生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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124.調査依頼

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 ブレイズの仲間達との食事は、お酒が入っていないのが信じられないほどの盛り上がりを見せた。

 根っからのわんこ気質なブレイズは、アキトとごはんが一緒に食べれて嬉しいなんて可愛い事を言いつつ上機嫌だった。

 俺が疎外感を感じないようにか、ルセフさんはあれこれと幅広い話題を振ってくれた。少し話しただけでも知識量がすごくて、なんだかハルと気が合いそうな人だ。

 豪快に笑うウォルターさんは、きちんと俺の事も気にかけてくれるお兄さん気質な人だった。ブレイズの兄ちゃん呼びは毎回きっちりと否定するものの、実の兄のようにブレイズを可愛がっているみたいだ。

 ファリーマさんは本当に魔法が大好きな人で、俺がつぶて派だと聞くと仲間だと大喜びしてくれた。ドロシーさんの魔法のファンで、授業を受けた時の様子を聞きたがった。

 気づけばウォルターさんとファリーマさんが言い合いをしていたり、ブレイズが皆の料理を遠慮なくつまみ食いして叱られたりと大騒ぎだ。

「あー賑やかだろ?びっくりしたか?」
「はい、でも楽しいです」

 追加注文してくれた料理まできっちりと食べつくした頃、ルセフさんがさてと切り出した。全員が一瞬でルセフさんの方を見て黙り込む感じからして、ルセフさんがリーダーなんだろうか。

「依頼の話だけど、まずはこれに目を通して欲しい」

 差し出された依頼票をそっと覗き込んでみれば、そこには調査依頼と言う見慣れない文字が並んでいた。俺の横から依頼票を覗き込んでいたハルは、へぇと声を上げた。

「ギルドの依頼で、新しく発見された場所などを調べるのが調査依頼だよ。どんな魔物が出るか調査しながらの討伐や、どんな素材が採れるかの調査も含まれている」

 ブレイズの仲間は冒険者ギルドにかなり信頼されてるみたいだねと、ハルは感心した様子だ。

「今回はめったにない調査依頼なんだが、問題がひとつあってな…調査依頼には人数制限があるんだよ」
「人数制限ですか?」
「5人以上で行くってのが規則でな」

 ルセフさんによれば、今までにも何度か調査依頼をまかされた事はあるらしい。その時は知り合いや友人を誘って5人以上で挑んでいたそうだ。

「ただ、今回は頼れる友人達の手が空いてなくてな」

 ルセフさんの言葉に、ファリーマさんが不貞腐れながら口を開いた。

「俺が誘うつもりだったやつらは、護衛任務で遠くに行ってて帰ってこないんだ」
「任務なら仕方ねぇけど、俺なんて実家に帰るから無理だってあっさり断られたぞ」

 ウォルターさんはそう言うと、まあ仕方ないけどよと豪快に笑ってみせた。ルセフさんも、苦笑いしながら続ける。

「俺のツテも全滅だったんだ」

 だからこそ誰も知り合いがいないだろうと思いつつも、信頼できる奴がいたら誘ってこいとブレイズに無茶ぶりをしたらしい。

「そしたら本当に連れてくるんだもんなーブレイズすごいわ」

 ファリーマさんに誉められて、ブレイズは嬉しそうににこにこと笑っている。

「そこまで危険な任務では無いし、アキトさえ良ければ一緒に行かないか?」
「えーと…」

 ハルの意見を求めて視線を上げれば、ハルは大きく頷いてくれた。誘ってくれた理由が人数合わせだとしても、調査依頼自体には興味がある。

「調査依頼に興味があるのでぜひ参加したいんですけど…実力も知らないのに本当に俺で良いんですか?」

 ずっと気になってた事を、直球で聞いてみた。ちょっと喋っただけでも、こんな質問で怒り出すような人達じゃないと分かったからだ。

「実力はブレイズが知ってるだろ?」

 ウォルターさんの言葉に、ブレイズはぶんぶんと頷いている。

「ああ、こいつが懐いてるって事は実力を認めた相手だからな」

 ルセフさんがそう続ければ、ファリーマさんも笑顔で頷いてみせる。ブレイズにはあの試験での魔法しか見せてないのに、そんな風に思ってくれてるなんて思ってもみなかった。

「ほら、アキトの魔法は一流だって言っただろ?」

 もっと自信を持つべきだよと笑顔で続けたハルに、俺は小さく頷いて口を開いた。

「よろしくお願いします」
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