14 / 15
14、宝石のような日々
しおりを挟む
灯里さんが手術を受けてから一週間が過ぎた。
予後は良好で、灯里さんは無事に三日で一般病棟に移された。
私も蓮人くんも連日お見舞いに行っている。
「灯里さん、こんにちは。調子はどうですか?」
私が病室をたずねると、灯里さんは笑顔で出迎えてくれた。
ちなみに灯里さんは集団部屋ではなく個室で療養している。蓮人くんがお金を支払って、人見知りの灯里さんのために取り計らったらしい。蓮人くんは毎日、灯里さんをよく見舞っているようだった。
「響子さん、こんにちは。もうすっかり良いのよ。最近は病棟の中を散歩もしているの」
「ええっ!? 動いてだいじょうぶなんですか?」
「先生が言うには、むしろ寝たきりのほうが良くないらしくて。体調が良ければ病院の中を歩くようにって言われているのよ」
灯里さんの治療は順調に進んでいるようだ。
私の日々は灯里さんのお見舞い、増宮米店のアルバイト、ボクシングの避け方のトレーニング。そして彩花荘の日々で過ぎ去っていった。
何気ない日常だけど、掛け替えのない日々。
灯里さんが退院した日は、彩花荘でささやかなパーティーも行った。
灯里さんに無理がないように短い時間で、帰りも蓮人くんが送っていった。
九月も半ばに差し掛かったとき、メッセージアプリにお父さんから連絡があった。
緊張して文章を開くと『げぬふきか?』とよくわからないメッセージ……。
「酔ったお前のお父さんが、元気か? って送ろうとしたんじゃないか?」
蓮人くんがそう分析した。確かにそう読めなくはない、のかな。
お父さんは今もお酒浸りの生活を続けているのか……。
心配だ、家に帰ったらまずはお父さんの生活習慣を改めさせなければ。
私は『元気だよ、お父さんも身体を大切にね』と返信を送って眠りについた。
彩花荘での日々を過ごしていたある日、私がお昼ご飯を買いに中央公園のお祭りに出かけると、また公園の隅っこに輪投げ屋さんがあった。
中央公園の中で、この屋台だけは店を出したり消えたりしている。
私はいつものように輪投げに挑戦することにした。
「五十円ね」
相変わらず帽子を目深にかぶったおじさんが言う。
(今日こそは真ん中の棒に引っかけてやるぞ!)
気合いを込めて投げた輪は、見事真ん中の棒にくるりと収まった。
「やっと中心に投げられた! やったぁ!」
「おめでとう、じゃあ商品はこれだ」
おじさんが出したのは、抱えるほどの大きさのぬいぐるみ。
どこかで見覚えがある――。
そう思ったとき、おじさんが目深に被った帽子をおもむろに脱いだ。
そしてその奥には……お父さんの顔があったのだ。
「お父さん!?」
私が大慌てで声を掛けると、おじさんも屋台もすぅっと煙のように消え、私が手渡されたぬいぐるみだけが残った。
(どうしてお父さんが裏御神楽町に……)
お父さんは日々、絶望していたことだろう、というのはわかる。
だけど自宅で酒浸りのお父さんが、どうやって裏御神楽町に来るのか。
「出たり消えたりする屋台に、お父さん……もしかして……」
お父さんは、夢の中でだけ裏御神楽町に来ていたのではないだろうか。
そう考えると、神出鬼没だったこの屋台の有り様も頷けるところがある。
考えてみれば毎回ハズレで渡されたキャンディーもどこか懐かしい味がした。
それに、このぬいぐるみ――。
「私が子供のころ欲しいって言って、結局買ってもらえなかったやつ……」
やっぱり、お父さんは夢の中で裏御神楽町に来ていたのだ。
泡沫の眠りの中で短い時間だけ、この救いのある町にやってきていたお父さん。
胸が痛くなる。九月ももう下旬。もうすぐ私も家に帰るときだ。
名残惜しいけど、私は前に進まなきゃいけない。自分で決めた事。
『二十九日には家に帰るから。時間はちょっとわかんないけど……高校の準備もあるし月が替わる一日前には戻っておこうと思う。お母さんも二十九日に戻る?』
私が夜、メッセージアプリを送るとお母さんからはすぐ返信があった。
『高校のことを考えたらそれが良いわね。じゃあお母さんもその日の夕方くらいに帰るわ。二か月ぶりに会うなんてなんか不思議ね』
文末にはニコッと笑う顔文字のマーク。お母さんは今日もマイペースなようだ。
翌朝、彩花荘の朝食が終わったとき、私はふたりに告げた。
