生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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239.たくさんのキスを※

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 まさかこんな風に抱き上げられてベッドへ運ばれる日が来るなんて、夢にも思わなかった。しかもその相手が俺の理想を軽々と超えてくる人だなんて、想像できるわけが無いよね。

 優しい上に頼り甲斐もあって格好良い。しかも大人の魅力に悪戯っ子みたいな可愛い面まであるとか、過去の俺に教えても絶対に信じてくれないと思う。

 軽々と室内を移動したハルは、ベッドの前で立ち止まった。

「俺が暴走したら、どんな手段でも良いから全力で止めてね」

 念を押すように口ではそんな事を言いながらも、俺の体をベッドの上に横たえるハルの手つきはどこまでも優しい。うーん、折角ならちょっとぐらい暴走したハルも見てみたいんだけどな。俺を欲しがって余裕が無くなったハルとか、ぜひ見てみたい。

「分かった。でも…俺、ハルになら何されても良いよ」
「っ!…嬉しいけど、あまり俺を甘やかさないで」

 叱るようにそう言ったハルは、そっと俺の上に覆いかぶさってきた。体重はかからないようにしてくれてるみたいだから別に重くは無いんだけど、視界に入るのはハルだけってのがたまらない気持ちになる。

「別に甘やかしてるつもりはないんだけど……」
「いや、さっきからずっと甘やかされてる気分だよ」

 苦笑を洩らしたハルの耳元に唇を寄せて、ぽつりと呟く。

「ハルだからだよ」

 今まで生きてきて、ハル以外の誰かを甘やかしたいなんて思った事は無い。大好きなハルだからこそ俺に出来る事なら何でもしたいと思うんだ。嘘偽りの無い本音を口にしたんだけど、ハルは無言で俺を見つめたまま固まってしまった。

「あの…俺何かまずい事…っ」

 そのまま謝罪の言葉を続けようとしたんだけど、言葉の続きはハルの唇によって阻まれた。

 言葉も無く何度も何度も重なってくる唇は、軽く触れてはすぐに離れていく。ひとつひとつは軽いキスなのに、繰り返しているうちにじんわりと体が熱くなってくる。

 じれったい触れ合いに我慢できなくなった俺は、唇が離れた瞬間にそっと口を開いて小さく舌を突き出してみた。きっとぎこちなかっただろう俺の誘いに、ハルは幸せそうにとろけた笑みを浮かべて応えてくれた。

 舌を絡めた深いキスに翻弄されているうちに、どんどん息が上がっていく。

「んっ…っ…」

 やっとハルが唇を解放してくれた時には、俺はもう息も絶え絶えだった。

「アキト、大丈夫?」

 やりすぎたかなと心配そうに覗き込んできたハルに、俺はまだぼんやりとした頭を必死で動かして何とか答えた。

「すご…キスだけでも、こんなにきもちいいんだ」
「あーうん…それは光栄だけど…あまり煽らないで欲しいな」

 ハルはそう言うと、そっと腰骨の辺りを撫で上げた。

「ひゃっ…」
「びっくりした?」

 ごめんねと律儀に謝ったハルに、俺は小さく頷きだけを返した。ただ撫でられただけでこんな電流みたいな刺激が走るなんて思ってなかったから、既に結構いっぱいいっぱいだ。

 ハルの手は遠慮も躊躇も無く、腰から胸へと探るように上がってきた。もうすぐ乳首に辿り着くと密かに身構えていたんだけど、予想外にも乳首に触れられてもさっきみたいな電流は一切走らなかった。

 あれ?男同士のそういう動画とかはそれなりに見た事あるんだけど、乳首を触られて喘いでるのとか普通にあったのにな。

 可愛く喘いだりできなかったけど、ハルはどう思ってるんだろう。ほんの少し心配しながら見上げたハルは、何故か嬉しそうに笑っていた。

「何で笑ってるの?」
「あーうん。仕込みがいがあるなと思って」
「しこっ…」

 思わず絶句した俺に、ハルは眉を下げて笑った。

「ごめん。でも今日はそんな事しないから安心してて良いよ」

 いやいやいや。安心できる要素なんて何も無いよね。今日はって事は、これから仕込む気満々って事でしょ?

 そう思う反面、俺の体をハルが変えていくんだって思ったら、それも悪くないかななんて考えてしまった。ボッと頬を赤く染めた俺を、ハルは揶揄うでもなくただ幸せそうに笑うだけだった。
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