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8.森の中をひたすら進む
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森の中を歩くのは大変だけど、思ったよりも楽しい。一人だったら無言でもくもくと歩くしかないだろうし孤独感がやばそうだけど、俺には頼もしい同行者がいるからな。
ハルは森歩きのコツや、食べられる果物、採取した方が良い物などあれこれとためになる話をしてくれた。
さっそく採取しようとしたら速攻で止められたけどね。
村に近づいてから入手した方が痛まないって言われたら、納得するしかない。それでもあれこれと知識を増やしてくれるのはありがたい。
ハルは話しながらもきちんと俺の様子を見てくれているみたいで、ちょっと疲れたかなと思ったくらいでこまめに休憩もはさんでくれる。本人は幽霊だから疲れないのに、気配りがすごい。
「あとどのくらい?」
今は木陰に座って休憩中。ごしごしと服で皮をこすってから、ジウプの果実にかぶりつく。
じつはこれ、この世界に来てすぐに俺が見つけた、赤と青のグラデーションの果実だ。毒がありそうだなと思いながら眺めてたやつ。ハルいわく毒は無くて、皮ごと食べられて、しかも疲労回復に効く。グラデーションが綺麗に出てるものほど美味しいらしい。
選んでくれた実を齧ってみれば、酸味が強めだけどシャキシャキした食感で味はリンゴみたいだ。疲れた体に果汁がすみずみまで染み渡っていくような気がする。水分も補えるし、しみじみうまい。
「あと2時間くらいかな」
「2時間かー」
「直線距離なら1時間程だけど、魔物の気配が無い道を選んでるからそれぐらいはかかると思う」
ハルは気配を読むのが得意なんだって。おかげで俺はハルと行動しだしてから、まだ一度も魔物に会って無い。時間はもっとかかっても良いので、この調子で安全な道でお願いしますとお願いしておいた。
この休憩から、やっと採取は解禁になった。
「そこにあるナーパ草は、にがいけど簡易な回復薬として使えるんだ」
「へー回復薬」
「だから村で売るならこれは喜ばれる…そうだな、5束くらいは引き取ってもらえると思うから、摘んでいこうか」
摘んだ薬草は、近くにあったツタで束ねてくくった。さらりとほどけてこない結び方まで教えてくれるハルは、指示の出し方がうまい気がする。何をやってた人なんだろう。
しばらく歩いていくと、見覚えのある果実が実っているのが見えてきた。あの毒がありそうな赤青グラデーションは間違いない。
「あ、あれってさっき食べたジウプの実だよな?」
「そうそう、名前覚えたんだね」
「美味しかったから」
「あれもぜひ持って行きたいやつだけど、持てる?」
「リュックに入れれば大丈夫!」
いそいそとリュックの中に摘んだ実を入れていく。
「そういえば、リュックというのも異世界語だよね」
「え…じゃあ何て呼べば良い?」
「んー背負い鞄って言うかな」
ちょこちょこ入ってしまう異世界語に注意してくれるのも、すごく助かる。背負い鞄はなかなか言えなさそうだけど、リュックって言わないように気を付けよう。さっきから思ってはいたけど、俺一人だったらきっとあっさりバレるよな。すでにお世話になりすぎで、もうどうやってお礼をしたら良いのか分からない。ハル様様だ。
「ありがとう、ハル」
「どういたしまして。あ、アキトの右側に見えてるその木の実は領都で売った方が良いから、それも採取していこうか」
「あ、これ?」
「あとあっちに見えてた白い花は花びらだけを採取したら良いから…」
どんどん採取しながら進み、たまには来た道を戻ったりもしたけど、結局森を出るまで魔物には会わなかった。指示通りに歩いただけとはいえ、ようやく街道が見える所まで来た時には達成感がすごかった。
「ハル、ここからは人目もあるよな?」
「そうだね」
「俺、人前ではさすがにハルと話せないから、そこはよろしくな」
周りに見えないハルと、人前で会話はできない。これを伝えると怒り出す奴もいたから、少しだけ緊張しながら伝えたけど、ハルはあっさりと受け入れてくれた。
「ああ、もちろん。でも聞こえてはいるんだろう?」
「そうそう、一方通行で良ければ話してくれて良いよ」
「つい返事してしまわないかい?」
ここで俺の心配してくれるあたりに、ハルの性格が現れてる。
「生まれつきこの体質だから、慣れたもんだよ」
「そうか、じゃあたまには助言でもしようかな」
「助かるよ、よろしく」
人前での対処法も相談できた事だし、今度こそ第一異世界人を見つけるぞ。
ハルは森歩きのコツや、食べられる果物、採取した方が良い物などあれこれとためになる話をしてくれた。
さっそく採取しようとしたら速攻で止められたけどね。
村に近づいてから入手した方が痛まないって言われたら、納得するしかない。それでもあれこれと知識を増やしてくれるのはありがたい。
ハルは話しながらもきちんと俺の様子を見てくれているみたいで、ちょっと疲れたかなと思ったくらいでこまめに休憩もはさんでくれる。本人は幽霊だから疲れないのに、気配りがすごい。
「あとどのくらい?」
今は木陰に座って休憩中。ごしごしと服で皮をこすってから、ジウプの果実にかぶりつく。
じつはこれ、この世界に来てすぐに俺が見つけた、赤と青のグラデーションの果実だ。毒がありそうだなと思いながら眺めてたやつ。ハルいわく毒は無くて、皮ごと食べられて、しかも疲労回復に効く。グラデーションが綺麗に出てるものほど美味しいらしい。
選んでくれた実を齧ってみれば、酸味が強めだけどシャキシャキした食感で味はリンゴみたいだ。疲れた体に果汁がすみずみまで染み渡っていくような気がする。水分も補えるし、しみじみうまい。
「あと2時間くらいかな」
「2時間かー」
「直線距離なら1時間程だけど、魔物の気配が無い道を選んでるからそれぐらいはかかると思う」
ハルは気配を読むのが得意なんだって。おかげで俺はハルと行動しだしてから、まだ一度も魔物に会って無い。時間はもっとかかっても良いので、この調子で安全な道でお願いしますとお願いしておいた。
この休憩から、やっと採取は解禁になった。
「そこにあるナーパ草は、にがいけど簡易な回復薬として使えるんだ」
「へー回復薬」
「だから村で売るならこれは喜ばれる…そうだな、5束くらいは引き取ってもらえると思うから、摘んでいこうか」
摘んだ薬草は、近くにあったツタで束ねてくくった。さらりとほどけてこない結び方まで教えてくれるハルは、指示の出し方がうまい気がする。何をやってた人なんだろう。
しばらく歩いていくと、見覚えのある果実が実っているのが見えてきた。あの毒がありそうな赤青グラデーションは間違いない。
「あ、あれってさっき食べたジウプの実だよな?」
「そうそう、名前覚えたんだね」
「美味しかったから」
「あれもぜひ持って行きたいやつだけど、持てる?」
「リュックに入れれば大丈夫!」
いそいそとリュックの中に摘んだ実を入れていく。
「そういえば、リュックというのも異世界語だよね」
「え…じゃあ何て呼べば良い?」
「んー背負い鞄って言うかな」
ちょこちょこ入ってしまう異世界語に注意してくれるのも、すごく助かる。背負い鞄はなかなか言えなさそうだけど、リュックって言わないように気を付けよう。さっきから思ってはいたけど、俺一人だったらきっとあっさりバレるよな。すでにお世話になりすぎで、もうどうやってお礼をしたら良いのか分からない。ハル様様だ。
「ありがとう、ハル」
「どういたしまして。あ、アキトの右側に見えてるその木の実は領都で売った方が良いから、それも採取していこうか」
「あ、これ?」
「あとあっちに見えてた白い花は花びらだけを採取したら良いから…」
どんどん採取しながら進み、たまには来た道を戻ったりもしたけど、結局森を出るまで魔物には会わなかった。指示通りに歩いただけとはいえ、ようやく街道が見える所まで来た時には達成感がすごかった。
「ハル、ここからは人目もあるよな?」
「そうだね」
「俺、人前ではさすがにハルと話せないから、そこはよろしくな」
周りに見えないハルと、人前で会話はできない。これを伝えると怒り出す奴もいたから、少しだけ緊張しながら伝えたけど、ハルはあっさりと受け入れてくれた。
「ああ、もちろん。でも聞こえてはいるんだろう?」
「そうそう、一方通行で良ければ話してくれて良いよ」
「つい返事してしまわないかい?」
ここで俺の心配してくれるあたりに、ハルの性格が現れてる。
「生まれつきこの体質だから、慣れたもんだよ」
「そうか、じゃあたまには助言でもしようかな」
「助かるよ、よろしく」
人前での対処法も相談できた事だし、今度こそ第一異世界人を見つけるぞ。
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