「私、いろいろ悩んだけど二十九日に帰ることにしました」
「響子!? ……そうか、寂しくなるなぁ……もうあとちょっとじゃねーか」
「まぁ、ギリギリまでねばるのがお前らしいな」
灯里さんの家に体調を見に行くときに、灯里さんにも私が現実世界に帰る日を告げ、アルバイトのときに都子さんにも日にちを告げる。
「そんなワケで、急ですけど今月末まででアルバイトのほうも……」
「むしろ、ギリギリまでバイトに付き合ってくれたんねぇ、ありがたいわぁ」
都子さんは笑っていた。
そして、ボーナスだと言っていつもより多めに日給をくれた。
遠慮しようかとも思ったけど、私はありがたく受け取ることにする。
「都子さん、週三日って少ない勤務でしたが、二か月間ありがとうございました!」
「お礼を言うのはこっちよぉ、二か月ゆっくり出来ちゃった。ありがとね。あっちに帰る響子ちゃんが、幸せになれること祈っとるわ」
増宮米店からの帰り道に蓮人くんと合流して、ボクシングの避け方トレーニング。
蓮人くんはいつもより早めのパンチを繰り出してくる。私はそれを教わったことを思い出しながらかわしていった。
その様子を見て、蓮人くんが頷いた。
「上出来だ。こんだけ避けられれば、お前の親父さんの酔っぱらったパンチなんて簡単にかわせるだろ。あとは過度に緊張しすぎないことだな。緊張は身体をこわばらせるだけで、ろくなことがない。まぁ、うまく行くことを願ってるよ」
今日でトレーニングは終了だ、と付け加えた蓮人くんとともに彩花荘に戻る。
遅めの夕食を食べて、食器も片づける。
この食卓も、最初はナスときゅうりとしその浅漬けしかなかったんだっけ。
今じゃそれすら懐かしい。私が作っていたもののレシピは秀男さんに一応伝授しておいたけど――危なっかしかったなぁ。
でもいざとなれば天才である蓮人くんが何か作るだろう。前と違って、調理器具も調味料もあるのだから。
翌日、九月二十八日。私が裏御神楽町で過ごす最後の一日。
私はゆっくりと裏御神楽町を見て回った。
一年中お祭りをしている町。中央公園に足を運ぶ。ずらりと並んだ屋台に、真ん中の出舞台。あそこで太鼓を叩いていた三日間がいまでは懐かしい。
「いろんなことがあった二か月だったな……夢みたい」
夜は定食屋兼居酒屋転々で、秀男さんと蓮人くんがささやかな送別会をしてくれた。
話はもっぱら今までの思い出話ばかり。
出会ったばかりのころのこと。食卓がひどかったこと、トイレ風呂共同に私がショックを受けていたこと、アルバイトやトレーニングのこと――。
ありふれたことばかり話していた気がするけど、そんなありふれた毎日が私には輝かしい宝石のようだったんだ。ふたりの顔を見ながら、私はそう実感した。
帰りは温泉に浸かって帰る。「響子ー! もうあがるぞー!」という男湯から聞こえてくる秀男さんの声。これまた前に温泉に来た時のようで懐かしい。
そんな風に裏御神楽町と彩花荘の思い出を満喫して、私の裏御神楽町での最後の一日が終わりを告げた。布団に横になる。
『私は強い子! 元気な子!』
かつてはおまじないを唱えなきゃ眠りにもつけなかった日々。だけどここに来てからはそんなおまじないもいつの間にか必要なくなった。
私は寂しさを感じながらも、静かに満たされた気持ちで眠りについたのであった。
予後は良好で、灯里さんは無事に三日で一般病棟に移された。
私も蓮人くんも連日お見舞いに行っている。
「灯里さん、こんにちは。調子はどうですか?」
私が病室をたずねると、灯里さんは笑顔で出迎えてくれた。
ちなみに灯里さんは集団部屋ではなく個室で療養している。蓮人くんがお金を支払って、人見知りの灯里さんのために取り計らったらしい。蓮人くんは毎日、灯里さんをよく見舞っているようだった。
「響子さん、こんにちは。もうすっかり良いのよ。最近は病棟の中を散歩もしているの」
「ええっ!? 動いてだいじょうぶなんですか?」
「先生が言うには、むしろ寝たきりのほうが良くないらしくて。体調が良ければ病院の中を歩くようにって言われているのよ」
灯里さんの治療は順調に進んでいるようだ。
私の日々は灯里さんのお見舞い、増宮米店のアルバイト、ボクシングの避け方のトレーニング。そして彩花荘の日々で過ぎ去っていった。
何気ない日常だけど、掛け替えのない日々。
灯里さんが退院した日は、彩花荘でささやかなパーティーも行った。
灯里さんに無理がないように短い時間で、帰りも蓮人くんが送っていった。
九月も半ばに差し掛かったとき、メッセージアプリにお父さんから連絡があった。
緊張して文章を開くと『げぬふきか?』とよくわからないメッセージ……。
「酔ったお前のお父さんが、元気か? って送ろうとしたんじゃないか?」
蓮人くんがそう分析した。確かにそう読めなくはない、のかな。
お父さんは今もお酒浸りの生活を続けているのか……。
心配だ、家に帰ったらまずはお父さんの生活習慣を改めさせなければ。
私は『元気だよ、お父さんも身体を大切にね』と返信を送って眠りについた。
彩花荘での日々を過ごしていたある日、私がお昼ご飯を買いに中央公園のお祭りに出かけると、また公園の隅っこに輪投げ屋さんがあった。
中央公園の中で、この屋台だけは店を出したり消えたりしている。
私はいつものように輪投げに挑戦することにした。
「五十円ね」
相変わらず帽子を目深にかぶったおじさんが言う。
(今日こそは真ん中の棒に引っかけてやるぞ!)
気合いを込めて投げた輪は、見事真ん中の棒にくるりと収まった。
「やっと中心に投げられた! やったぁ!」
「おめでとう、じゃあ商品はこれだ」
おじさんが出したのは、抱えるほどの大きさのぬいぐるみ。
どこかで見覚えがある――。
そう思ったとき、おじさんが目深に被った帽子をおもむろに脱いだ。
そしてその奥には……お父さんの顔があったのだ。
「お父さん!?」
私が大慌てで声を掛けると、おじさんも屋台もすぅっと煙のように消え、私が手渡されたぬいぐるみだけが残った。
(どうしてお父さんが裏御神楽町に……)
お父さんは日々、絶望していたことだろう、というのはわかる。
だけど自宅で酒浸りのお父さんが、どうやって裏御神楽町に来るのか。
「出たり消えたりする屋台に、お父さん……もしかして……」
お父さんは、夢の中でだけ裏御神楽町に来ていたのではないだろうか。
そう考えると、神出鬼没だったこの屋台の有り様も頷けるところがある。
考えてみれば毎回ハズレで渡されたキャンディーもどこか懐かしい味がした。
それに、このぬいぐるみ――。
「私が子供のころ欲しいって言って、結局買ってもらえなかったやつ……」
やっぱり、お父さんは夢の中で裏御神楽町に来ていたのだ。
泡沫の眠りの中で短い時間だけ、この救いのある町にやってきていたお父さん。
胸が痛くなる。九月ももう下旬。もうすぐ私も家に帰るときだ。
名残惜しいけど、私は前に進まなきゃいけない。自分で決めた事。
『二十九日には家に帰るから。時間はちょっとわかんないけど……高校の準備もあるし月が替わる一日前には戻っておこうと思う。お母さんも二十九日に戻る?』
私が夜、メッセージアプリを送るとお母さんからはすぐ返信があった。
『高校のことを考えたらそれが良いわね。じゃあお母さんもその日の夕方くらいに帰るわ。二か月ぶりに会うなんてなんか不思議ね』
文末にはニコッと笑う顔文字のマーク。お母さんは今日もマイペースなようだ。
翌朝、彩花荘の朝食が終わったとき、私はふたりに告げた。
「私、いろいろ悩んだけど二十九日に帰ることにしました」
「響子!? ……そうか、寂しくなるなぁ……もうあとちょっとじゃねーか」
「まぁ、ギリギリまでねばるのがお前らしいな」
灯里さんの家に体調を見に行くときに、灯里さんにも私が現実世界に帰る日を告げ、アルバイトのときに都子さんにも日にちを告げる。
「そんなワケで、急ですけど今月末まででアルバイトのほうも……」
「むしろ、ギリギリまでバイトに付き合ってくれたんねぇ、ありがたいわぁ」
都子さんは笑っていた。
そして、ボーナスだと言っていつもより多めに日給をくれた。
遠慮しようかとも思ったけど、私はありがたく受け取ることにする。
「都子さん、週三日って少ない勤務でしたが、二か月間ありがとうございました!」
「お礼を言うのはこっちよぉ、二か月ゆっくり出来ちゃった。ありがとね。あっちに帰る響子ちゃんが、幸せになれること祈っとるわ」
増宮米店からの帰り道に蓮人くんと合流して、ボクシングの避け方トレーニング。
蓮人くんはいつもより早めのパンチを繰り出してくる。私はそれを教わったことを思い出しながらかわしていった。
その様子を見て、蓮人くんが頷いた。
