12 / 66
第12話 交換条件
しおりを挟む
「スタンスすまなかった、この通りだっ!」
マーキュリーは気持ちいいほどきれいな土下座で俺に謝罪した。
「おれは普段からカッとなりやすい性格なんだ。直そうとは思っているんだがなかなか上手くいかなくてさ」
顔を上げ俺をまっすぐみつめる。
「まったく……あやうく死ぬとこだったぞ」
「へへっ、二度としないよ」
「当たり前だ」
弟子に殺されてたまるか。
「それでだが、お前に魔法を教えてやってもいいけど条件がある」
「なんだ? もしかしてやらしいことか?」
「えぇ~っ! スタンスさん不潔ですっ」
コロンが顔を赤らめながら声を上げた。
「そんなわけないだろっ」
「ふぇ……違うんですか」
とコロン。
「な~んだ、違うのか。兄貴たちが男はやらしいことしか考えてない生き物だって言ってたからてっきりそうだと思ったぜ」
マーキュリーはぼさぼさの髪を掻きながら言う。
「お前の兄貴たちの言うことは無視しろ。それよりお前に魔法を教える条件だが金貨三枚でどうだ?」
「どうだ……ってどういう意味だ?」
「授業料だよ、授業料。ただで魔法を教わろうってのは虫が良すぎるぞ」
俺はこれでも天下の大魔法導士なんだ。
大魔法導士に魔法を教えてもらえるなんて金貨三枚でも安いくらいだ。
だが、
「金のことを言っているのか。だったらおれは持ってないぞ」
手を広げて無一文だとアピールするマーキュリー。
「は? 銅貨一枚すら持ってないのか?」
「ああ、そうだぜ」
「お前どうやって生活してるんだよ」
「スタンスさん、スタンスさん。マーキュリーさんはクォーツ地区の方ですからきっと自給自足の生活でお金は必要ないんだと思いますよ」
とコロンが耳打ちしてくる。
「あ~、なるほど」
「でもなんでお金なんてとるんですか? ただで教えてあげないんですか?」
「ギルドの依頼が全然ないからもう生活費がやばいんだよ」
ひそひそとコロンと話していると、
「なあ、金が要るんだったらおれのスキルが役に立つかもしれないぜ」
マーキュリーが割って入ってきた。
「お前のスキル?」
マーキュリーは気持ちいいほどきれいな土下座で俺に謝罪した。
「おれは普段からカッとなりやすい性格なんだ。直そうとは思っているんだがなかなか上手くいかなくてさ」
顔を上げ俺をまっすぐみつめる。
「まったく……あやうく死ぬとこだったぞ」
「へへっ、二度としないよ」
「当たり前だ」
弟子に殺されてたまるか。
「それでだが、お前に魔法を教えてやってもいいけど条件がある」
「なんだ? もしかしてやらしいことか?」
「えぇ~っ! スタンスさん不潔ですっ」
コロンが顔を赤らめながら声を上げた。
「そんなわけないだろっ」
「ふぇ……違うんですか」
とコロン。
「な~んだ、違うのか。兄貴たちが男はやらしいことしか考えてない生き物だって言ってたからてっきりそうだと思ったぜ」
マーキュリーはぼさぼさの髪を掻きながら言う。
「お前の兄貴たちの言うことは無視しろ。それよりお前に魔法を教える条件だが金貨三枚でどうだ?」
「どうだ……ってどういう意味だ?」
「授業料だよ、授業料。ただで魔法を教わろうってのは虫が良すぎるぞ」
俺はこれでも天下の大魔法導士なんだ。
大魔法導士に魔法を教えてもらえるなんて金貨三枚でも安いくらいだ。
だが、
「金のことを言っているのか。だったらおれは持ってないぞ」
手を広げて無一文だとアピールするマーキュリー。
「は? 銅貨一枚すら持ってないのか?」
「ああ、そうだぜ」
「お前どうやって生活してるんだよ」
「スタンスさん、スタンスさん。マーキュリーさんはクォーツ地区の方ですからきっと自給自足の生活でお金は必要ないんだと思いますよ」
とコロンが耳打ちしてくる。
「あ~、なるほど」
「でもなんでお金なんてとるんですか? ただで教えてあげないんですか?」
「ギルドの依頼が全然ないからもう生活費がやばいんだよ」
ひそひそとコロンと話していると、
「なあ、金が要るんだったらおれのスキルが役に立つかもしれないぜ」
マーキュリーが割って入ってきた。
「お前のスキル?」
10
お気に入りに追加
896
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
私はただ自由に空を飛びたいだけなのに!
hennmiasako
ファンタジー
異世界の田舎の孤児院でごく普通の平民の孤児の女の子として生きていたルリエラは、5歳のときに木から落ちて頭を打ち前世の記憶を見てしまった。
ルリエラの前世の彼女は日本人で、病弱でベッドから降りて自由に動き回る事すら出来ず、ただ窓の向こうの空ばかりの見ていた。そんな彼女の願いは「自由に空を飛びたい」だった。でも、魔法も超能力も無い世界ではそんな願いは叶わず、彼女は事故で転落死した。
魔法も超能力も無い世界だけど、それに似た「理術」という不思議な能力が存在する世界。専門知識が必要だけど、前世の彼女の記憶を使って、独学で「理術」を使い、空を自由に飛ぶ夢を叶えようと人知れず努力することにしたルリエラ。
ただの個人的な趣味として空を自由に飛びたいだけなのに、なぜかいろいろと問題が発生して、なかなか自由に空を飛べない主人公が空を自由に飛ぶためにいろいろがんばるお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~
繭
ファンタジー
高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。
見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に
え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。
確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!?
ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・
気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。
誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!?
女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話
保険でR15
タイトル変更の可能性あり
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
結婚を控えた公爵令嬢は、お伽噺の“救世の神獣”と一心同体!? ~王太子殿下、わたしが人間じゃなくても婚約を続けてくださいますか?~
柳生潤兵衛
ファンタジー
【魔術も呪術もお伽噺の中のことだと思われていた世界で、公爵令嬢のオリヴィアがワンちゃんの姿で活躍し、世界を救うお話】
毎日6:10、18:10に投稿。
―あらすじ―
お酒を被ったり飲んだりするとワンちゃんに変身してしまう現象に悩まされていた公爵令嬢のオリヴィアは、一年後に結婚を控えてマリッジブルーな上に、その秘密をお相手であるエドワード王太子に言えずにいた。
そんな中開催された夜会で、エドワードもお酒でワンちゃんに変身してしまうことが判明。
その場はオリヴィアの機転で切り抜けられ、さらにオリヴィアの前向きな性格で両家を巻き込み原因の究明に乗り出す。
この理解不能な現象には、ある男が関わっていると判明し、その男の所在をワンちゃん“ふたり”の嗅覚で調べ上げ、身柄の確保に成功。
しかし、その男は長い間真犯人に囚われ、脅されて呪術を行使させられていただけだった。
真犯人の捜査を進めつつ、男の手によって解呪の儀式をするが、なぜかエドワードだけが成功し、オリヴィアは失敗してしまった。
戸惑ったり落ち込む間もなく、新たな問題が発生する。
天文現象を原因にその男が不気味で巨大な怪物に変身し、災厄を撒き散らしながら逃亡してしまったのだ。
それでもオリヴィアは前向きに解決しようと動く。
そんなオリヴィアに、エドワードも王太子としてよりも、オリヴィアの婚約者として協力して立ち向かっていく。
※本作内に於いて惑星や衛星の巡りの記述がありますが、地球を含む太陽系とは異なります。
また、それらの公転軌道等については緩い設定ですので、フィクションとご理解下されば幸いです。
本作は下記短編を長編化したもので、
第1章部分の中盤以降(結末)を改訂した上で、オリジナル第2章へ続きます。
マリッジブルー令嬢の深刻!?な秘密 ~お酒でワンちゃんになっちゃうご令嬢の、絶対婚約者に知られてはいけない夜会(知られちゃう)~
https://www.alphapolis.co.jp/novel/467203436/87638231
※※ この作品は、「カクヨム」「ノベルアップ+」にも掲載しています。
※※ 「小説家になろう」にも掲載予定です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
刻の短刀クロノダガー ~悪役にされた令嬢の人生を取り戻せ~
玄未マオ
ファンタジー
三名の婚約者候補。
彼らは前の時間軸において、一人は敵、もう一人は彼女のために命を落とした騎士。
そして、最後の一人は前の時間軸では面識すらなかったが、彼女を助けるためにやって来た魂の依り代。
過去の過ちを記憶の隅に押しやり孫の誕生を喜ぶ国王に、かつて地獄へと追いやった公爵令嬢セシルの恨みを語る青年が現れる。
それはかつてセシルを嵌めた自分たち夫婦の息子だった。
非道が明るみになり処刑された王太子妃リジェンナ。
無傷だった自分に『幻の王子』にされた息子が語りかけ、王家の秘術が発動される。
巻き戻りファンタジー。
ヒーローは、ごめん、生きている人間ですらない。
ヒロインは悪役令嬢ポジのセシルお嬢様ではなく、彼女の筆頭侍女のアンジュ。
楽しんでくれたらうれしいです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
死に戻り勇者は二度目の人生を穏やかに暮らしたい ~殺されたら過去に戻ったので、今度こそ失敗しない勇者の冒険~
白い彗星
ファンタジー
世界を救った勇者、彼はその力を危険視され、仲間に殺されてしまう。無念のうちに命を散らした男ロア、彼が目を覚ますと、なんと過去に戻っていた!
もうあんなヘマはしない、そう誓ったロアは、二度目の人生を穏やかに過ごすことを決意する!
とはいえ世界を救う使命からは逃れられないので、世界を救った後にひっそりと暮らすことにします。勇者としてとんでもない力を手に入れた男が、死の原因を回避するために苦心する!
ロアが死に戻りしたのは、いったいなぜなのか……一度目の人生との分岐点、その先でロアは果たして、穏やかに過ごすことが出来るのだろうか?
過去へ戻った勇者の、ひっそり冒険談
小説家になろうでも連載しています!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる