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7.目的地はバラーブ村!

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 初めての魔法にはしゃいでいた俺が落ち着くまで、ハルは待っていてくれた。こどもみたいな反応しちゃって恥ずかしかったかな。

「この魔法の持続時間って、どのぐらい?」

 恥ずかしさをごまかすように、浮かんできた疑問を尋ねてみる。

「ああ、解除するまではかかったままだよ」
「その間、魔力は減らないのか?」
「かける時と、解除の時にしか減らないよ」

 便利すぎないか、擬態魔法さん。
 
「つまりこれで、街にいっても異世界人ってばれないってことだよな?」
「うーん…領都まで行くと、それなりに見破れる人がいるだろうな」
「そうなのか」

 魔力が高いと見破れてしまうんだって。じゃあ領都には魔力が高い人が結構いるってことだな。

 擬態魔法を使っている事がバレると、何か後ろ暗い所があるのかって疑われる事もあるらしい。異世界人とバレたくはないけど、いきなり捕まって尋問も勘弁して欲しい。

「だからまずは、バラーブ村に行かないか?」
「バラーブ村?」

 領都から徒歩で6時間程の位置に、牧畜を生業にしている人が集まってできたのが、バラーブ村らしい。

 ウカって動物の乳を絞ってチーズを作ったり、レソールっていう鳥を育てて、たまごを採ったりしてると聞いて、ワクワクしてきた。つまり牧場って事だよな。

「規模は小さめの村だから冒険者ギルドは無いけど、直接持ち込んで買い取って貰うことはできるんだ」
「直接持ち込みって断られることは無いの?」
「必要のないものなら断られるかもしれないけど…」
「あ、やっぱり?」
「あの村は俺もよく行ってたから、必要そうなものなら分かるから、まかせて」

 自分の胸を叩くようなしぐさをしたハルは、自信ありげに言い切ってくれた。まかせるって異世界でもそういう動きなんだな。

「頼りにしてるよ!」
「それに、あの村なら服も譲ってもらえる」
「ああ、村で手に入れた服に着替えて、領都に行けば良いってことか」

 それなら擬態魔法がバレる心配は無くなる。もともとワークブーツを履いてたから、靴にはそもそも魔法はかかってない。あれ、でもリュックは擬態魔法かかったままだよな。それは大丈夫なのか?俺、領都で捕まらない?

「擬態魔法は服装にかけるのが一般的だから、鞄は気づかれないと思う」

 ハルの答えはあっさりしたものだった。

「もし気づかれても、指摘はされないだろう」

 上から下まで全部が擬態魔法のかかった服だと、かなり怪しい。でも、普通の服に擬態魔法のかかった鞄だと、どこかで騙されて売りつけられたんだなって思われるんだって。

「万が一指摘されても、気づかずに買ったと言い逃れられる」

 俺が捕まらないように、そんな事まで考えてくれてるんだ。

「でもさ、俺、お金一切持ってないって怪しくない?」
「いや、魔物に襲われて逃げたりしたら、持って逃げれない事もよくあるよ」

 あっさりと告げられたこの世界の常識は、平和な世界で生きてきた俺には衝撃だった。確かに魔物に襲われてるのに、財布がどうとか気にしてられないよな。命の方がお金より大事に決まってる。

「財布落としたって言うしかないかな」
「良いんじゃないかな、深く追求されることも無いと思うよ」

 もう一度水を飲んでから、リュックを背負って、周りを確認。忘れ物はなーし。

「じゃあ、ハル。よろしくお願いします」
「こちらこそ」

 準備万端!バラーブ村に向けて出発だ!
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