34 / 66
第34話 ジュエル王女の結婚相手
しおりを挟む
「プルセラ王女のお姉さんと結婚っ!?」
「そうだ、簡単なことだろ」
「どこがですかっ」
「?」
プルセラ王女は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする。
「何が不満なんだ? 私の姉さんは美人だぞ。それに一生働かなくて済むぞ」
「いやいや、プルセラ王女のお姉さんてことはジョパン国の第一王女でしょうが」
「そうだが」
何か問題でも、と言わんばかりの顔だ。
ん?
そういえばジョパン国の第一王女のジュエル王女には許嫁がいたはずだが……。
「ジュエル王女って婚約者がいましたよね。確か同じ王族の……」
「いるぞ。ガシュウ国のランド王子だろ」
「いるじゃないですか。なんですかこの話?」
さっきからずっと時間の無駄だ。
「ランド王子は女癖が悪いらしい。これまでに数々の浮名を流して二股、三股は当たり前の男だ。言わば女の敵なんだ。そんな男と姉さんを結婚させるわけには断じていかない」
「はあ……」
「なんだ、その気のない返事はっ」
「だってそれが俺となんの関係があるんですか?」
俺はジュエル王女ともランド王子とも面識はない。
「関係はある。姉さんと結婚すればお前は次期国王だ。そうなればお前をパーティーから追い出した勇者を見返せるぞ。なんなら勇者を打ち首にだって出来る」
「打ち首になんてしたくないですよ」
俺は別にそこまでリックを恨んでいるわけではないし、今の生活もそれなりに気に入っている。
「そもそもその結婚は国王同士が決めたんですよね。だったらどうにも出来ないでしょう」
「それが出来ると言ったらどうだっ」
プルセラ王女は俺の顔を見てにやりとした。
「今週末ランド王子が剣術大会に出るためにジョパン国にやってくるのだ」
「剣術大会?」
「ああ、ランド王子は女好きのバカ王子だが剣術だけはかなりの腕前らしくてな、ガシュウ国の騎士団長にも匹敵する強さだと聞く。そのランド王子が姉さんに自分の強さを見せつけたいがために剣術大会に出るのだ」
「それで?」
「ランド王子は宣言したのだ。自分に勝った奴にはジュエル王女をくれてやると。もちろんよほどの自信があってのことなのだろう」
うーん、なんか話だけ聞くとちょっと嫌な奴だな。
「つまり俺にその剣術大会とやらに出てランド王子を倒せと?」
「そういうことだ。物分かりがいいじゃないかお前」
「話はわかりましたけど無理ですよ」
「うんうん。お前ならきっとそう言ってくれると思ってえええっ!?」
大袈裟に驚くプルセラ王女。リアクションが大きいな。
「今なんと言ったお前っ?」
「だから無理ですって。勝てませんよ」
「なんでだ! お前は世界最高の魔法使いだろうがっ!」
プルセラ王女は語気を強める。
「そうかもしれませんけど剣術なんて習ったことないですよ、俺。それって剣術大会なんですよね、魔法使ったら反則になりません?」
「うっ……それは」
「大体なんで俺なんですか? ジョパン国の剣術のすごい人に頼んだらどうですか?」
「ぐぬぬぬっ……」
プルセラ王女は顔を紅潮させ体を震わせる。
そして一言、
「お、お前なんかもう知らんっ!」
言うと走り去ってしまった。
「そうだ、簡単なことだろ」
「どこがですかっ」
「?」
プルセラ王女は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする。
「何が不満なんだ? 私の姉さんは美人だぞ。それに一生働かなくて済むぞ」
「いやいや、プルセラ王女のお姉さんてことはジョパン国の第一王女でしょうが」
「そうだが」
何か問題でも、と言わんばかりの顔だ。
ん?
そういえばジョパン国の第一王女のジュエル王女には許嫁がいたはずだが……。
「ジュエル王女って婚約者がいましたよね。確か同じ王族の……」
「いるぞ。ガシュウ国のランド王子だろ」
「いるじゃないですか。なんですかこの話?」
さっきからずっと時間の無駄だ。
「ランド王子は女癖が悪いらしい。これまでに数々の浮名を流して二股、三股は当たり前の男だ。言わば女の敵なんだ。そんな男と姉さんを結婚させるわけには断じていかない」
「はあ……」
「なんだ、その気のない返事はっ」
「だってそれが俺となんの関係があるんですか?」
俺はジュエル王女ともランド王子とも面識はない。
「関係はある。姉さんと結婚すればお前は次期国王だ。そうなればお前をパーティーから追い出した勇者を見返せるぞ。なんなら勇者を打ち首にだって出来る」
「打ち首になんてしたくないですよ」
俺は別にそこまでリックを恨んでいるわけではないし、今の生活もそれなりに気に入っている。
「そもそもその結婚は国王同士が決めたんですよね。だったらどうにも出来ないでしょう」
「それが出来ると言ったらどうだっ」
プルセラ王女は俺の顔を見てにやりとした。
「今週末ランド王子が剣術大会に出るためにジョパン国にやってくるのだ」
「剣術大会?」
「ああ、ランド王子は女好きのバカ王子だが剣術だけはかなりの腕前らしくてな、ガシュウ国の騎士団長にも匹敵する強さだと聞く。そのランド王子が姉さんに自分の強さを見せつけたいがために剣術大会に出るのだ」
「それで?」
「ランド王子は宣言したのだ。自分に勝った奴にはジュエル王女をくれてやると。もちろんよほどの自信があってのことなのだろう」
うーん、なんか話だけ聞くとちょっと嫌な奴だな。
「つまり俺にその剣術大会とやらに出てランド王子を倒せと?」
「そういうことだ。物分かりがいいじゃないかお前」
「話はわかりましたけど無理ですよ」
「うんうん。お前ならきっとそう言ってくれると思ってえええっ!?」
大袈裟に驚くプルセラ王女。リアクションが大きいな。
「今なんと言ったお前っ?」
「だから無理ですって。勝てませんよ」
「なんでだ! お前は世界最高の魔法使いだろうがっ!」
プルセラ王女は語気を強める。
「そうかもしれませんけど剣術なんて習ったことないですよ、俺。それって剣術大会なんですよね、魔法使ったら反則になりません?」
「うっ……それは」
「大体なんで俺なんですか? ジョパン国の剣術のすごい人に頼んだらどうですか?」
「ぐぬぬぬっ……」
プルセラ王女は顔を紅潮させ体を震わせる。
そして一言、
「お、お前なんかもう知らんっ!」
言うと走り去ってしまった。
0
お気に入りに追加
897
あなたにおすすめの小説
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
Sランクパーティーから追放されたけど、ガチャ【レア確定】スキルが覚醒したので好き勝手に生きます!
遥 かずら
ファンタジー
ガチャスキルを持つアック・イスティは、倉庫番として生活をしていた。
しかし突如クビにされたうえ、町に訪れていたSランクパーティーたちによって、無理やり荷物持ちにされダンジョンへと連れて行かれてしまう。
勇者たちはガチャに必要な魔石を手に入れるため、ダンジョン最奥のワイバーンを倒し、ドロップした魔石でアックにガチャを引かせる。
しかしゴミアイテムばかりを出してしまったアックは、役立たずと罵倒され、勇者たちによって状態異常魔法をかけられた。
さらにはワイバーンを蘇生させ、アックを置き去りにしてしまう。
窮地に追い込まれたアックだったが、覚醒し、新たなガチャスキル【レア確定】を手に入れる。
ガチャで約束されたレアアイテム、武器、仲間を手に入れ、アックは富と力を得たことで好き勝手に生きて行くのだった。
【本編完結】【後日譚公開中】
※ドリコムメディア大賞中間通過作品※
追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい
桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる