135 / 233
第135話 何が出るかな?
しおりを挟む
「それにしても結局空を飛ぶアイテムはみつけられなかったな」
「そうですね~。あの宝箱どうします?」
「寝たおかげで魔力は回復してるから最悪俺が毒に侵されるのを覚悟で取りに行くかなぁ……」
「でもめちゃくちゃ苦しいですよ」
「そうなのか? うーん、それは……」
俺とククリがそんな会話をしていると、
『ピキー!』
スラがおもむろに話に割って入ってきた。
自信満々な顔で俺とククリを見上げてくる。
「ん? どうした?」
『ピキー、ピキー』
「あたしにアイテムを飲み込ませてって言ってますよ」
とククリ。
「おお、そうか。スラも魔力が回復してるんだったな」
『ピキー』
スラの魔力は40だから四回物質変換能力が使える計算だ。
『ピキー』
「ちょっと待ってろ、今いらないアイテムを……薬草でいっか」
『ピキー!』
スラが口を閉じてぷるぷると顔を横に振る。
「薬草は駄目なのか?」
「お腹がすいてるからこのあとで食べたいんだそうですよ」
「あーそう。じゃあ……」
俺は皮の袋の中をがさごそとかき回し、
「たいまつと研磨剤がいらないから、とりあえずたいまつにしよう」
俺はたいまつを取り出した。
んあ~と口を開くスラ。
「ほい」
と俺はスラの口の中にたいまつを入れてやる。
ごくん。
一旦飲み込み、スラはその後俺とククリの前にぼえっとあるものを吐き出した。
「うーんと、これは……兜かな?」
手に持ってみる。
「鉄仮面ですね。防御力+15です」
「おお。なかなかいい防具じゃないか。やったなスラっ」
『ピキー』
鉄仮面はフルフェイスタイプの兜だった。
俺はそのままかぶってみた。
「ん? あれ? これどうやって? 全然前が見えないんだけど……」
「ほんとですね。あれ~、どうなっているんでしょう」
ククリの声だけが聞こえてくる。
かぶってみたはいいものの目のところの開くはずの部分の留め具がバカになっているのか全然動かない。
「なんだこれっ」
使えそうにないので結局脱いでしまった。
「まあまあ、マツイさん。こんなのでも売値は二万円しますから一応取っておいてはどうですか」
「二万か。うん、じゃあこれは取っておくか」
鉄仮面を皮の袋にしまうと代わりに研磨剤を取り出す。
「スラ、次はこれを頼む」
『ピキー』
研磨剤はそれ単体ではなんの役にも立たない。
錆びた剣があれば別の剣に生まれ変わらせることが出来るが今は持っていないからこれは必要ないだろう。
「はい」
俺は研磨剤をスラに差し出した。
スラはばくんと俺の手ごと口に含んだ。
「おい、スラ。俺の手を食うな」
俺の言葉に一瞬目を見開き、んあ~と口を再度開いて研磨剤だけをべろんと舌の上に転がすとそれをごくんと飲み込むスラ。
そして、ぼえっ。
がさっと石畳の上に落ちたものはたわしだった。
「たわしかよ」
「たわしですね~」
「なんかたわし率高くないか?」
「人は努力が大切なんですよ。楽して稼ごうったって人生そんなうまくはいかないってことですね~」
ククリが急に説教じみたことを言ってひとりうなずいている。
スラが飲み込む、吐き出すを使えるのはあと二回。
「スラ、次はこのたわしな」
『ピキー』
ばくん。
ごくん。
ぼえっ。
がさっ。
たわし。
「またかよっ」
何回たわしが出るんだよ。
東京フレ〇ドパークじゃないんだぞ。
『ピキー』
「スラさんがお腹すいたから早く魔力を使い切りたいそうですよ」
「あ、ああ。じゃあこのたわしを頼む」
ばくん。
ごくん。
ぼえっ。
がさっ。
たわし。
「うおぉぉいっ」
魔力を使い切ったスラはこの後薬草を幸せそうな顔でもぐもぐと三つもたいらげたのだった。
「そうですね~。あの宝箱どうします?」
「寝たおかげで魔力は回復してるから最悪俺が毒に侵されるのを覚悟で取りに行くかなぁ……」
「でもめちゃくちゃ苦しいですよ」
「そうなのか? うーん、それは……」
俺とククリがそんな会話をしていると、
『ピキー!』
スラがおもむろに話に割って入ってきた。
自信満々な顔で俺とククリを見上げてくる。
「ん? どうした?」
『ピキー、ピキー』
「あたしにアイテムを飲み込ませてって言ってますよ」
とククリ。
「おお、そうか。スラも魔力が回復してるんだったな」
『ピキー』
スラの魔力は40だから四回物質変換能力が使える計算だ。
『ピキー』
「ちょっと待ってろ、今いらないアイテムを……薬草でいっか」
『ピキー!』
スラが口を閉じてぷるぷると顔を横に振る。
「薬草は駄目なのか?」
「お腹がすいてるからこのあとで食べたいんだそうですよ」
「あーそう。じゃあ……」
俺は皮の袋の中をがさごそとかき回し、
「たいまつと研磨剤がいらないから、とりあえずたいまつにしよう」
俺はたいまつを取り出した。
んあ~と口を開くスラ。
「ほい」
と俺はスラの口の中にたいまつを入れてやる。
ごくん。
一旦飲み込み、スラはその後俺とククリの前にぼえっとあるものを吐き出した。
「うーんと、これは……兜かな?」
手に持ってみる。
「鉄仮面ですね。防御力+15です」
「おお。なかなかいい防具じゃないか。やったなスラっ」
『ピキー』
鉄仮面はフルフェイスタイプの兜だった。
俺はそのままかぶってみた。
「ん? あれ? これどうやって? 全然前が見えないんだけど……」
「ほんとですね。あれ~、どうなっているんでしょう」
ククリの声だけが聞こえてくる。
かぶってみたはいいものの目のところの開くはずの部分の留め具がバカになっているのか全然動かない。
「なんだこれっ」
使えそうにないので結局脱いでしまった。
「まあまあ、マツイさん。こんなのでも売値は二万円しますから一応取っておいてはどうですか」
「二万か。うん、じゃあこれは取っておくか」
鉄仮面を皮の袋にしまうと代わりに研磨剤を取り出す。
「スラ、次はこれを頼む」
『ピキー』
研磨剤はそれ単体ではなんの役にも立たない。
錆びた剣があれば別の剣に生まれ変わらせることが出来るが今は持っていないからこれは必要ないだろう。
「はい」
俺は研磨剤をスラに差し出した。
スラはばくんと俺の手ごと口に含んだ。
「おい、スラ。俺の手を食うな」
俺の言葉に一瞬目を見開き、んあ~と口を再度開いて研磨剤だけをべろんと舌の上に転がすとそれをごくんと飲み込むスラ。
そして、ぼえっ。
がさっと石畳の上に落ちたものはたわしだった。
「たわしかよ」
「たわしですね~」
「なんかたわし率高くないか?」
「人は努力が大切なんですよ。楽して稼ごうったって人生そんなうまくはいかないってことですね~」
ククリが急に説教じみたことを言ってひとりうなずいている。
スラが飲み込む、吐き出すを使えるのはあと二回。
「スラ、次はこのたわしな」
『ピキー』
ばくん。
ごくん。
ぼえっ。
がさっ。
たわし。
「またかよっ」
何回たわしが出るんだよ。
東京フレ〇ドパークじゃないんだぞ。
『ピキー』
「スラさんがお腹すいたから早く魔力を使い切りたいそうですよ」
「あ、ああ。じゃあこのたわしを頼む」
ばくん。
ごくん。
ぼえっ。
がさっ。
たわし。
「うおぉぉいっ」
魔力を使い切ったスラはこの後薬草を幸せそうな顔でもぐもぐと三つもたいらげたのだった。
0
お気に入りに追加
676
あなたにおすすめの小説

最強の職業は付与魔術師かもしれない
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。
召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。
しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる――
※今月は毎日10時に投稿します。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します
かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。
追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。
恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。
それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。
やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。
鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。
※小説家になろうにも投稿しています。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる