変な行動をしても、ハルは呆れたりしないって分かったから落ち着いたのかも。

 緊張しすぎの俺が落ち着くのを、ハルは待ってくれてたのかもしれないな。目の前にある紫の瞳をじっと見つめていると不意に思いが溢れてしまった。

「大好き、ハル」
「ああ、俺も大好きだよ」

 すぐに答えてくれたハルは、そのまま唇を重ねてきた。今回は最初から遠慮なく舌を絡めた大人のキスだ。

「んっ…む」

 たどたどしいながらも俺からも必死で舌を絡めれば、ハルの目が嬉しそうに細められる。見よう見まねだから絶対に下手だと思うんだけど、ただ応えようとしただけでもこんなに喜んでくれるんだ。そう思うと胸がいっぱいになった。

「アキト、嫌ならいつでも止めてね」

 そう前置きをしたハルは、俺の下半身へゆっくりと手を伸ばした。

「んあっ…」

 ハルの男らしいゴツゴツとした大きな手が、俺の性器をきゅっと握りこむ。ただそれだけで、思わず甘い声が漏れてしまった。

 媚薬騒動の時には処理を手伝ってもらったけど、あの時はあくまで俺の手を使ってだった。あれはオナニーの延長みたいなものだったんだと、実際にハルの手で握られると実感してしまう。

「っ…ああっ…」

 焦らすつもりはないのか、ハルの手はすぐに動き出した。びくりと俺の体が震えた場所に触れながら、少しずつ速度を上げていく。

「んあっ…ハ…っる…」
「気持ち良い?」
「うんっ…きもちっ、いっ…あ」

 翻弄するようなハルの手の動きに、俺の限界はすぐにやってきた。ぎゅっと目をつむった俺は、必死でハルに訴えた。

「やっ…もう、イっ」
「イきそう?」
「うん、……っん…」
「イっていいよ」

 優しい声の囁きにふと目を開けると、ハルはまっすぐに俺の顔を見つめていた。

「えっ…あっ、みなっ…でっ…んあっ」
「見せて」
「なん…ああっ…くっ」

 もう我慢できなかった俺は、甘い目をしたハルに見つめられながらあっけなく達した。

 上がりきった俺の息が整うまで、ハルは何も言わなかった。いつの間に用意したのか近くにあった布で丁寧に手を拭っているのを、ぼんやりと涙で滲んだ視界で見つめる。

「……見ないでって言ったのに」

 あそこまでじっくり見なくても良くなかった?恨みがましい声でそう呟けば、ハルは困った顔をして答える。

「どうしても見たかったから、ごめんね」
「どうしてもって…」

 にっこりとわざとらしく笑ったハルに嫌な予感がした俺は、それ以上追及するのはやめる事にした。これ以上聞いたら、どうして見たかったのかって説明が始まりそうだ。そんなの恥ずかしすぎて絶対に耐えられない。

「あー…えっと、じゃあ俺もハルの触りたい!」

 それでハルがイく時の顔を、俺もじっくり見てやるんだ。俺としては良い案だと思ったんだけど、ハルはあっさりと首を振った。

「今アキトに触られたら本気で暴走しそうだから、今日は無理かな」
「…暴走して良いのに?」
「それよりこっち、触らせて欲しいな」

 耳元で囁きながら、ハルの手が俺のお尻に触れた。

「アキトが嫌だったらもちろん我慢するけど」
「嫌じゃないけど…でも、汚い…から」

 今の今まで忘れてたけど、俺、何も準備してないんだよね。

 スマホ一つで何でも検索できたから、経験は無くてもそういう知識ぐらいはちゃんとある。男同士でそういう事をする前は、洗浄とか準備が必要なんだよね。あーもっとちゃんとこっちの世界での準備の仕方とかも調べておけば良かった。

「汚くなんてないけど、気になるならこうしようか」

 ボソボソと何かを呟くと、すぐにハルの指先に淡いオレンジ色の光が集まった。それってもしかして――。

「浄化魔法?」
「うん、正解」

 へー浄化魔法ってそんな事にも使えるんだ?ちょっと便利すぎるよねと考えているうちに、ハルの手は俺の後ろにそっと触れた。浄化魔法を人にかけられるのは初めてだけど、ほわりと体の中が温かくなったような気がした。

「うん、中まで綺麗になったよ」
「浄化魔法ってすごいんだね」
「ああ、これで触っても大丈夫だね」

 満面の笑みのハルに、俺は小さな声で答えた。

「う、お手柔らかにお願いします」
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