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第62話 ミネーナとの別れ
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「ありがとうクロード、アイリーン。あんたたちのおかげで牢屋から出られたわ」
「ほとんどアイリーンのおかげだけどな」
「……」
アイリーンはにへら~と笑っている。
「ミネーナはこれからどうするんだ? リックのところに戻るのか?」
「ふんっ、バカ言わないでよ。あんな奴のことなんてもうどうでもいいわ、一人寂しく魔王退治の旅をしていればいいのよ。わたしは……そうね、あんたと一緒に暮らそうかしら?」
「はっ? な、何をイッテルンダ――」
「ふふっ、いやね冗談に決まってるでしょう……あんた彼女いないでしょ」
「うぐっ……か、関係ないだろっ」
図星を突かれ焦る俺。
「わたしはどっかのお金持ちの家の子どもに魔法を教えて生きていくわ。それが男の一人親だったら言うことないわね」
「そうか、ミネーナらしいな」
「ふふふ、でしょう」
後ろ手に言うとミネーナは俺たちから少しだけ距離をとった。
それから俺に向き直るとじっと俺の目をみつめてから頭を下げた。
「ごめんクロード。あんたをパーティーから追い出したりして」
「ミネーナ……」
ミネーナは十秒ほど頭を下げていた。
そして、
「……はあ~スッキリした。これだけ言いたかったのよね」
頭を上げたミネーナは「じゃあわたし行くわ。バーイ!」生き生きとした顔で歩き去っていった。
くいくいっと俺の服の袖を引っ張るアイリーン。
「なんだ?」
俺が見下ろすとアイリーンはブイサインをつくってみせた。
「今回もありがとうな、アイリーン」
俺がぽんと頭を触るとアイリーンは俺を見上げながら再度にへら~と笑ったのだった。
「ほとんどアイリーンのおかげだけどな」
「……」
アイリーンはにへら~と笑っている。
「ミネーナはこれからどうするんだ? リックのところに戻るのか?」
「ふんっ、バカ言わないでよ。あんな奴のことなんてもうどうでもいいわ、一人寂しく魔王退治の旅をしていればいいのよ。わたしは……そうね、あんたと一緒に暮らそうかしら?」
「はっ? な、何をイッテルンダ――」
「ふふっ、いやね冗談に決まってるでしょう……あんた彼女いないでしょ」
「うぐっ……か、関係ないだろっ」
図星を突かれ焦る俺。
「わたしはどっかのお金持ちの家の子どもに魔法を教えて生きていくわ。それが男の一人親だったら言うことないわね」
「そうか、ミネーナらしいな」
「ふふふ、でしょう」
後ろ手に言うとミネーナは俺たちから少しだけ距離をとった。
それから俺に向き直るとじっと俺の目をみつめてから頭を下げた。
「ごめんクロード。あんたをパーティーから追い出したりして」
「ミネーナ……」
ミネーナは十秒ほど頭を下げていた。
そして、
「……はあ~スッキリした。これだけ言いたかったのよね」
頭を上げたミネーナは「じゃあわたし行くわ。バーイ!」生き生きとした顔で歩き去っていった。
くいくいっと俺の服の袖を引っ張るアイリーン。
「なんだ?」
俺が見下ろすとアイリーンはブイサインをつくってみせた。
「今回もありがとうな、アイリーン」
俺がぽんと頭を触るとアイリーンは俺を見上げながら再度にへら~と笑ったのだった。
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