生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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125.依頼の詳細

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 四人から拍手で受け入れてもらえた後は、細かい確認に移行した。

 最初に聞かれたのは、寝袋とテントを持っているかだった。

 調査依頼は野宿をしながら数日かけて行うため、寝袋とテントは必須らしい。冒険者デビューの時にハルに言われて買ったけど、全く使わないから持ち歩いてなかったあれか。忘れずに鞄に入れておかないとな。

「あ、食料は今回もチームでのまとめ買いで用意するから」

 ルセフさんの言葉に、俺は驚いてしまった。

「え、各自用意じゃないんですか?」
「まとめ買いした方が、かなり安くつくからね」

 ルセフさんはそう言うと、もちろん現地調達もするけどねと朗らかに笑ってみせた。

「ちなみにアキト、好き嫌いってある?」
「いえ、ありませんけど…」
「じゃあ俺の料理楽しみにしてて」

 え、今料理って言った?外で料理するの???はてなマークを飛ばす俺に、ブレイズは自慢げに口を開いた。

「ルセフさんの料理はめっちゃうまいんだよー」
「へーそうなんだ!」

 キャンプごはんみたいな感じなのかなと、思わずワクワクしてしまう。

「楽しみにしてます!」

 気持ちがこもりすぎた俺の言葉にも、笑顔のルセフさんって良い人だよな。ちなみに食費分は依頼報酬が出た時に徴収されるらしく、後払いで良いとの事だった。



 詳細確認が終わると、早速ギルドでの手続きをすることになった。ゾロゾロと5人で受付に近づいていくと、メロウさんと目があった。にっこり癒し系の笑顔に、俺も思わず笑みを返す。

「メロウさん、これお願いします」

 ルセフさんが差し出した依頼票の横に皆がギルドカードを並べていくのを見て、俺も慌ててギルドカードを取り出した。

「ストイン湖の調査依頼ですね。Dランク以上5名、確かに」

 手元にあった魔道具を駆使して、メロウさんはあっという間に手続きを終わらせてくれた。

「報告を楽しみにしています」
「はい、ありがとうございます」

 戻ってきたギルドカードと依頼票を、ルセフさんは大事そうに鞄にしまい込んだ。

「ウォルターさん」
「はい!」
「ファリーマさん」
「はい」
「ブレイズさん」
「はーい」

 順番に名前を呼びながら、メロウさんはギルドカードを本人の手に返していく。ギルドカード払いがあるから、取り違えたら大問題だもんな。

「アキトさん」
「はい」

 俺にカードを差し出しながら、メロウさんはにっこりと笑みを浮かべた。

「このチームと一緒に行動するのは必ず良い経験になります。楽しんできて下さい」
「はい!いってきます」
「ええ。いってらっしゃい、お気をつけて」



 受付から離れて掲示板の近くまで離れると、ウォルターさんとファリーマさんはふうーと大きく息を吐いた。

「あー緊張した」
「ほんとにな」

 その言い方からして、二人はメロウさんがサブギルマスだと知ってるんだな。

「えーなんで?メロウさん優しいのに?」

 俺とアキトのランクアップ試験もやってくれた人だよと不思議そうなブレイズに、ルセフさんは苦笑を洩らした。

「ブレイズには移動中に教えてやるから…アキトは知ってそうだな」
「ええ、まあ」
「あーそれにしてもメロウさんが俺たちの事をあんな風に言ってくれるとはな…期待されるってのは嬉しいもんだな」

 ルセフさんがしみじみと口にした言葉に、ウォルターさんとファリーマさんはにやりと笑いながら大きく頷いている。え、どういうこと。思わず首を傾げると、ハルがそっと教えてくれた。

「このチームと一緒に行動するのは必ず良い経験になりますって言ってただろう?つまりこのチームはメロウに高く評価されてるって事だよ」

 ハルによると、メロウさんの辞書にお世辞という言葉は存在しないらしい。実力を認めた相手だからこそ、ああいう表現をしたんだって。それで皆はこんなに嬉しそうなのか。

 俺まで幸せな気分になるぐらいの笑顔だった。
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