232 / 233
第232話 みんなで帰る
しおりを挟む
『ふーん。つまりその復活の玉ってのであたしを生き返らせてくれたわけだ』
ここは地下四十階層。
無事スラを復活させることに成功した俺とククリはこれまでのいきさつを話して聞かせていた。
「そういうことだ」
『マツイさん、そんなにあたしに会いたかったんだー』
「べ、別にそういうわけじゃないけどな」
『ふっふーん、照れなくてもいいのにー。ククリちゃんもありがとねっ』
「はいっ。スラさんが戻ってきてくれて私嬉しいですっ」
スラとククリの嬉しそうな顔を見ているとこっちまで嬉しくなって――
どさっ。
「マツイさんっ」
『マツイさんっ?』
俺はラストドラゴンから受けたダメージとフロアボスたちとの連戦でへろへろだった。
地面に横たわってしまう。
「早くヒールで回復してくださいよ、マツイさん」
「アホか……俺の魔力はすっからかんだ」
「あっそうでした」
『回復アイテム持ってないの?』
「ああ、何もない」
『マツイさん、その靴飲み込んでもいい?』
スラが俺の運動靴を見て言った。
「ん、ああ……」
スラはばくんと俺の足ごと口に含むと運動靴だけを引っぺがした。
ごくん。
それを飲み込んでからぼえっと吐き出す。
「あっ、魔力草ですっ」
『やった、ラッキーっ! 何回かやろうと思ってたけど一発でいいのが出たしー』
スラは吐き出した魔力草をくわえると俺の口元に運んできた。
『ほら、マツイさん食べてっ』
「おう……サンキュー」
むしゃむしゃ……と口の中で魔力草をすりつぶす。
相変わらず不味いなぁ……。
それでも魔力が回復した俺は「ハイヒール」を使い生命力を全回復させるとすっと立ち上がった。
「ふぅ~……生き返った気分だ。ありがとなスラ」
『生き返ったのはあたしじゃん』
「ははっ、そうだったな」
『ふっふーん』
俺はスラと顔を見合わせる。
久しぶりのスラ……平和そうな顔をしている。
「さて、ククリ。ここでトウキョウダンジョンはおしまいなんだよな」
「はい、マツイさんは全階層制覇しましたっ」
「じゃあ帰るとするか」
「あっ待ってください」
俺とスラが上へと続く階段に向かおうとするとククリが呼び止めてきた。
「……なんだよ。また大事なことを言い忘れてたとかじゃないだろうな。だとしたらいい加減怒るぞ」
「う……だったらいいです」
「やっぱりかよ。今度はなんだ? 怒らないから言ってみろ」
「……ほんとですか~? とか言ってやっぱり怒るんじゃ……」
とククリ。
「早くっ」
「はいっ。あのですね、マツイさんは戦ってて気付いてなかったと思うんですけどフロアボスを倒している間にレベルが10も上がっていたんです」
「10もかっ」
まあフロアボスを倒しまくってたからそれくらい上がってても不思議じゃないか。
「それでですね、新しい魔法を新たに一つ覚えていたので教えておこうかと」
「そうなのか……ちょっとステータス確認してもいいか」
俺はステータス画面を目の前に映し出した。
*************************************
マツイ:レベル250
生命力:338/338
魔力:15/219
攻撃力:270
防御力:258
素早さ:165
スキル:魔眼、寒熱耐性、テイマー、モンスターコレクター
魔法:バトルマッチ、ヒール、バトルアイス、キュア、バトルウインド、ハイヒール、バトルアース、ハイキュア、バトルメテオ、フライ、バトルフレア、ダブルアクセル、ミナデール
*************************************
「このミナデールってやつか――あっ!」
「あっ」
『あっ』
俺がミナデールと口にした途端俺とククリとスラは一瞬にしてダンジョンから抜け出て――
気付けば俺のうちの庭に瞬間移動していた。
ここは地下四十階層。
無事スラを復活させることに成功した俺とククリはこれまでのいきさつを話して聞かせていた。
「そういうことだ」
『マツイさん、そんなにあたしに会いたかったんだー』
「べ、別にそういうわけじゃないけどな」
『ふっふーん、照れなくてもいいのにー。ククリちゃんもありがとねっ』
「はいっ。スラさんが戻ってきてくれて私嬉しいですっ」
スラとククリの嬉しそうな顔を見ているとこっちまで嬉しくなって――
どさっ。
「マツイさんっ」
『マツイさんっ?』
俺はラストドラゴンから受けたダメージとフロアボスたちとの連戦でへろへろだった。
地面に横たわってしまう。
「早くヒールで回復してくださいよ、マツイさん」
「アホか……俺の魔力はすっからかんだ」
「あっそうでした」
『回復アイテム持ってないの?』
「ああ、何もない」
『マツイさん、その靴飲み込んでもいい?』
スラが俺の運動靴を見て言った。
「ん、ああ……」
スラはばくんと俺の足ごと口に含むと運動靴だけを引っぺがした。
ごくん。
それを飲み込んでからぼえっと吐き出す。
「あっ、魔力草ですっ」
『やった、ラッキーっ! 何回かやろうと思ってたけど一発でいいのが出たしー』
スラは吐き出した魔力草をくわえると俺の口元に運んできた。
『ほら、マツイさん食べてっ』
「おう……サンキュー」
むしゃむしゃ……と口の中で魔力草をすりつぶす。
相変わらず不味いなぁ……。
それでも魔力が回復した俺は「ハイヒール」を使い生命力を全回復させるとすっと立ち上がった。
「ふぅ~……生き返った気分だ。ありがとなスラ」
『生き返ったのはあたしじゃん』
「ははっ、そうだったな」
『ふっふーん』
俺はスラと顔を見合わせる。
久しぶりのスラ……平和そうな顔をしている。
「さて、ククリ。ここでトウキョウダンジョンはおしまいなんだよな」
「はい、マツイさんは全階層制覇しましたっ」
「じゃあ帰るとするか」
「あっ待ってください」
俺とスラが上へと続く階段に向かおうとするとククリが呼び止めてきた。
「……なんだよ。また大事なことを言い忘れてたとかじゃないだろうな。だとしたらいい加減怒るぞ」
「う……だったらいいです」
「やっぱりかよ。今度はなんだ? 怒らないから言ってみろ」
「……ほんとですか~? とか言ってやっぱり怒るんじゃ……」
とククリ。
「早くっ」
「はいっ。あのですね、マツイさんは戦ってて気付いてなかったと思うんですけどフロアボスを倒している間にレベルが10も上がっていたんです」
「10もかっ」
まあフロアボスを倒しまくってたからそれくらい上がってても不思議じゃないか。
「それでですね、新しい魔法を新たに一つ覚えていたので教えておこうかと」
「そうなのか……ちょっとステータス確認してもいいか」
俺はステータス画面を目の前に映し出した。
*************************************
マツイ:レベル250
生命力:338/338
魔力:15/219
攻撃力:270
防御力:258
素早さ:165
スキル:魔眼、寒熱耐性、テイマー、モンスターコレクター
魔法:バトルマッチ、ヒール、バトルアイス、キュア、バトルウインド、ハイヒール、バトルアース、ハイキュア、バトルメテオ、フライ、バトルフレア、ダブルアクセル、ミナデール
*************************************
「このミナデールってやつか――あっ!」
「あっ」
『あっ』
俺がミナデールと口にした途端俺とククリとスラは一瞬にしてダンジョンから抜け出て――
気付けば俺のうちの庭に瞬間移動していた。
0
お気に入りに追加
676
あなたにおすすめの小説

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します
かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。
追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。
恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。
それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。
やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。
鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。
※小説家になろうにも投稿しています。

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる