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第127話 賢者の石
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「わーい! マツイさーん!」
ククリがひゅーんと飛んできた。
「やりましたよっ、キマイラロードを倒しましたよっ」
「ああ、ククリのおかげだな」
ククリの助言もあってバトルメテオを使ったのが決め手となった。
「えへへ~、そんなことないですよ~」
『ピキー』
スラもぴょんぴょんと寄ってくるとその勢いで俺に飛びついてくる。
「おっと、スラも喜んでくれてるのか。ありがとうな」
『ピキー』
言葉は理解できないがそれくらいはわかる。
フロアボスのキマイラロードを倒したことで閉じていた部屋は開放され下へと続く階段が現れた。
そしてキマイラロードがいた付近に宝箱も出現した。
俺はスラをそっと下ろすと宝箱に手を伸ばす。
「さーて、何が入ってるかな」
記念すべき地下十階層のフロアボス、キマイラロードのドロップアイテムだ。嫌でも期待してしまう。
ぴとっと俺に寄り添い宝箱の中を覗こうとするククリとスラ。
「きっとレアアイテムですよ、レアアイテム」
『ピキー』
「だといいな……じゃあいくぞ」
俺は宝箱をせーので開けた。
ガチャ。
「ん? これは魔石……じゃないよな?」
宝箱の中には緑色に光り輝く石が入っている。
「ククリ、なんだこれ? ……ククリ?」
「……こ、これは賢者の石ですっ。すごいですよマツイさんっ!」
石を見て固まっていたククリが俺に向き直り声を張り上げた。
よくわからないがククリの反応を見る限りかなりいいアイテムを引き当てたらしいぞ。
「賢者の石ってどんなアイテムなんだ、ククリっ」
『ピキー!』
スラも興味津々でククリをみつめる。
ククリはそんな俺たちを落ち着かせるようにゆっくりと話し始めた。
「賢者の石というのはトウキョウダンジョン内で一、二を争う激レアアイテムです。この賢者の石を割った者にはあらゆる奇跡が訪れるんです」
「奇跡?」
「はい。たとえばレベルがマックスになったり、通常では覚えられない特殊なスキルを覚えたり、最深層階にワープしたり、大金が目の前に現れたり、十歳若返ったり、別の生命体に進化したりと割ってみるまでどんな奇跡が起こるかは誰にもわかりません」
「え? 何それ」
っていうか進化ってなんだよ。
「なんか、いいような悪いような……正直微妙じゃね?」
「そんなことないですよっ。売値だってっ……」
そこまで言ってハッとなり口をつぐむククリ。
「何? 売値がどうかしたか?」
「いえ、なんでもありません」
ククリは口を押えながら首を横に振る。
「なんでもないことないだろ」
明らかに不自然だ。
「この賢者の石って売値はいくらなんだ?」
「さ、さあ?」
ククリはすっとぼけた顔をする。
吹けないくせに口笛の真似をひゅーひゅーとしている。
「そういうのはいいから売値を教えてくれよ」
「……賢者の石はとってもレアなアイテムなんですよ」
「それは聞いたよ」
「むぅ……売値はあんまり言いたくないんですよね~」
口をとがらせ抵抗をみせるククリ。
「なんでだよ」
「だってマツイさん、売値を聞いたら絶対売っちゃいますもん」
「そんなことはないって。一応訊くだけだよ」
「ほんとですか~?」
ククリはくりくりとした大きな目を細めた。
「案内人なんだからちゃんと教えてくれって」
「……円です」
「え、何? 聞こえない」
ククリがぼそぼそっと小声で言うので聞き取れなかった。
「……賢者の石の売値は三百万円です」
「三百万っ!?」
「……はい」
「ごめんククリ。やっぱ売るわ」
「ほら、やっぱり~っ、嘘つき~っ」
ククリが俺を嘘つき呼ばわりして嘆く中俺は賢者の石を売ることを固く決意していた。
ククリがひゅーんと飛んできた。
「やりましたよっ、キマイラロードを倒しましたよっ」
「ああ、ククリのおかげだな」
ククリの助言もあってバトルメテオを使ったのが決め手となった。
「えへへ~、そんなことないですよ~」
『ピキー』
スラもぴょんぴょんと寄ってくるとその勢いで俺に飛びついてくる。
「おっと、スラも喜んでくれてるのか。ありがとうな」
『ピキー』
言葉は理解できないがそれくらいはわかる。
フロアボスのキマイラロードを倒したことで閉じていた部屋は開放され下へと続く階段が現れた。
そしてキマイラロードがいた付近に宝箱も出現した。
俺はスラをそっと下ろすと宝箱に手を伸ばす。
「さーて、何が入ってるかな」
記念すべき地下十階層のフロアボス、キマイラロードのドロップアイテムだ。嫌でも期待してしまう。
ぴとっと俺に寄り添い宝箱の中を覗こうとするククリとスラ。
「きっとレアアイテムですよ、レアアイテム」
『ピキー』
「だといいな……じゃあいくぞ」
俺は宝箱をせーので開けた。
ガチャ。
「ん? これは魔石……じゃないよな?」
宝箱の中には緑色に光り輝く石が入っている。
「ククリ、なんだこれ? ……ククリ?」
「……こ、これは賢者の石ですっ。すごいですよマツイさんっ!」
石を見て固まっていたククリが俺に向き直り声を張り上げた。
よくわからないがククリの反応を見る限りかなりいいアイテムを引き当てたらしいぞ。
「賢者の石ってどんなアイテムなんだ、ククリっ」
『ピキー!』
スラも興味津々でククリをみつめる。
ククリはそんな俺たちを落ち着かせるようにゆっくりと話し始めた。
「賢者の石というのはトウキョウダンジョン内で一、二を争う激レアアイテムです。この賢者の石を割った者にはあらゆる奇跡が訪れるんです」
「奇跡?」
「はい。たとえばレベルがマックスになったり、通常では覚えられない特殊なスキルを覚えたり、最深層階にワープしたり、大金が目の前に現れたり、十歳若返ったり、別の生命体に進化したりと割ってみるまでどんな奇跡が起こるかは誰にもわかりません」
「え? 何それ」
っていうか進化ってなんだよ。
「なんか、いいような悪いような……正直微妙じゃね?」
「そんなことないですよっ。売値だってっ……」
そこまで言ってハッとなり口をつぐむククリ。
「何? 売値がどうかしたか?」
「いえ、なんでもありません」
ククリは口を押えながら首を横に振る。
「なんでもないことないだろ」
明らかに不自然だ。
「この賢者の石って売値はいくらなんだ?」
「さ、さあ?」
ククリはすっとぼけた顔をする。
吹けないくせに口笛の真似をひゅーひゅーとしている。
「そういうのはいいから売値を教えてくれよ」
「……賢者の石はとってもレアなアイテムなんですよ」
「それは聞いたよ」
「むぅ……売値はあんまり言いたくないんですよね~」
口をとがらせ抵抗をみせるククリ。
「なんでだよ」
「だってマツイさん、売値を聞いたら絶対売っちゃいますもん」
「そんなことはないって。一応訊くだけだよ」
「ほんとですか~?」
ククリはくりくりとした大きな目を細めた。
「案内人なんだからちゃんと教えてくれって」
「……円です」
「え、何? 聞こえない」
ククリがぼそぼそっと小声で言うので聞き取れなかった。
「……賢者の石の売値は三百万円です」
「三百万っ!?」
「……はい」
「ごめんククリ。やっぱ売るわ」
「ほら、やっぱり~っ、嘘つき~っ」
ククリが俺を嘘つき呼ばわりして嘆く中俺は賢者の石を売ることを固く決意していた。
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