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145.野営地を作る技術
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ルセフさんの活躍っぷりは、それはもう凄かった。
どうやら俺の書いたノートを読んだ時点で、ルセフさんの頭の中ではだいたいこの辺りかなって素材は思い浮かんでいたらしい。次々と素材名と用途を口にするルセフさんの知識量に感心しながら、俺たちは言われるがままに採取をして回った。
「よし、これで終わりだな」
ルセフさんがそう宣言するまでに要した時間は、ほんのわずかだった。これが知識量の差か、それとも経験の差か。いや、どっちもかな。にこにこ笑顔で見守ってるハルも、その気になればこういう事が出来てしまうんだろうな。俺もこれぐらいできるようになりたいな。
「じゃあ帰ろうか」
「はい」
「はーい」
今日の調査はこれで終了と言うことで、俺たちはストイン湖を目指して歩き出した。
「ブレイズとアキトは今日の調査どうだった?」
「すごく楽しかったです!」
「俺も!アキトと競争して調べるのも楽しかったし、指示してもらって採取して回るのも楽しかった!」
二人して即答すると、ルセフさんはうんうんと頷いてくれた。
「今日調査したのは湖から見て西側の森だったんだけど、帰る前に東側も調査しないと駄目なんだ」
「東側だけ?」
「北と南は良いんですか?」
「ああ、北も南もふたご山に繋がってるから、今回は必要ないってさ」
ふたご山の調査はだいぶ前に終わっているから、調べても特に目新しい事は無いだろうというのがギルドの意見なんだって。依頼票にはそんな事まで載ってなかったんだけど、ルセフさんは事前にきっちり確認してきたらしい。そうか、自分でギルド職員に聞いて確認するのも大事なんだ。
「もし良ければそっちの調査も二人に手伝ってほしいんだが…どうだ?」
「っ!やります!」
「俺も!アキトとルセフさんみたいには出来ないけど、精一杯頑張る!」
「よっし!」
やる気十分な俺たちの返事に、ルセフさんはガッツポーズを決めると嬉しそうに笑い出した。
「あー良かった。ウォルターとファリーマは脳筋だから、こういう調査は向いてないんだよ」
さらりと年上組の二人をそう評したルセフさんに、ブレイズと二人で顔を見合わせた。俺的には、この世界にも脳筋って言葉がある事がびっくりだよ。
「まあ、力仕事はあいつらの得意分野なんだけどな」
ストイン湖まで帰り着いた俺とブレイズは、大きく目を見開いてその場に立ち尽くしていた。
だってあんなにちょっとしかなかった平地が、明らかに広がってるんだよ。ただ木が切られてるだけならまだ理解はできる。できるんだけど、綺麗に切り株まで無くなってるという不思議現象だ。
「おう、おかえりー」
「どうだ、びっくりしたか!?」
自慢げなウォルターさんとファリーマさんに、俺とブレイズは激しく頷きながらもどうやってやったのかを聞いてみた。
ファリーマさんは水魔法を使って水分を抜き取って枯らしてから、土魔法を使って地面を動かして切り株を撤去したらしい。最後は火魔法で燃やしてから土魔法で埋めたらしいよ。すごい、魔法を活用しまくっている。説明している間もすっごく生き生きしていて、本当に魔法が好きなんだなって感じたよ。
一方、ウォルターさんは、ファリーマさんが枯らした切り株をひたすら力技で引っこ抜いたらしいよ。あんなに重い盾をなんなく振り回すには、それぐらいの腕力が必要って事なのかな。人力でそんな事をできるなんて、すごすぎるよね。
「あ、ちゃんと座る用のは、こっちとあっちに残しておいたから」
ファリーマさんに言われて見てみれば、確かに他の野営地と同じ様に切り株がいくつか残されている。野営をしている時に座る用に、わざわざ計算して残してくれているみたいだ。
「魔物避け置き場も、ちゃんと距離測って設置してきたぞ」
ウォルターさんの言葉に、ルセフさんは頷きで答えた。魔物避けの効果距離には限りがあるって言ってたから、そこは確かに大事な所だ。二人だけでしかもこんなに短時間で、ここまで立派な野営地を作れるなんて想像していなかった。
「うん、二人とも良い腕だな」
ハルも満面の笑みで絶賛しているって事は、これがこの世界の常識ってわけじゃないんだろうな。やっぱりこの二人がすごいって事だ。
「うん、良い野営地になったな」
満足そうに野営地を誉めたルセフさんに、二人は満更でも無い顔で笑いながら拳をぶつけ合っていた。
どうやら俺の書いたノートを読んだ時点で、ルセフさんの頭の中ではだいたいこの辺りかなって素材は思い浮かんでいたらしい。次々と素材名と用途を口にするルセフさんの知識量に感心しながら、俺たちは言われるがままに採取をして回った。
「よし、これで終わりだな」
ルセフさんがそう宣言するまでに要した時間は、ほんのわずかだった。これが知識量の差か、それとも経験の差か。いや、どっちもかな。にこにこ笑顔で見守ってるハルも、その気になればこういう事が出来てしまうんだろうな。俺もこれぐらいできるようになりたいな。
「じゃあ帰ろうか」
「はい」
「はーい」
今日の調査はこれで終了と言うことで、俺たちはストイン湖を目指して歩き出した。
「ブレイズとアキトは今日の調査どうだった?」
「すごく楽しかったです!」
「俺も!アキトと競争して調べるのも楽しかったし、指示してもらって採取して回るのも楽しかった!」
二人して即答すると、ルセフさんはうんうんと頷いてくれた。
「今日調査したのは湖から見て西側の森だったんだけど、帰る前に東側も調査しないと駄目なんだ」
「東側だけ?」
「北と南は良いんですか?」
「ああ、北も南もふたご山に繋がってるから、今回は必要ないってさ」
ふたご山の調査はだいぶ前に終わっているから、調べても特に目新しい事は無いだろうというのがギルドの意見なんだって。依頼票にはそんな事まで載ってなかったんだけど、ルセフさんは事前にきっちり確認してきたらしい。そうか、自分でギルド職員に聞いて確認するのも大事なんだ。
「もし良ければそっちの調査も二人に手伝ってほしいんだが…どうだ?」
「っ!やります!」
「俺も!アキトとルセフさんみたいには出来ないけど、精一杯頑張る!」
「よっし!」
やる気十分な俺たちの返事に、ルセフさんはガッツポーズを決めると嬉しそうに笑い出した。
「あー良かった。ウォルターとファリーマは脳筋だから、こういう調査は向いてないんだよ」
さらりと年上組の二人をそう評したルセフさんに、ブレイズと二人で顔を見合わせた。俺的には、この世界にも脳筋って言葉がある事がびっくりだよ。
「まあ、力仕事はあいつらの得意分野なんだけどな」
ストイン湖まで帰り着いた俺とブレイズは、大きく目を見開いてその場に立ち尽くしていた。
だってあんなにちょっとしかなかった平地が、明らかに広がってるんだよ。ただ木が切られてるだけならまだ理解はできる。できるんだけど、綺麗に切り株まで無くなってるという不思議現象だ。
「おう、おかえりー」
「どうだ、びっくりしたか!?」
自慢げなウォルターさんとファリーマさんに、俺とブレイズは激しく頷きながらもどうやってやったのかを聞いてみた。
ファリーマさんは水魔法を使って水分を抜き取って枯らしてから、土魔法を使って地面を動かして切り株を撤去したらしい。最後は火魔法で燃やしてから土魔法で埋めたらしいよ。すごい、魔法を活用しまくっている。説明している間もすっごく生き生きしていて、本当に魔法が好きなんだなって感じたよ。
一方、ウォルターさんは、ファリーマさんが枯らした切り株をひたすら力技で引っこ抜いたらしいよ。あんなに重い盾をなんなく振り回すには、それぐらいの腕力が必要って事なのかな。人力でそんな事をできるなんて、すごすぎるよね。
「あ、ちゃんと座る用のは、こっちとあっちに残しておいたから」
ファリーマさんに言われて見てみれば、確かに他の野営地と同じ様に切り株がいくつか残されている。野営をしている時に座る用に、わざわざ計算して残してくれているみたいだ。
「魔物避け置き場も、ちゃんと距離測って設置してきたぞ」
ウォルターさんの言葉に、ルセフさんは頷きで答えた。魔物避けの効果距離には限りがあるって言ってたから、そこは確かに大事な所だ。二人だけでしかもこんなに短時間で、ここまで立派な野営地を作れるなんて想像していなかった。
「うん、二人とも良い腕だな」
ハルも満面の笑みで絶賛しているって事は、これがこの世界の常識ってわけじゃないんだろうな。やっぱりこの二人がすごいって事だ。
「うん、良い野営地になったな」
満足そうに野営地を誉めたルセフさんに、二人は満更でも無い顔で笑いながら拳をぶつけ合っていた。
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