「上出来だ。こんだけ避けられれば、お前の親父さんの酔っぱらったパンチなんて簡単にかわせるだろ。あとは過度に緊張しすぎないことだな。緊張は身体をこわばらせるだけで、ろくなことがない。まぁ、うまく行くことを願ってるよ」
今日でトレーニングは終了だ、と付け加えた蓮人くんとともに彩花荘に戻る。
遅めの夕食を食べて、食器も片づける。
この食卓も、最初はナスときゅうりとしその浅漬けしかなかったんだっけ。
今じゃそれすら懐かしい。私が作っていたもののレシピは秀男さんに一応伝授しておいたけど――危なっかしかったなぁ。
でもいざとなれば天才である蓮人くんが何か作るだろう。前と違って、調理器具も調味料もあるのだから。
翌日、九月二十八日。私が裏御神楽町で過ごす最後の一日。
私はゆっくりと裏御神楽町を見て回った。
一年中お祭りをしている町。中央公園に足を運ぶ。ずらりと並んだ屋台に、真ん中の出舞台。あそこで太鼓を叩いていた三日間がいまでは懐かしい。
「いろんなことがあった二か月だったな……夢みたい」
夜は定食屋兼居酒屋転々で、秀男さんと蓮人くんがささやかな送別会をしてくれた。
話はもっぱら今までの思い出話ばかり。
出会ったばかりのころのこと。食卓がひどかったこと、トイレ風呂共同に私がショックを受けていたこと、アルバイトやトレーニングのこと――。
ありふれたことばかり話していた気がするけど、そんなありふれた毎日が私には輝かしい宝石のようだったんだ。ふたりの顔を見ながら、私はそう実感した。
帰りは温泉に浸かって帰る。「響子ー! もうあがるぞー!」という男湯から聞こえてくる秀男さんの声。これまた前に温泉に来た時のようで懐かしい。
そんな風に裏御神楽町と彩花荘の思い出を満喫して、私の裏御神楽町での最後の一日が終わりを告げた。布団に横になる。
『私は強い子! 元気な子!』
かつてはおまじないを唱えなきゃ眠りにもつけなかった日々。だけどここに来てからはそんなおまじないもいつの間にか必要なくなった。
私は寂しさを感じながらも、静かに満たされた気持ちで眠りについたのであった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

こちら御神楽学園心霊部!
緒方あきら
ホラー
取りつかれ体質の主人公、月城灯里が霊に憑かれた事を切っ掛けに心霊部に入部する。そこに数々の心霊体験が舞い込んでくる。事件を解決するごとに部員との絆は深まっていく。けれど、彼らにやってくる心霊事件は身の毛がよだつ恐ろしいものばかりで――。
灯里は取りつかれ体質で、事あるごとに幽霊に取りつかれる。
それがきっかけで学校の心霊部に入部する事になったが、いくつもの事件がやってきて――。
。
部屋に異音がなり、主人公を怯えさせる【トッテさん】。
前世から続く呪いにより死に導かれる生徒を救うが、彼にあげたお札は一週間でボロボロになってしまう【前世の名前】。
通ってはいけない道を通り、自分の影を失い、荒れた祠を修復し祈りを捧げて解決を試みる【竹林の道】。
どこまでもついて来る影が、家まで辿り着いたと安心した主人公の耳元に突然囁きかけてさっていく【楽しかった?】。
封印されていたものを解き放つと、それは江戸時代に封じられた幽霊。彼は門吉と名乗り主人公たちは土地神にするべく扱う【首無し地蔵】。
決して話してはいけない怪談を話してしまい、クラスメイトの背中に危険な影が現れ、咄嗟にこの話は嘘だったと弁明し霊を払う【嘘つき先生】。
事故死してさ迷う亡霊と出くわしてしまう。気付かぬふりをしてやり過ごすがすれ違い様に「見えてるくせに」と囁かれ襲われる【交差点】。
ひたすら振返らせようとする霊、駅まで着いたがトンネルを走る窓が鏡のようになり憑りついた霊の禍々しい姿を見る事になる【うしろ】。
都市伝説の噂を元に、エレベーターで消えてしまった生徒。記憶からさえもその存在を消す神隠し。心霊部は総出で生徒の救出を行った【異世界エレベーター】。
延々と名前を問う不気味な声【名前】。
10の怪異譚からなる心霊ホラー。心霊部の活躍は続いていく。
君のために僕は歌う
なめめ
青春
六歳の頃から芸能界で生きてきた麻倉律仁。
子役のころは持てはやされていた彼も成長ともに仕事が激減する。アイドル育成に力を入れた事務所に言われるままにダンスや歌のレッスンをするものの将来に不安を抱いていた律仁は全てに反抗的だった。
そんな夏のある日、公園の路上でギターを手に歌ってる雪城鈴菜と出会う。律仁の二つ上でシンガーソングライター志望。大好きな歌で裕福ではない家族を支えるために上京してきたという。そんな彼女と過ごすうちに歌うことへの楽しさ、魅力を知ると同時に律仁は彼女に惹かれていった………
恋愛、友情など芸能界にもまれながらも成長していく一人のアイドルの物語です。
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
ヤマネ姫の幸福論
ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。
一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。
彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。
しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。
主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます!
どうぞ、よろしくお願いいたします!
鎌倉最後の日
もず りょう
歴史・時代
かつて源頼朝や北条政子・義時らが多くの血を流して築き上げた武家政権・鎌倉幕府。承久の乱や元寇など幾多の困難を乗り越えてきた幕府も、悪名高き執権北条高時の治政下で頽廃を極めていた。京では後醍醐天皇による倒幕計画が持ち上がり、世に動乱の兆しが見え始める中にあって、北条一門の武将金澤貞将は危機感を募らせていく。ふとしたきっかけで交流を深めることとなった御家人新田義貞らは、貞将にならば鎌倉の未来を託すことができると彼に「決断」を迫るが――。鎌倉幕府の最後を華々しく彩った若き名将の清冽な生きざまを活写する歴史小説、ここに開幕!
エスとオー
ケイ・ナック
青春
五十代になったオレ(中村アキラ)は、アルバムを手にした時、今は疎遠になってしまった友人を思い出し、若い日を振り返ってみるのだった。
『エスとオー』、二人の友人を通して過ごした1980年代のあの頃。
そこにはいつも、素晴らしい洋楽が流れていた。
(KISS、エア・サプライ、ビリー・ジョエル、TOTO )
Cutie Skip ★
月琴そう🌱*
青春
少年期の友情が破綻してしまった小学生も最後の年。瑞月と恵風はそれぞれに原因を察しながら、自分たちの元を離れた結日を呼び戻すことをしなかった。それまでの男、男、女の三人から男女一対一となり、思春期の繊細な障害を乗り越えて、ふたりは腹心の友という間柄になる。それは一方的に離れて行った結日を、再び振り向かせるほどだった。
自分が置き去りにした後悔を掘り起こし、結日は瑞月とよりを戻そうと企むが、想いが強いあまりそれは少し怪しげな方向へ。
高校生になり、瑞月は恵風に友情とは別の想いを打ち明けるが、それに対して慎重な恵風。学校生活での様々な出会いや出来事が、煮え切らない恵風の気付きとなり瑞月の想いが実る。
学校では瑞月と恵風の微笑ましい関係に嫉妬を膨らます、瑞月のクラスメイトの虹生と旺汰。虹生と旺汰は結日の想いを知り、”自分たちのやり方”で協力を図る。
どんな荒波が自分にぶち当たろうとも、瑞月はへこたれやしない。恵風のそばを離れない。離れてはいけないのだ。なぜなら恵風は人間以外をも恋に落とす強力なフェロモンの持ち主であると、自身が身を持って気付いてしまったからである。恵風の幸せ、そして自分のためにもその引力には誰も巻き込んではいけない。
一方、恵風の片割れである結日にも、得体の知れないものが備わっているようだ。瑞月との友情を二度と手放そうとしないその執念は、周りが翻弄するほどだ。一度は手放したがそれは幼い頃から育てもの。自分たちの友情を将来の義兄弟関係と位置付け遠慮を知らない。
こどもの頃の風景を練り込んだ、幼なじみの男女、同性の友情と恋愛の風景。
表紙:むにさん
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる