勇者パーティーを追い出された大魔法導士、辺境の地でスローライフを満喫します ~特Aランクの最強魔法使い~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中

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第15話 魔法の難易度

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「一応お前には魔力はあると判断して魔法を教えたいと思う」
「よっ、待ってました!」

川岸に行儀よく座るマーキュリーを見下ろしながら俺は話を続ける。

「まずは俺が手本を見せるからよく見ててくれ」
「おう」

俺はデコピンのポーズをとりながら左手で右手首を掴むと手を前に伸ばした。

「プチフレイム!」

ピンッとはじかれた中指から小さい火の玉が放たれる。
川の中腹辺りで勢いをなくした火の玉は蒸発するように消えていった。

「さあ、やってみろ」
「……」
マーキュリーはあからさまに不満気な顔になっている。

「なんだよ?」
「……なあスタンス、おれは強くなりたいんだよ。小さな火の玉を飛ばしたいわけじゃない。もっとすごい魔法を教えてくれ」
「でも初心者にはまずこれを覚えさせないとだな……それにこれだって初心者には結構難しいんだぞ」
俺だって魔法を覚える時はまず初めにプチフレイムから覚えさせられたものだ。

「じゃあミノケンタウロス相手にそのちっちゃい火の玉が効くのか? あんたはその魔法を使ってミノケンタウロスを倒したのか?」
「いや、違うけど……」
「だろっ。おれは今すぐ強くなりたいんだ。だから高度な魔法を教えてくれっ」

そしてマーキュリーは立ち上がると俺の両肩を掴んだ。
「そうだ! さっき巨大イノシシにやった魔法がいいっ、あれを教えてくれっ!」
「アースクエイクのことか?」
「そう、それそれ」
「お前馬鹿か? アースクエイクは高難易度の魔法だ、初心者が使えるわけないだろ」

難易度が星一つから五つまであるとしたらアースクエイクは星四つってとこだろう。
魔法初心者が覚えられるものではない。
それに比べてプチフレイムは星一つ。

「悪いことは言わないからプチフレイムを習得しとけ」
「……ふ、ふざけるなっ」
「ぐぇっ……」
マーキュリーは俺の胸ぐらを掴む。

「あんな弱っちい魔法じゃ強いモンスターに勝てないだろうがっ」
「わ、わかったから……ぐ、苦しい……」
「おれがこんなにも頼んでいるのにっ」
「お、おじえるっ……」

マーキュリーの筋肉質な腕を何度もタップしながら俺の意識ははるか彼方に飛んでいった。
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