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140.ストイン湖に到着
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昨夜の不気味さが嘘のように、朝の森の中は穏やかだった。空気もなんだか新鮮な気がするし、朝露に濡れた植物がキラキラしているのがすごく綺麗だ。
「晴れて良かったな」
「前の調査依頼の日は、確か土砂降りだったな」
前衛組のそんな会話を聞きながら歩いていると、ふと気になる植物が目に留まった。今回は移動中は採取をしないと事前に決められていたため、たとえ気になる植物があっても立ち止まる事はできない。
あれって中級の図鑑で見たやつかな。そう考えながらじっと見つめていると、俺の視線の先に気づいたハルがそっと教えてくれた。
「あれはバーキス草だね。特に腹痛に効く薬草の一種で、中級の図鑑に載ってたやつだよ」
あ、やっぱりそうなんだ。ありがとうと小さくお辞儀をすれば、ハルはどういたしましてと言いながら柔らかく笑ってくれた。
そこからはチームの皆ともたまに話しながら歩いていたんだけど、ふと気になる物があるとすかさずハルが教えてくれるんだよね。
しかもあれは常時買取の薬草だとか、あれは食べられる実だとかそんなちょっとした情報ばかり教えてくれるんだ。図鑑にメモしたいと覆わない程度のちょっとした情報に、俺はワクワクしながら耳を傾けていた。
「アキト、疲れてない?」
「まだ大丈夫!ありがと、ブレイズ」
むしろ昨日よりも元気な気がすると思いながら歩いていると、木々の切れ目から不意に綺麗に澄んだ水面が見えた。
「あれって…もしかして?」
同じ景色を見つめていたブレイズがそう声を上げれば、ルセフさんはすぐに答えた。
「ああ、目的地だな」
「なかなか綺麗な湖みたいだな」
「こんな所に湖があるなんて知らなかったぜ」
そんな事をわいわいと話しながら、皆で一緒に進んでいく。目的地がもうすぐそことなれば、進むスピードだって自然と速くなる。俺たちは競うように、小走りでストイン湖へと辿り着いた。
まず目に飛び込んできたのは澄み切った水を湛えた湖と、わずかばかりの平地、そして鬱蒼とした木々に覆われた森だった。
「今の所、魔物の気配は無いな」
「よっしゃ!」
ルセフさんがそう言った瞬間、チームのメンバーはバラバラに散らばっていった。
ウォルターさんは木々の方へ一直線だったし、ファリーマさんは森の辺りの茂みを覗き込んでいる。ルセフさんは平地に進んでいくと、どさりと荷物を下ろしている。
「なあ、アキト、湖見に行こう!」
「あ、うん!」
ブレイズに誘ってもらった俺は、まっすぐ湖へと近づいていった。ハルも当然後ろから着いてくる。
水底にある藻や水草まで視認できる水の透明度に、俺とブレイズは思わず歓声を上げた。小魚が泳いでいるのも見えたから、大きな魚もいるかもしれない。
「おーい、満足したら集合してくれー」
ルセフさんの言葉で、散っていたメンバーが集合した。
「皆、お疲れ様!」
「お疲れー」
「お疲れ様です」
「お疲れ、無事に辿り着けたな」
「ああ…ちょっと魔物の気配が無さすぎるのが気になるんだがな…」
「それもそうだな」
会話の意味が分からなくて首を傾げると、俺の隣でブレイズも同じく首を傾げていた。
「ああ、アキトとブレイズはまだ知らないよな」
調査依頼での目的地というのは、今までギルドでは活用されていなかった場所ばかりが対象になる。冒険者があまり来ない場所というのは、それだけ魔物が多くなる傾向にあるらしい。まあ、ちょっと考えれば納得だよね。
「そこまで強いのが出るとかじゃないんだけどな、単純に数が多い事が多いんだよ」
