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第63話 ラファグリポス発見
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「ここに埋めてあるのか? ラファグリポスを」
「……うん」
アテナが小さくうなづいた。
そしてすっとしゃがみ込むと墓石の下を手で掘り始めた。
ラファグリポスとは一体どんな石板なのだろう。
国王からどんな願いも一つだけ叶う古代の石板とは聞いていたがそれだけだ。詳しくは知らない。
そもそも俺はあまり信じていない。
「……あった」
アテナが墓石の下を掘り始めて数分後、言葉を発した。
「えっほんと!? 見せて見せて」
エルメスがアテナの肩越しに覗き込む。
「へー、それがラファなんとかっていう石板なの? ふ~ん、結構地味なのね」
ラファグリポスだ。いい加減名前憶えろよ。
「拙者にも見せてください」
スズの言葉でアテナは地中から石板を取り出し手渡した。
「ふむふむ。これが伝承にある石板ですか……趣きがありますね」
じっくりと見極めるスズ。
プフも興味深そうにスズの頭の上から石板をながめている。
「ではカズン王子様、早速お城に持ち帰りましょうか。国王様が待っておられますから」
カルチェが口を開く。
俺はアテナを見下ろし、
「本当に俺たちがもらってもいいのか? 大切なものなんじゃないのかこれ?」
と訊くと、
「……争いの種になるならカズンにあげる」
俺の目を見てそう答えた。
「そっか。ありがとう、アテナ」
俺は石板を手にするとアテナの髪をくしゃくしゃと撫でた。
アテナはくすぐったそうに目を細める。
その時――。
「ちょっと待ったぁ!」
後ろから声がした。
振り返るとそこにはテスタロッサとダンが立っていた。
テスタロッサは手のひらを前に突き出し自信満々な様子で、ダンは一輪のバラを口元に当てている。
「話は全部聞かせてもらったわ。ふふん、悪いわねカズン、あたしたちはあんたたちの後をつけてたのよっ」
テスタロッサは言い放った。
つけてた? 尾行されてたってことか?
全然気付かなかった。
「悪いようにはしないからその石板を渡しなさいっ」
「断る」
「そうそうそれでこそあたしのフィアンセ……ってなんで断るのよっ!」
「なんでって言われてもみつけたのは俺たちだし、なぁ?」
俺はみんなを見た。
カルチェは苦笑いを浮かべ、エルメスは呆れて肩をすくめている。
むしろなんで当たり前のように俺が石板を渡すと思っていたんだ。
「あんたはあたしのフィアンセでしょ、だったらあんたの物はあたしの物でもあるでしょうが」
どこかのいじめっ子が言いそうな理屈を並べ立てるテスタロッサ。
「それは聞き捨てならないよテスタロッサ。正式なフィアンセはまだ彼かボクかは決まっていないのだからねっ」
また面倒な奴が口を開いた。
「さあカズン王子、テスタロッサを賭けてボクと再度決闘しようじゃないか」
「断る」
「そうそうそれでこそボクが生涯のライバルと認めた……って断るのかい!?」
テスタロッサと同じ反応をするダン。
やれやれ、この二人をどうするかな。
俺が対応に困っていると――。
「お遊びはそこまでにしてもらおうか」
木の上から声がした。
「……うん」
アテナが小さくうなづいた。
そしてすっとしゃがみ込むと墓石の下を手で掘り始めた。
ラファグリポスとは一体どんな石板なのだろう。
国王からどんな願いも一つだけ叶う古代の石板とは聞いていたがそれだけだ。詳しくは知らない。
そもそも俺はあまり信じていない。
「……あった」
アテナが墓石の下を掘り始めて数分後、言葉を発した。
「えっほんと!? 見せて見せて」
エルメスがアテナの肩越しに覗き込む。
「へー、それがラファなんとかっていう石板なの? ふ~ん、結構地味なのね」
ラファグリポスだ。いい加減名前憶えろよ。
「拙者にも見せてください」
スズの言葉でアテナは地中から石板を取り出し手渡した。
「ふむふむ。これが伝承にある石板ですか……趣きがありますね」
じっくりと見極めるスズ。
プフも興味深そうにスズの頭の上から石板をながめている。
「ではカズン王子様、早速お城に持ち帰りましょうか。国王様が待っておられますから」
カルチェが口を開く。
俺はアテナを見下ろし、
「本当に俺たちがもらってもいいのか? 大切なものなんじゃないのかこれ?」
と訊くと、
「……争いの種になるならカズンにあげる」
俺の目を見てそう答えた。
「そっか。ありがとう、アテナ」
俺は石板を手にするとアテナの髪をくしゃくしゃと撫でた。
アテナはくすぐったそうに目を細める。
その時――。
「ちょっと待ったぁ!」
後ろから声がした。
振り返るとそこにはテスタロッサとダンが立っていた。
テスタロッサは手のひらを前に突き出し自信満々な様子で、ダンは一輪のバラを口元に当てている。
「話は全部聞かせてもらったわ。ふふん、悪いわねカズン、あたしたちはあんたたちの後をつけてたのよっ」
テスタロッサは言い放った。
つけてた? 尾行されてたってことか?
全然気付かなかった。
「悪いようにはしないからその石板を渡しなさいっ」
「断る」
「そうそうそれでこそあたしのフィアンセ……ってなんで断るのよっ!」
「なんでって言われてもみつけたのは俺たちだし、なぁ?」
俺はみんなを見た。
カルチェは苦笑いを浮かべ、エルメスは呆れて肩をすくめている。
むしろなんで当たり前のように俺が石板を渡すと思っていたんだ。
「あんたはあたしのフィアンセでしょ、だったらあんたの物はあたしの物でもあるでしょうが」
どこかのいじめっ子が言いそうな理屈を並べ立てるテスタロッサ。
「それは聞き捨てならないよテスタロッサ。正式なフィアンセはまだ彼かボクかは決まっていないのだからねっ」
また面倒な奴が口を開いた。
「さあカズン王子、テスタロッサを賭けてボクと再度決闘しようじゃないか」
「断る」
「そうそうそれでこそボクが生涯のライバルと認めた……って断るのかい!?」
テスタロッサと同じ反応をするダン。
やれやれ、この二人をどうするかな。
俺が対応に困っていると――。
「お遊びはそこまでにしてもらおうか」
木の上から声がした。
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