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第19話 カジノ
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一夜明けて。
エレナに起こしてもらった僕は昨日の夜の出来事をかいつまんで話して聞かせた。
ガンドーラをみつけたこと。
ルーブルが女だったこと。
ルーブルはアズライルに買われたこと。
アズアイルはバイラックの町にいるということ。
さらにアズライルの話をするために僕がレオナルドたちに追放された経緯もすべて話した。
するとエレナは僕のために涙を流してくれた。
「そ、そんなことがあったなんて……」
「……うん。今まで言ってなくてごめん」
「い、いえ。いいんです。わたしなんかに話してくれてありがとうございます……わたしも一緒にバイラックの町に行きます」
こうして僕たち二人はバイラックの町を目指すことに決めた。
☆ ☆ ☆
二日後、僕たちはバイラックの町に到着した。
「アズライルは賭け事が好きだからカジノにいるかもしれない。僕はカジノに行ってくるからエレナは宿屋で休んでて」
「あの、よかったらわたしも探しましょうか?」
エレナはそう言ってくれるが、
「エレナはアズライルの顔知らないでしょ」
と答える。
「そ、それはそうですけど……特徴を教えてくれればわたしも探します。二人で手分けして探した方が効率がいいはずですから」
「うーん……まあ、そうだね」
エレナの言うことももっともだ。
バイラックは大きな町だからその方が僕も助かる。
「もちろんわたしがみつけた時はクロノさんに知らせますから」
「わかった」
僕はそう返すとアズライルの特徴であるスキンヘッドや大柄な体格、重装備をしていることなどをエレナに話して聞かせた。
☆ ☆ ☆
カジノまで足を運んだ僕は早速中に入ろうとする。
だがそこでカジノの出入り口にいた係の男性に止められてしまった。
「失礼ですが身分証を見せてもらえますか?」
「身分証?」
「ええ、当カジノは十五歳未満は入店できない規則ですので」
カジノに年齢制限があるとは知らなかった。
「冒険者カードでもいいですか?」
「構いませんよ」
僕は冒険者カードを係の男性に提示した。
冒険者カードとは冒険者になる時にギルドで作ってもらったカードで身分証代わりになると聞いていた。
捨てずに持っておいてよかった。
「はい、結構です。お通りください」
係の男性が道を開けてくれる。
どうやら問題なかったようだが十五歳未満ということは十四歳のエレナはカジノには入れないってことだな。
二手に分かれて正解だったか。
僕はカジノに足を踏み入れると中を見回した。
カジノの中はかなり広く小気味の良い音楽が流れている。
そこここにテーブルがありその周りに沢山の人が群がっていた。
僕はカジノの中にいる人の顔を一人一人チェックしていく。
喜怒哀楽、様々な表情を浮かべている人たちを見比べながら僕はカジノ内を歩き続けた。
――探し回ること十分。
「……おかしいな」
ギャンブル好きなアズライルはここにいるだろうと踏んでいたのだが一向にみつからない。
当てが外れたか?
そう思ったその時だった。
「よっしゃ! 当たったぜーっ!」
少し離れたテーブルから男性の声が上がった。
それと同時に周りにいた人たちからも歓声が上がり拍手が起こる。
その男性の声は聞き覚えのある声だった。
僕は振り向きその声の主を確認する。
!!
次の瞬間、僕の瞳がとらえたのは高笑いを浮かべながら若い女性とハイタッチを交わすアズライルの姿だった。
エレナに起こしてもらった僕は昨日の夜の出来事をかいつまんで話して聞かせた。
ガンドーラをみつけたこと。
ルーブルが女だったこと。
ルーブルはアズライルに買われたこと。
アズアイルはバイラックの町にいるということ。
さらにアズライルの話をするために僕がレオナルドたちに追放された経緯もすべて話した。
するとエレナは僕のために涙を流してくれた。
「そ、そんなことがあったなんて……」
「……うん。今まで言ってなくてごめん」
「い、いえ。いいんです。わたしなんかに話してくれてありがとうございます……わたしも一緒にバイラックの町に行きます」
こうして僕たち二人はバイラックの町を目指すことに決めた。
☆ ☆ ☆
二日後、僕たちはバイラックの町に到着した。
「アズライルは賭け事が好きだからカジノにいるかもしれない。僕はカジノに行ってくるからエレナは宿屋で休んでて」
「あの、よかったらわたしも探しましょうか?」
エレナはそう言ってくれるが、
「エレナはアズライルの顔知らないでしょ」
と答える。
「そ、それはそうですけど……特徴を教えてくれればわたしも探します。二人で手分けして探した方が効率がいいはずですから」
「うーん……まあ、そうだね」
エレナの言うことももっともだ。
バイラックは大きな町だからその方が僕も助かる。
「もちろんわたしがみつけた時はクロノさんに知らせますから」
「わかった」
僕はそう返すとアズライルの特徴であるスキンヘッドや大柄な体格、重装備をしていることなどをエレナに話して聞かせた。
☆ ☆ ☆
カジノまで足を運んだ僕は早速中に入ろうとする。
だがそこでカジノの出入り口にいた係の男性に止められてしまった。
「失礼ですが身分証を見せてもらえますか?」
「身分証?」
「ええ、当カジノは十五歳未満は入店できない規則ですので」
カジノに年齢制限があるとは知らなかった。
「冒険者カードでもいいですか?」
「構いませんよ」
僕は冒険者カードを係の男性に提示した。
冒険者カードとは冒険者になる時にギルドで作ってもらったカードで身分証代わりになると聞いていた。
捨てずに持っておいてよかった。
「はい、結構です。お通りください」
係の男性が道を開けてくれる。
どうやら問題なかったようだが十五歳未満ということは十四歳のエレナはカジノには入れないってことだな。
二手に分かれて正解だったか。
僕はカジノに足を踏み入れると中を見回した。
カジノの中はかなり広く小気味の良い音楽が流れている。
そこここにテーブルがありその周りに沢山の人が群がっていた。
僕はカジノの中にいる人の顔を一人一人チェックしていく。
喜怒哀楽、様々な表情を浮かべている人たちを見比べながら僕はカジノ内を歩き続けた。
――探し回ること十分。
「……おかしいな」
ギャンブル好きなアズライルはここにいるだろうと踏んでいたのだが一向にみつからない。
当てが外れたか?
そう思ったその時だった。
「よっしゃ! 当たったぜーっ!」
少し離れたテーブルから男性の声が上がった。
それと同時に周りにいた人たちからも歓声が上がり拍手が起こる。
その男性の声は聞き覚えのある声だった。
僕は振り向きその声の主を確認する。
!!
次の瞬間、僕の瞳がとらえたのは高笑いを浮かべながら若い女性とハイタッチを交わすアズライルの姿だった。
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