事前に討伐のためだけの依頼も出ていた筈だから、そいつらが張り切っただけならまあ良いんだけどな。そう呟いたルセフさんは、眉間にしわを寄せたまま、そっと辺りを見渡した。
「晴れて良かったな」
「前の調査依頼の日は、確か土砂降りだったな」
前衛組のそんな会話を聞きながら歩いていると、ふと気になる植物が目に留まった。今回は移動中は採取をしないと事前に決められていたため、たとえ気になる植物があっても立ち止まる事はできない。
あれって中級の図鑑で見たやつかな。そう考えながらじっと見つめていると、俺の視線の先に気づいたハルがそっと教えてくれた。
「あれはバーキス草だね。特に腹痛に効く薬草の一種で、中級の図鑑に載ってたやつだよ」
あ、やっぱりそうなんだ。ありがとうと小さくお辞儀をすれば、ハルはどういたしましてと言いながら柔らかく笑ってくれた。
そこからはチームの皆ともたまに話しながら歩いていたんだけど、ふと気になる物があるとすかさずハルが教えてくれるんだよね。
しかもあれは常時買取の薬草だとか、あれは食べられる実だとかそんなちょっとした情報ばかり教えてくれるんだ。図鑑にメモしたいと覆わない程度のちょっとした情報に、俺はワクワクしながら耳を傾けていた。
「アキト、疲れてない?」
「まだ大丈夫!ありがと、ブレイズ」
むしろ昨日よりも元気な気がすると思いながら歩いていると、木々の切れ目から不意に綺麗に澄んだ水面が見えた。
「あれって…もしかして?」
同じ景色を見つめていたブレイズがそう声を上げれば、ルセフさんはすぐに答えた。
「ああ、目的地だな」
「なかなか綺麗な湖みたいだな」
「こんな所に湖があるなんて知らなかったぜ」
そんな事をわいわいと話しながら、皆で一緒に進んでいく。目的地がもうすぐそことなれば、進むスピードだって自然と速くなる。俺たちは競うように、小走りでストイン湖へと辿り着いた。
まず目に飛び込んできたのは澄み切った水を湛えた湖と、わずかばかりの平地、そして鬱蒼とした木々に覆われた森だった。
「今の所、魔物の気配は無いな」
「よっしゃ!」
ルセフさんがそう言った瞬間、チームのメンバーはバラバラに散らばっていった。
ウォルターさんは木々の方へ一直線だったし、ファリーマさんは森の辺りの茂みを覗き込んでいる。ルセフさんは平地に進んでいくと、どさりと荷物を下ろしている。
「なあ、アキト、湖見に行こう!」
「あ、うん!」
ブレイズに誘ってもらった俺は、まっすぐ湖へと近づいていった。ハルも当然後ろから着いてくる。
水底にある藻や水草まで視認できる水の透明度に、俺とブレイズは思わず歓声を上げた。小魚が泳いでいるのも見えたから、大きな魚もいるかもしれない。
「おーい、満足したら集合してくれー」
ルセフさんの言葉で、散っていたメンバーが集合した。
「皆、お疲れ様!」
「お疲れー」
「お疲れ様です」
「お疲れ、無事に辿り着けたな」
「ああ…ちょっと魔物の気配が無さすぎるのが気になるんだがな…」
「それもそうだな」
会話の意味が分からなくて首を傾げると、俺の隣でブレイズも同じく首を傾げていた。
「ああ、アキトとブレイズはまだ知らないよな」
調査依頼での目的地というのは、今までギルドでは活用されていなかった場所ばかりが対象になる。冒険者があまり来ない場所というのは、それだけ魔物が多くなる傾向にあるらしい。まあ、ちょっと考えれば納得だよね。
「そこまで強いのが出るとかじゃないんだけどな、単純に数が多い事が多いんだよ」
事前に討伐のためだけの依頼も出ていた筈だから、そいつらが張り切っただけならまあ良いんだけどな。そう呟いたルセフさんは、眉間にしわを寄せたまま、そっと辺りを見渡した。
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