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第93話 筒井太一
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小屋の中はやはりというか案の定というか、お世辞にも綺麗とは言えない造りだった。
天井と床にはところどころ穴が開いていて、ゴキブリとネズミが見え隠れしている。
とてもじゃないがこんなところには住めないと俺は思った。
そう思ったのは俺だけではなかったようで、北原すみれはいつも以上に口を堅く閉ざして俺の服の端っこをぎゅっと掴んでいる。
微妙に体が震えているようにも見えた。
一方メタムンはというと、
『うわぁー、この家ぼろいねーっ!』
と思ったことを口に出している。
「おい、メタムン、失礼だろっ」
俺は慌ててメタムンを注意した。
筒井の機嫌を損なって、蘇生呪文を使ってくれなくなっては困るからだ。
だが筒井は、
「本当にぼろいんだから別にいいぞ」
とメタムンの発言を気にする様子もなくあっさりと受け入れた。
見た目通り純朴そうないい奴だ。
「じゃあ早速蘇生呪文を使ってやるけど、その前にお前らのレベルをおれに分けてくれ」
「……へっ? な、なんだって?」
今なんて言ったんだ?
レベルを分ける……?
「うん? 聞こえなかったか? お前らのレベルをおれに分けてくれって言ったんだ」
筒井は同じ言葉を繰り返した。
「いや、どういうことだ、意味が分からない。レベルを分けるってなんだよ」
「おれの持つこのアイテム、レベルドレインっつうんだけど。は、相手からレベルを奪って自分のレベルにプラスできるんだ。とは言っても相手がそれに同意してないと奪えないんだけどな」
筒井はどこからか持ち出した大剣を俺たちに見せつけるようにして天に掲げる。
「いや……え?」
「柴木ってたしか、レベルが2000以上あるんだろ。だったらそれ全部おれにくれ」
「い、いやいや……ただで生き返らせてくれるんじゃなかったのかっ?」
「誰がただなんて言ったんだ。百人以上も生き返らせてやるんだぞ、ただのわけないだろ」
……前言撤回。
こいつはなかなかどうして、したたかな奴らしい。
天井と床にはところどころ穴が開いていて、ゴキブリとネズミが見え隠れしている。
とてもじゃないがこんなところには住めないと俺は思った。
そう思ったのは俺だけではなかったようで、北原すみれはいつも以上に口を堅く閉ざして俺の服の端っこをぎゅっと掴んでいる。
微妙に体が震えているようにも見えた。
一方メタムンはというと、
『うわぁー、この家ぼろいねーっ!』
と思ったことを口に出している。
「おい、メタムン、失礼だろっ」
俺は慌ててメタムンを注意した。
筒井の機嫌を損なって、蘇生呪文を使ってくれなくなっては困るからだ。
だが筒井は、
「本当にぼろいんだから別にいいぞ」
とメタムンの発言を気にする様子もなくあっさりと受け入れた。
見た目通り純朴そうないい奴だ。
「じゃあ早速蘇生呪文を使ってやるけど、その前にお前らのレベルをおれに分けてくれ」
「……へっ? な、なんだって?」
今なんて言ったんだ?
レベルを分ける……?
「うん? 聞こえなかったか? お前らのレベルをおれに分けてくれって言ったんだ」
筒井は同じ言葉を繰り返した。
「いや、どういうことだ、意味が分からない。レベルを分けるってなんだよ」
「おれの持つこのアイテム、レベルドレインっつうんだけど。は、相手からレベルを奪って自分のレベルにプラスできるんだ。とは言っても相手がそれに同意してないと奪えないんだけどな」
筒井はどこからか持ち出した大剣を俺たちに見せつけるようにして天に掲げる。
「いや……え?」
「柴木ってたしか、レベルが2000以上あるんだろ。だったらそれ全部おれにくれ」
「い、いやいや……ただで生き返らせてくれるんじゃなかったのかっ?」
「誰がただなんて言ったんだ。百人以上も生き返らせてやるんだぞ、ただのわけないだろ」
……前言撤回。
こいつはなかなかどうして、したたかな奴らしい。
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