214 / 233
第214話 攻撃力2490
しおりを挟む
地下二十階層のフロアボス、マスタードラゴンとの戦闘中――
「ククリっ、どうすればいいっ!」
頼みの綱のククリに助言を求めるも、
『ギャオオォォォー!!』
マスタードラゴンが俺を踏みつけてきた。
「ぐうっ……」
なんとか受け止めたがこのままでは潰されてしまう。
「ク、ククリっ……」
「マツイさんっ!」
ククリの叫び声は聞こえるがどうやらアドバイスはないようだ。
まいった、いよいよ万事休すか……?
『ギャオオォォォー!!』
『マツイさんっ、……っ!』
するとスラが大声を上げ俺に何か伝えようとしている。
『ギャオオォォォー!!』
マスタードラゴンの咆哮が部屋中に響き渡る中俺はスラの声にだけ集中し耳を傾けた。
『……マツイさんっ、カンフル剤カンフル剤っ!』
カンフル剤……?
そうか!
その手があったか!
一時的に攻撃力を十倍にするというアイテム、カンフル剤。
使った後は十分間まったく身動きが取れなくなるということなので今まで使ってこなかったがもうそれを使うしかない。
俺は、
「うおおおおおっ」
片腕だけでマスタードラゴンの踏みつけを押さえつつカンフル剤を口に入れた。
だが片腕だけではやはり耐え切れず潰されてしまう。
ドスン!!
「マツイさんっ!」
『マツイさんっ!』
『……ギャオォォ!?』
「ふ~、危なかった。カンフル剤の効果が即効性で助かったな」
俺は片腕でマスタードラゴンを軽々と持ち上げていた。
「よいしょっと……」
そしてマスタードラゴンを宙に放り投げると俺は跳び上がり、
「おらぁっ!」
マスタードラゴンの腹めがけ一発のパンチを繰り出した。
ドゴオオォォォーーン!!!
マスタードラゴンの腹に大きな風穴があき、血が大雨のように降る。
そしてマスタードラゴンの巨体は地面に落ちると同時に流血と一緒にきれいさっぱり消え去った。
俺が着地するとゴゴゴゴゴ……と部屋が開放され新たな階段が現れた。
宝箱も目の前に現れる。
「やりましたよ、マツイさ~ん!」
『マツイさん、めちゃすごいじゃん!』
俺のもとに駆けつけるククリとスラ。
「マツイさん、今のマスタードラゴンを倒したことでレベルが240に上がってますよっ」
ククリが俺の首の後ろを見ながら言うと、
『マジ? いいなー。あたしも上がってないか見て見てっ』
スラがククリに自分の背中を見せる。
「スラさんは上がってませんね~」
『なーんだ、がっかり』
ふたりの会話をよそに、
「……な、なんか変だ」
俺は体の異変を感じていた。
すると、
『つーかマツイさん何ぼーっとしてんのっ!』
スラがふざけてどんっと俺の背中に体当たりをしてくる。
「おわっとっと――」
俺は足の踏ん張りがきかず顔からどさっと地面に倒れてしまった。
『あれ? マツイさんどったの? あたしそんな強く当たってないよ』
「……い、いや違うんだよ。全身の力が抜けていく感じがして……も、もう手足も動かないんだ」
「マツイさん、カンフル剤の副作用が出てきちゃいましたね。今から十分間はマツイさんは身動きが出来なくなりますよ」
カンフル剤の副作用か……。
わかってはいたけど本当に体がまったく言うことをきかないんだな。
『十分すればもとに戻るんでしょ。なら休んでなよっ』
「で、でもその間にドラゴンが出てきたら、ど、どうすんだよ……」
『あたしがマツイさんを守るから安心していーよっ』
「バ、バカ言うな……お前の魔力は残り3しかないだろ。そ、それにドラゴンには灼熱の炎は効かないんだぞ」
『心配性だなマツイさんはー。だいじょぶだって言ってんじゃん。ねーククリちゃん』
「は、はい」
言うとスラは俺の前に居座った。
「ククリっ、どうすればいいっ!」
頼みの綱のククリに助言を求めるも、
『ギャオオォォォー!!』
マスタードラゴンが俺を踏みつけてきた。
「ぐうっ……」
なんとか受け止めたがこのままでは潰されてしまう。
「ク、ククリっ……」
「マツイさんっ!」
ククリの叫び声は聞こえるがどうやらアドバイスはないようだ。
まいった、いよいよ万事休すか……?
『ギャオオォォォー!!』
『マツイさんっ、……っ!』
するとスラが大声を上げ俺に何か伝えようとしている。
『ギャオオォォォー!!』
マスタードラゴンの咆哮が部屋中に響き渡る中俺はスラの声にだけ集中し耳を傾けた。
『……マツイさんっ、カンフル剤カンフル剤っ!』
カンフル剤……?
そうか!
その手があったか!
一時的に攻撃力を十倍にするというアイテム、カンフル剤。
使った後は十分間まったく身動きが取れなくなるということなので今まで使ってこなかったがもうそれを使うしかない。
俺は、
「うおおおおおっ」
片腕だけでマスタードラゴンの踏みつけを押さえつつカンフル剤を口に入れた。
だが片腕だけではやはり耐え切れず潰されてしまう。
ドスン!!
「マツイさんっ!」
『マツイさんっ!』
『……ギャオォォ!?』
「ふ~、危なかった。カンフル剤の効果が即効性で助かったな」
俺は片腕でマスタードラゴンを軽々と持ち上げていた。
「よいしょっと……」
そしてマスタードラゴンを宙に放り投げると俺は跳び上がり、
「おらぁっ!」
マスタードラゴンの腹めがけ一発のパンチを繰り出した。
ドゴオオォォォーーン!!!
マスタードラゴンの腹に大きな風穴があき、血が大雨のように降る。
そしてマスタードラゴンの巨体は地面に落ちると同時に流血と一緒にきれいさっぱり消え去った。
俺が着地するとゴゴゴゴゴ……と部屋が開放され新たな階段が現れた。
宝箱も目の前に現れる。
「やりましたよ、マツイさ~ん!」
『マツイさん、めちゃすごいじゃん!』
俺のもとに駆けつけるククリとスラ。
「マツイさん、今のマスタードラゴンを倒したことでレベルが240に上がってますよっ」
ククリが俺の首の後ろを見ながら言うと、
『マジ? いいなー。あたしも上がってないか見て見てっ』
スラがククリに自分の背中を見せる。
「スラさんは上がってませんね~」
『なーんだ、がっかり』
ふたりの会話をよそに、
「……な、なんか変だ」
俺は体の異変を感じていた。
すると、
『つーかマツイさん何ぼーっとしてんのっ!』
スラがふざけてどんっと俺の背中に体当たりをしてくる。
「おわっとっと――」
俺は足の踏ん張りがきかず顔からどさっと地面に倒れてしまった。
『あれ? マツイさんどったの? あたしそんな強く当たってないよ』
「……い、いや違うんだよ。全身の力が抜けていく感じがして……も、もう手足も動かないんだ」
「マツイさん、カンフル剤の副作用が出てきちゃいましたね。今から十分間はマツイさんは身動きが出来なくなりますよ」
カンフル剤の副作用か……。
わかってはいたけど本当に体がまったく言うことをきかないんだな。
『十分すればもとに戻るんでしょ。なら休んでなよっ』
「で、でもその間にドラゴンが出てきたら、ど、どうすんだよ……」
『あたしがマツイさんを守るから安心していーよっ』
「バ、バカ言うな……お前の魔力は残り3しかないだろ。そ、それにドラゴンには灼熱の炎は効かないんだぞ」
『心配性だなマツイさんはー。だいじょぶだって言ってんじゃん。ねーククリちゃん』
「は、はい」
言うとスラは俺の前に居座った。
0
お気に入りに追加
676
あなたにおすすめの小説

最強の職業は付与魔術師かもしれない
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。
召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。
しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる――
※今月は毎日10時に投稿します。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します
かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。
追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。
恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。
それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。
やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。
鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。
※小説家になろうにも投稿しています。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる