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第三章『狭間の街トイン』
第二十話『次の目的』
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3人が集落に入ると、若者の冒険者たちの姿が見えた。
それぞれ、ところどころ怪我をしており包帯姿が痛々しいが、表情には活力があり、互いに他愛もない話をしては笑い合っているようだ。
若者の中のレンジャーがナシャ達の姿を目ざとく見つけ、声をかけてきた。
「年寄りどもでもトインに来れたんだな!まぁ、俺らよりだいぶ遅い到着だがな!」
嘲笑混じりに言ってきたが、怪我を負った左腕が痛むのか、時折苦痛に顔を歪めていた。
「貴殿らも到着したとは殊勝なこと。とはいえ怪我をしている身では辛かろう」
ナシャが皮肉で返す。
「はっ!てめぇに心配されるまでもなく、この程度怪我のうち入らねぇよ!」
ナシャの皮肉には気付かなかったようだが、気分を害したようだ。
その後、若者の戦士と魔術師も合流してきて、異口同音にナシャ達をからかっていたが、痛みに耐えられないようで、そそくさと離れていった。
「あいつら、トインに手ぶらで来たな。手土産持っていればもっと良い治療を受けられているからな」
ウルが3人の様子を見て言った。
物事を円滑に進めるには事前の準備や下調べが重要なものなのだ。
ウルは適当な宿を見つけ、2人に荷物を置かせてから再び宿を出た。
そして一軒の店に入っていった。
看板には『書房二月(ふたつき)』と書かれ、2つの三日月のモチーフも描かれている。
「ようこそ小僧たち、どうした?」
店主であろう白髪頭の男がナシャ達を出迎えた。
「俺はお前より年上だ。おう、あれ頼むわ」
ウルが笑いながら店主に何かを催促した。
店主が「へいへい」と言いながら店の奥に引っ込み、小さな紙を数枚持って戻ってきた。
紙の中心には円が描かれ、周りに何らかの呪文が書かれている。
「小僧ども、そこに座れ」
店主はナシャ達をカウンターの椅子に座るように指差した。
指示されるまま椅子に座ると、店主は1枚ずつ円の中にナシャ達の似顔絵を描いた。
簡略的に描かれているものの、それぞれが特徴を捉えていて一目でナシャ達であると理解できるものだった。
「これは、なんだ?」
自分の顔が描かれた紙を持って、ナシャは店主に尋ねた。
「これは割符だ。これがあれば地上に戻っても1度だけここに戻ってこれる」
店主の代わりにウルが答えた。
「そう、こいつを破ればここの前に戻ってくる」
店主がウルの説明に補足した。
「す、凄いものですね!」
ハーシマは感心した。
ハーシマ自身も転送魔法を使えなくはないが、精神力の消耗が激しく転送直後に倒れてしまうので、魔法の紙で転送が可能になることが信じられなかった。
「謝礼は幾らだ?」
ナシャが店主に聞いた。
「転送紙1枚につき金貨1枚」
店主が答えるとナシャは懐から金貨3枚取り出し、店主に渡した。
店主は「毎度」と言い、それを受け取ると、無造作に引き出しに放り込んだ。
ナシャ達は店を出て宿へ戻った。
「おう、次はもう少しだけ潜ってから地上に戻るぞ」
食事をしながらウルが2人に伝えた。
「そういえば、ここの集落にある潜魔窟の入口には篝火がないようだが」
ナシャが気になっていたことをウルに聞いた。
「そうだ、ここから先に行くための潜魔窟の入口には篝火はない」
ウルはそう言って説明をし始めた。
トインにある潜魔窟の入口は、地上のものと同じく、戦士、魔術師、レンジャーの3人1組でなければ入れないが、何組でも潜入することができる。
だが、それぞれ別の世界線であり、同じ場所にいることはないという。
「本当に不可思議なところだな、潜魔窟とは」
ナシャがしみじみと感想を漏らした。
「これから先は更に厳しい探索になる。まずはそれに慣れることが重要だ」
ウルが真剣な顔で伝えてきたので、ナシャとハーシマはコクリと頷いた。
緊張と恐怖でやや顔が青ざめているハーシマを見て、ウルはクスリと笑い「まぁ俺が死なせないようにするから心配すんな」と言い、果実をひとつ頬張った。
それぞれ、ところどころ怪我をしており包帯姿が痛々しいが、表情には活力があり、互いに他愛もない話をしては笑い合っているようだ。
若者の中のレンジャーがナシャ達の姿を目ざとく見つけ、声をかけてきた。
「年寄りどもでもトインに来れたんだな!まぁ、俺らよりだいぶ遅い到着だがな!」
嘲笑混じりに言ってきたが、怪我を負った左腕が痛むのか、時折苦痛に顔を歪めていた。
「貴殿らも到着したとは殊勝なこと。とはいえ怪我をしている身では辛かろう」
ナシャが皮肉で返す。
「はっ!てめぇに心配されるまでもなく、この程度怪我のうち入らねぇよ!」
ナシャの皮肉には気付かなかったようだが、気分を害したようだ。
その後、若者の戦士と魔術師も合流してきて、異口同音にナシャ達をからかっていたが、痛みに耐えられないようで、そそくさと離れていった。
「あいつら、トインに手ぶらで来たな。手土産持っていればもっと良い治療を受けられているからな」
ウルが3人の様子を見て言った。
物事を円滑に進めるには事前の準備や下調べが重要なものなのだ。
ウルは適当な宿を見つけ、2人に荷物を置かせてから再び宿を出た。
そして一軒の店に入っていった。
看板には『書房二月(ふたつき)』と書かれ、2つの三日月のモチーフも描かれている。
「ようこそ小僧たち、どうした?」
店主であろう白髪頭の男がナシャ達を出迎えた。
「俺はお前より年上だ。おう、あれ頼むわ」
ウルが笑いながら店主に何かを催促した。
店主が「へいへい」と言いながら店の奥に引っ込み、小さな紙を数枚持って戻ってきた。
紙の中心には円が描かれ、周りに何らかの呪文が書かれている。
「小僧ども、そこに座れ」
店主はナシャ達をカウンターの椅子に座るように指差した。
指示されるまま椅子に座ると、店主は1枚ずつ円の中にナシャ達の似顔絵を描いた。
簡略的に描かれているものの、それぞれが特徴を捉えていて一目でナシャ達であると理解できるものだった。
「これは、なんだ?」
自分の顔が描かれた紙を持って、ナシャは店主に尋ねた。
「これは割符だ。これがあれば地上に戻っても1度だけここに戻ってこれる」
店主の代わりにウルが答えた。
「そう、こいつを破ればここの前に戻ってくる」
店主がウルの説明に補足した。
「す、凄いものですね!」
ハーシマは感心した。
ハーシマ自身も転送魔法を使えなくはないが、精神力の消耗が激しく転送直後に倒れてしまうので、魔法の紙で転送が可能になることが信じられなかった。
「謝礼は幾らだ?」
ナシャが店主に聞いた。
「転送紙1枚につき金貨1枚」
店主が答えるとナシャは懐から金貨3枚取り出し、店主に渡した。
店主は「毎度」と言い、それを受け取ると、無造作に引き出しに放り込んだ。
ナシャ達は店を出て宿へ戻った。
「おう、次はもう少しだけ潜ってから地上に戻るぞ」
食事をしながらウルが2人に伝えた。
「そういえば、ここの集落にある潜魔窟の入口には篝火がないようだが」
ナシャが気になっていたことをウルに聞いた。
「そうだ、ここから先に行くための潜魔窟の入口には篝火はない」
ウルはそう言って説明をし始めた。
トインにある潜魔窟の入口は、地上のものと同じく、戦士、魔術師、レンジャーの3人1組でなければ入れないが、何組でも潜入することができる。
だが、それぞれ別の世界線であり、同じ場所にいることはないという。
「本当に不可思議なところだな、潜魔窟とは」
ナシャがしみじみと感想を漏らした。
「これから先は更に厳しい探索になる。まずはそれに慣れることが重要だ」
ウルが真剣な顔で伝えてきたので、ナシャとハーシマはコクリと頷いた。
緊張と恐怖でやや顔が青ざめているハーシマを見て、ウルはクスリと笑い「まぁ俺が死なせないようにするから心配すんな」と言い、果実をひとつ頬張った。
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