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第7話 決死行(三ヶ月前)
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『フシュルルルルッ』
背中に羽を生やした体長三メートルくらいの大蛇は長い舌を出したり引っ込めたりしている。
「へ、蛇かこいつっ? でも、羽が生えてるぞ……」
『フシュルルルルッ』
羽の生えた蛇なんて見たことも聞いたこともない。
こいつもまさかスライムと同じようにこの世の生物じゃないのか……?
俺は大蛇を警戒しつつスライムを横目でちらりと見た。
スライムは大蛇の存在に気付いているのかいないのか、岩にへばりついたまま動く気配はない。
『フシュルルルルッ』
と、俺の視線につられたのか、大蛇がスライムに目をやった。
そしてじりじりとスライムの方に近付いていく。
少しずつ間合いを詰めて射程圏内に入ったら一気に飛びかかる気なのかもしれない。
とにもかくにも大蛇は俺ではなくスライムに興味を持ったようだった。
なので逃げようと思えば逃げられるはずだ。
ゆっくりと後ろに下がりながら隙を見てダッシュすれば俺は助かる。
……でも、スライムが間違いなく犠牲になるだろう。
「……」
そうこうしているうちに大蛇はスライムのすぐそばまで近寄っていた。
今にも襲いかかりそうな雰囲気だ。
「……っ」
俺はその様子を眺めながら頭の中で葛藤していた。
スライムがなんだ。見捨てたって誰も文句は言わないさ。
そもそも助ける筋合いなどないんだ。
それより自分が助かる道を選ぶべきだ。
『ピュイ~……』
力なく鳴いているスライムが視界に入りせっかくの決心が鈍る。
『ピュイ~……』
「……ちっ」
気付けば俺はほら穴の中を見回して手近にあった棒っきれを掴むと、
「……くそったれ!」
大蛇にそれを振り下ろしていた。
だが『フシュルッ』と大蛇は紙一重で回避、羽をはためかせ宙へと舞った。
「ヤ、ヤバっ……」
『フシァーッ!』
目の前六十センチの距離で浮遊する大蛇は、ターゲットを俺に変更したようで威嚇なのか大きく口を開けている。
まずいぞ。
不意打ちでさえ当たらなかったのに今はもう完全に俺を敵として意識してしまっている。
とてもじゃないが倒せる気がしない。
『フシァーッ!』
「くっ……」
やはりスライムを見捨てていればよかった。
ガラにもないことをするべきではなかったか。
……カコンッ。
持っていた棒っ切れが手から滑り落ちる。
俺は恐怖のあまり強く目をつぶった。
刹那、
『フシァーッ!』
大蛇の咆哮が目の前数センチから聞こえ、俺が死を覚悟したまさにその瞬間だった。
『ピピュイーッ!!』
スライムの鳴き声がほら穴の中に響いた。
俺はとっさに目を開ける。
するとそこには驚くべき光景が。
なんとスライムが大蛇の口の中に自ら飛び込んでいったではないか。
大蛇は、
『ッ……!』
スライムが口の中につっかえて息が出来ない様子。
唖然とする俺の意識を呼び戻すかのように直後スライムが『ピュイーッ!!』とひと鳴きした。
それをきっかけに俺はハッとなり、地面に落としていた棒っきれを再び握り直すと、
「うおぉぉぉぉーーっ!!」
全身全霊の力を込めて大蛇の頭にそれを振り下ろし、見事大蛇の頭をかち割ったのだった。
背中に羽を生やした体長三メートルくらいの大蛇は長い舌を出したり引っ込めたりしている。
「へ、蛇かこいつっ? でも、羽が生えてるぞ……」
『フシュルルルルッ』
羽の生えた蛇なんて見たことも聞いたこともない。
こいつもまさかスライムと同じようにこの世の生物じゃないのか……?
俺は大蛇を警戒しつつスライムを横目でちらりと見た。
スライムは大蛇の存在に気付いているのかいないのか、岩にへばりついたまま動く気配はない。
『フシュルルルルッ』
と、俺の視線につられたのか、大蛇がスライムに目をやった。
そしてじりじりとスライムの方に近付いていく。
少しずつ間合いを詰めて射程圏内に入ったら一気に飛びかかる気なのかもしれない。
とにもかくにも大蛇は俺ではなくスライムに興味を持ったようだった。
なので逃げようと思えば逃げられるはずだ。
ゆっくりと後ろに下がりながら隙を見てダッシュすれば俺は助かる。
……でも、スライムが間違いなく犠牲になるだろう。
「……」
そうこうしているうちに大蛇はスライムのすぐそばまで近寄っていた。
今にも襲いかかりそうな雰囲気だ。
「……っ」
俺はその様子を眺めながら頭の中で葛藤していた。
スライムがなんだ。見捨てたって誰も文句は言わないさ。
そもそも助ける筋合いなどないんだ。
それより自分が助かる道を選ぶべきだ。
『ピュイ~……』
力なく鳴いているスライムが視界に入りせっかくの決心が鈍る。
『ピュイ~……』
「……ちっ」
気付けば俺はほら穴の中を見回して手近にあった棒っきれを掴むと、
「……くそったれ!」
大蛇にそれを振り下ろしていた。
だが『フシュルッ』と大蛇は紙一重で回避、羽をはためかせ宙へと舞った。
「ヤ、ヤバっ……」
『フシァーッ!』
目の前六十センチの距離で浮遊する大蛇は、ターゲットを俺に変更したようで威嚇なのか大きく口を開けている。
まずいぞ。
不意打ちでさえ当たらなかったのに今はもう完全に俺を敵として意識してしまっている。
とてもじゃないが倒せる気がしない。
『フシァーッ!』
「くっ……」
やはりスライムを見捨てていればよかった。
ガラにもないことをするべきではなかったか。
……カコンッ。
持っていた棒っ切れが手から滑り落ちる。
俺は恐怖のあまり強く目をつぶった。
刹那、
『フシァーッ!』
大蛇の咆哮が目の前数センチから聞こえ、俺が死を覚悟したまさにその瞬間だった。
『ピピュイーッ!!』
スライムの鳴き声がほら穴の中に響いた。
俺はとっさに目を開ける。
するとそこには驚くべき光景が。
なんとスライムが大蛇の口の中に自ら飛び込んでいったではないか。
大蛇は、
『ッ……!』
スライムが口の中につっかえて息が出来ない様子。
唖然とする俺の意識を呼び戻すかのように直後スライムが『ピュイーッ!!』とひと鳴きした。
それをきっかけに俺はハッとなり、地面に落としていた棒っきれを再び握り直すと、
「うおぉぉぉぉーーっ!!」
全身全霊の力を込めて大蛇の頭にそれを振り下ろし、見事大蛇の頭をかち割ったのだった。
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