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第152話 プロテイン
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「スラ、お前は来ちゃ駄目だってば」
『マツイさんが出かけるならあたしもついていくからねっ』
スラは勝手に車に乗り込むと助手席に陣取った。
そこからてこでも動こうとしない。
「さっきは留守番するって言ってただろうが」
『それは高木ちゃんとこに行く時でしょ。それ以外はあたしマツイさんと離れるつもりはないからねっ』
ほっぺたを大きく膨らませぷいっと俺から顔をそむけるスラ。
人間の女性になら一度は言われてみたいセリフを吐くが相手はモンスターだ。
「スーパーなんて行ったら大騒ぎだぞ。自衛隊が飛んでくるかも」
『じえいたいって何よ? あたし難しい言葉わかんないしー』
「とにかくスーパーはまずいって」
自衛隊は言い過ぎたが今の情報化社会、スーパーにスライムが現れたらSNSでばっと話が広まってしまう。
『ねえ、その袋なーに?』
「これ? エコバッグだけど……買ったものを入れる袋。って話をそらすな――」
『あたしその袋に入ってればバレなくない?』
「は?」
『あたし、ちょー頭いいじゃん』
「……はい?」
◇ ◇ ◇
『へー、スーパーって涼しいんだねー』
「スラ、喋るな」
押しに弱い性格が災いし俺はスラを連れてスーパーに来てしまっていた。
エコバッグの中に隠したスラに気を配りながら俺は早いとこ買い物を済ませるためそそくさとスーパーの中を見て回る。
時折り声を上げるスラに注意しつつ周りのお客さんにも気づかれないように注意をして店内を歩いた。
きょろきょろ周りを見ながら一人ぶつぶつつぶやく様はまるで不審者のよう。
スーパーに潜入している万引きGメンに目をつけられなければいいのだが。
今エコバッグの中身を確認されたら一発アウトだからな。
『ねえねえマツイさん、そのおっきい銀色の袋なーにー?』
「喋んなって言ってるだろ」
『いいじゃんいいじゃん』
「プロテインだよ、多分」
買ったことないからわからないがおそらくそうだろう。
つーかプロテインて高いんだな。
『それって美味しいの?』
「知るかっ」
◇ ◇ ◇
『やっぱりマツイさんだーい好き!』
駐車場に着くとスラがエコバッグから顔を出す。
見事誰にもバレることなく買い物を終えた俺は生活必需品のほかにスラにせがまれプロテインも買ってしまっていた。
「こんなのが一万五千円もするのかよ……」
プロテインの入った袋を車に積みながらひとりぼやく。
ダンジョンでの収入がなかったらとてもじゃないが手が出ない代物だ。
今回の買い物はお米やら缶詰めやらカップ麺やらペットボトル入りの飲料水やらとにかく大量に買いだめしておいたからしばらくは買い物に来なくても済みそうだ。
「さあ、早いとこ家に帰るぞ。高木さんを待たせちゃ悪いからな」
『プロテイン食べていい?』
「家に着くまで我慢しなさい」
『はーい』
エコバッグからスラを出して助手席にちょこんと置くと俺は車を発進させた。
もし俺に子どもがいたらこんな感じなのだろうか。
助手席に座るスラをチラ見しながら詮無いことを考えていると、
ピリリリリ……。
俺のスマホの着信音が鳴った。
「やべっ、ドライブモードにしてないや」
俺は急いで車を駐車場に戻すとスマホを手に取った。
ピリリリリ……。
目を落とすとスマホの液晶画面には高木こずえの文字。
「スラ、絶対に喋るなよ。声を出すな、いいな!」
『はいはい、わかったってば』
俺はスラに深く念押しして、
「こほん……もしもし高木さん?」
電話に出た。
『あ、ゴジラくんごめんね、今日お休みの人が二人も出ちゃって急遽仕事に行かなくちゃいけなくなっちゃったんだ』
高木さんの申し訳なさそうな声が電話口から聞こえてくる。
『ほんと急で悪いんだけど約束の時間、六時に変えてもらってもいいかなぁ?』
「あー、うん。全然いいよ」
『ありがとうゴジラくん』
「じゃあ午後六時に高木さん家に行くよ」
正確にはアパートだが。
『うん、お願い。あ、あとポチの散歩今日はまだ行けてないんだけど……』
「それも気にしないで。どうせ歩いていくから帰りに散歩して帰るよ」
『ほんとごめんね、じゃあ――』
『はっくちゅん!』
……。
……。
突然のスラのくしゃみで俺と高木さんの会話は止まった。
『マツイさんが出かけるならあたしもついていくからねっ』
スラは勝手に車に乗り込むと助手席に陣取った。
そこからてこでも動こうとしない。
「さっきは留守番するって言ってただろうが」
『それは高木ちゃんとこに行く時でしょ。それ以外はあたしマツイさんと離れるつもりはないからねっ』
ほっぺたを大きく膨らませぷいっと俺から顔をそむけるスラ。
人間の女性になら一度は言われてみたいセリフを吐くが相手はモンスターだ。
「スーパーなんて行ったら大騒ぎだぞ。自衛隊が飛んでくるかも」
『じえいたいって何よ? あたし難しい言葉わかんないしー』
「とにかくスーパーはまずいって」
自衛隊は言い過ぎたが今の情報化社会、スーパーにスライムが現れたらSNSでばっと話が広まってしまう。
『ねえ、その袋なーに?』
「これ? エコバッグだけど……買ったものを入れる袋。って話をそらすな――」
『あたしその袋に入ってればバレなくない?』
「は?」
『あたし、ちょー頭いいじゃん』
「……はい?」
◇ ◇ ◇
『へー、スーパーって涼しいんだねー』
「スラ、喋るな」
押しに弱い性格が災いし俺はスラを連れてスーパーに来てしまっていた。
エコバッグの中に隠したスラに気を配りながら俺は早いとこ買い物を済ませるためそそくさとスーパーの中を見て回る。
時折り声を上げるスラに注意しつつ周りのお客さんにも気づかれないように注意をして店内を歩いた。
きょろきょろ周りを見ながら一人ぶつぶつつぶやく様はまるで不審者のよう。
スーパーに潜入している万引きGメンに目をつけられなければいいのだが。
今エコバッグの中身を確認されたら一発アウトだからな。
『ねえねえマツイさん、そのおっきい銀色の袋なーにー?』
「喋んなって言ってるだろ」
『いいじゃんいいじゃん』
「プロテインだよ、多分」
買ったことないからわからないがおそらくそうだろう。
つーかプロテインて高いんだな。
『それって美味しいの?』
「知るかっ」
◇ ◇ ◇
『やっぱりマツイさんだーい好き!』
駐車場に着くとスラがエコバッグから顔を出す。
見事誰にもバレることなく買い物を終えた俺は生活必需品のほかにスラにせがまれプロテインも買ってしまっていた。
「こんなのが一万五千円もするのかよ……」
プロテインの入った袋を車に積みながらひとりぼやく。
ダンジョンでの収入がなかったらとてもじゃないが手が出ない代物だ。
今回の買い物はお米やら缶詰めやらカップ麺やらペットボトル入りの飲料水やらとにかく大量に買いだめしておいたからしばらくは買い物に来なくても済みそうだ。
「さあ、早いとこ家に帰るぞ。高木さんを待たせちゃ悪いからな」
『プロテイン食べていい?』
「家に着くまで我慢しなさい」
『はーい』
エコバッグからスラを出して助手席にちょこんと置くと俺は車を発進させた。
もし俺に子どもがいたらこんな感じなのだろうか。
助手席に座るスラをチラ見しながら詮無いことを考えていると、
ピリリリリ……。
俺のスマホの着信音が鳴った。
「やべっ、ドライブモードにしてないや」
俺は急いで車を駐車場に戻すとスマホを手に取った。
ピリリリリ……。
目を落とすとスマホの液晶画面には高木こずえの文字。
「スラ、絶対に喋るなよ。声を出すな、いいな!」
『はいはい、わかったってば』
俺はスラに深く念押しして、
「こほん……もしもし高木さん?」
電話に出た。
『あ、ゴジラくんごめんね、今日お休みの人が二人も出ちゃって急遽仕事に行かなくちゃいけなくなっちゃったんだ』
高木さんの申し訳なさそうな声が電話口から聞こえてくる。
『ほんと急で悪いんだけど約束の時間、六時に変えてもらってもいいかなぁ?』
「あー、うん。全然いいよ」
『ありがとうゴジラくん』
「じゃあ午後六時に高木さん家に行くよ」
正確にはアパートだが。
『うん、お願い。あ、あとポチの散歩今日はまだ行けてないんだけど……』
「それも気にしないで。どうせ歩いていくから帰りに散歩して帰るよ」
『ほんとごめんね、じゃあ――』
『はっくちゅん!』
……。
……。
突然のスラのくしゃみで俺と高木さんの会話は止まった。
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