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第7話 ゴールドメタルスライムの巣
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「ふぅ、とりあえずここまで来れば大丈夫だろ」
ダンジョンの中に入った俺はようやく一息ついた。
「しかし、相変わらず薄暗いなぁ」
俺は周囲を見回す。
ダンジョンの内部は昨日と同じように薄暗く、どこか肌寒ささえ感じられた。
ダンジョンとはみんなこうなのか、それともこのダンジョン特有のものなのかわからないが、とにかく不気味な雰囲気である。
「さてと」
俺は気を取り直し、探索を開始した。
まずは昨日と同じルートを歩き、ゴールドメタルスライムとの遭遇を目指す。
しかし道中襲い来るモンスターは、ゴブリンやスライムばかり。
昨日は気付かなかったが、このダンジョン内にはゴブリンやスライムといった低級のモンスターもいるらしい。
それらは俺の姿を見るなり、飛びかかってくる。
だが、俺のレベルはすでに164。
ゴブリンやスライムごときには傷一つつけることも出来ないほど俺は強くなっている。
そして、命知らずなゴブリンたちを一撃で返り討ちにしながら、ダンジョン内を歩き回ること20分。
俺はようやく目当てのゴールドメタルスライムの姿を拝むことが出来た。
それにしても――
「おぉ、やっぱりすばしっこいなぁ……」
ゴールドメタルスライムが俺の目の前に現れたのは一瞬だけで、その場に残像を残しすぐにダンジョンの奥の方に消えてしまった。
「まあ、すぐに捕まえてやるさ。そんでもってまたレベルを一気に上げてやるっ」
そう意気込むと、俺はゴールドメタルスライムのあとを追うようにして、勢いよく駆け出した。
◆ ◆ ◆
「はぁ、はぁ……お、おかしい……」
肩で息をしながらつぶやく。
レベルが上がっている分、昨日より間違いなく俺の動きは早くなっているはずなのだが、俺は一向にゴールドメタルスライムの動きをとらえられないでいた。
「くそっ、どこ行ったんだっ」
辺りをキョロキョロと見渡す。
「ん?……あれかっ!?」
視線の先に、金色に輝く物体をとらえる。
それは俺の数十メートル先を右へ左へ、まるで俺をあざ笑うかのように自由自在に飛び回っている。
「この……待てこらーっ!!」
叫びながら必死で追いかけるがやはり追いつけない。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
何度追いかけてもまったく捕まえられないので、俺は昨日のことを思い返してみる。
昨日もこんな感じだったような気がするぞ……。
それでどうしても捕まえられないから、握手で仲直りをするフリをして不意打ちで倒したんだった。
我ながら汚い作戦だったが、昨日はそれが功を奏したわけだ。
仕方ない、今日も同じ手で行くか。
俺は決意を固めると、心を鬼にしてゴールドメタルスライムに語りかける。
「おーい、追いかけたりして悪かったよっ。友達になりたいだけなんだ、仲直りしようっ」
ダンジョン内にこだまする声。
するとしばらくして、
『ピューィ』
1匹のゴールドメタルスライムが俺の正面に現れた。
ふっ、単純な奴だ。
俺は心の中でほくそ笑むと、ゴールドメタルスライムに近付いていく。
そして、ゆっくりと左手を差し出した。
『ピューィ?』
馬鹿みたいな顔で油断しているぞ。
今なら殺れる。
俺は右手に力を込め、次の瞬間、ゴールドメタルスライムの顔面めがけ、右こぶしを思いきり打ち抜いた。
すかっ。
だがしかし、完全に隙をつきとらえたと思ったのに、ゴールドメタルスライムはまるで瞬間移動でもしたかのごとく、一瞬でその場から姿を消し去った。
「な、何っ!?」
『ピューィッ!!』
そして、気付けばゴールドメタルスライムは遥か前方に移動していて、仲間を呼ぶかのように大きな声で鳴いた。
すると、その鳴き声に呼応してダンジョン内のあちこちからゴールドメタルスライムがわんさと集まってきた。
その数はゆうに100匹を超えている。
「マ、マジかよ……多すぎだろ」
集まったゴールドメタルスライムのすべてが俺を見据えている。
まるで昨日のゴールドメタルスライムのかたきでも見るかのように、俺をギロリとにらみつけていた。
「お、おいおい、ちょっと待ってくれ……」
不穏な空気を感じ取った俺は、自然とあとずさりをしていた。
1匹1匹は大して強くはないが、それでも野球の硬球くらいの硬さはあるゴールドメタルスライムが100匹もいるんだ。
もしそれら全部に一斉に襲い掛かってこられたら……死んでしまうかもしれない。
「わ、悪かった。不意打ちはやっぱり卑怯だよな……も、もうしないからっ……」
『ピューィッ』
『ピューィッ』
『ピューィッ』
・
・
・
俺の言葉を理解しているのかいないのか、ゴールドメタルスライムたちは鼻息荒く鳴き声を上げている。
……どうやら俺を殺す気満々らしい。
ダンジョンの中に入った俺はようやく一息ついた。
「しかし、相変わらず薄暗いなぁ」
俺は周囲を見回す。
ダンジョンの内部は昨日と同じように薄暗く、どこか肌寒ささえ感じられた。
ダンジョンとはみんなこうなのか、それともこのダンジョン特有のものなのかわからないが、とにかく不気味な雰囲気である。
「さてと」
俺は気を取り直し、探索を開始した。
まずは昨日と同じルートを歩き、ゴールドメタルスライムとの遭遇を目指す。
しかし道中襲い来るモンスターは、ゴブリンやスライムばかり。
昨日は気付かなかったが、このダンジョン内にはゴブリンやスライムといった低級のモンスターもいるらしい。
それらは俺の姿を見るなり、飛びかかってくる。
だが、俺のレベルはすでに164。
ゴブリンやスライムごときには傷一つつけることも出来ないほど俺は強くなっている。
そして、命知らずなゴブリンたちを一撃で返り討ちにしながら、ダンジョン内を歩き回ること20分。
俺はようやく目当てのゴールドメタルスライムの姿を拝むことが出来た。
それにしても――
「おぉ、やっぱりすばしっこいなぁ……」
ゴールドメタルスライムが俺の目の前に現れたのは一瞬だけで、その場に残像を残しすぐにダンジョンの奥の方に消えてしまった。
「まあ、すぐに捕まえてやるさ。そんでもってまたレベルを一気に上げてやるっ」
そう意気込むと、俺はゴールドメタルスライムのあとを追うようにして、勢いよく駆け出した。
◆ ◆ ◆
「はぁ、はぁ……お、おかしい……」
肩で息をしながらつぶやく。
レベルが上がっている分、昨日より間違いなく俺の動きは早くなっているはずなのだが、俺は一向にゴールドメタルスライムの動きをとらえられないでいた。
「くそっ、どこ行ったんだっ」
辺りをキョロキョロと見渡す。
「ん?……あれかっ!?」
視線の先に、金色に輝く物体をとらえる。
それは俺の数十メートル先を右へ左へ、まるで俺をあざ笑うかのように自由自在に飛び回っている。
「この……待てこらーっ!!」
叫びながら必死で追いかけるがやはり追いつけない。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
何度追いかけてもまったく捕まえられないので、俺は昨日のことを思い返してみる。
昨日もこんな感じだったような気がするぞ……。
それでどうしても捕まえられないから、握手で仲直りをするフリをして不意打ちで倒したんだった。
我ながら汚い作戦だったが、昨日はそれが功を奏したわけだ。
仕方ない、今日も同じ手で行くか。
俺は決意を固めると、心を鬼にしてゴールドメタルスライムに語りかける。
「おーい、追いかけたりして悪かったよっ。友達になりたいだけなんだ、仲直りしようっ」
ダンジョン内にこだまする声。
するとしばらくして、
『ピューィ』
1匹のゴールドメタルスライムが俺の正面に現れた。
ふっ、単純な奴だ。
俺は心の中でほくそ笑むと、ゴールドメタルスライムに近付いていく。
そして、ゆっくりと左手を差し出した。
『ピューィ?』
馬鹿みたいな顔で油断しているぞ。
今なら殺れる。
俺は右手に力を込め、次の瞬間、ゴールドメタルスライムの顔面めがけ、右こぶしを思いきり打ち抜いた。
すかっ。
だがしかし、完全に隙をつきとらえたと思ったのに、ゴールドメタルスライムはまるで瞬間移動でもしたかのごとく、一瞬でその場から姿を消し去った。
「な、何っ!?」
『ピューィッ!!』
そして、気付けばゴールドメタルスライムは遥か前方に移動していて、仲間を呼ぶかのように大きな声で鳴いた。
すると、その鳴き声に呼応してダンジョン内のあちこちからゴールドメタルスライムがわんさと集まってきた。
その数はゆうに100匹を超えている。
「マ、マジかよ……多すぎだろ」
集まったゴールドメタルスライムのすべてが俺を見据えている。
まるで昨日のゴールドメタルスライムのかたきでも見るかのように、俺をギロリとにらみつけていた。
「お、おいおい、ちょっと待ってくれ……」
不穏な空気を感じ取った俺は、自然とあとずさりをしていた。
1匹1匹は大して強くはないが、それでも野球の硬球くらいの硬さはあるゴールドメタルスライムが100匹もいるんだ。
もしそれら全部に一斉に襲い掛かってこられたら……死んでしまうかもしれない。
「わ、悪かった。不意打ちはやっぱり卑怯だよな……も、もうしないからっ……」
『ピューィッ』
『ピューィッ』
『ピューィッ』
・
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俺の言葉を理解しているのかいないのか、ゴールドメタルスライムたちは鼻息荒く鳴き声を上げている。
……どうやら俺を殺す気満々らしい。
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