上 下
116 / 233

第116話 スラの特技

しおりを挟む
「ククリ、これって……金塊だよな?」
「ん~、だと思いますけど」

俺とククリはスラが吐き出したものを見て目を丸くしていた。
今しがたスラに薬草を食べさせたはずが代わりにスラは俺たちの目の前で金塊を吐き出したのだ。

「スラ、これどういうことだ?」
妙にスッキリとした顔のスラに訊いてみる。

『ピキー?』
スラはぐにゅっと首らしき部分をひねった。

「自分でもよくわからないそうです」
スラの言葉を理解しているというククリが代弁する。

「いや、わからないって……自分で吐き出したのに?」
『ピキー』
「マツイさんマツイさん、もしかしてスラさんの新しい特技なんじゃないですかねぇ」
とんとんとククリが俺の肩を叩きながら言った。

「特技?」
「はい。スラさんのステータスをもう一度見てください」
「あ、ああ」
俺はククリに言われるがまま左目の下を軽く押してスラのステータス画面を目の前に浮かび上がらせる。


*************************************

スラ:レベル94

生命力:41/53
魔力:16/30
攻撃力:30
防御力:42
素早さ:78

特技:飲み込む、吐き出す、自爆

*************************************


「うーんと……飲み込む、吐き出すって特技があるけど」
「それですよ。スラさんは多分飲み込んだものを別の物質にして吐き出すことが出来るんじゃないでしょうか」
「マジか!?……どうなんだスラ?」
『ピキー?』
スラはよくわかっていないようだった。

「さっき薬草をあげましたよね。生命力は回復してますか?」
「……いや、回復してない。さっきと同じだ……ってあれ? スラの魔力がさっきより減ってる気がする」
確かさっきは残り魔力が26だったような……。

「あっ! わかりましたよマツイさん! スラさんは魔力を使って飲み込んだものを別のものに変えて吐き出せるんですよきっと!」
「そ、そうなのかスラ?」
俺とククリの視線を受け、
『ピ、ピキー?』
戸惑うスラ。

「でしたら今度は魔力草をあげてみてくださいよ、そうすればはっきりしますから。いいですかスラさん?」
『ピキー』
「やってみてって言ってます」
ククリとスラの間で話が進む。

「さあ、マツイさん」
『ピキー』
ふたりの熱視線を浴びつつ俺は魔力草をスラの口へと運んでいく。

大きく口を開けたスラに「じゃあ、いくぞ」と魔力草を与えてみた。

するとスラはごくんとそれを飲み込むともごもご口を動かしてから、
『……ピキー!』
と今度はひのきの棒を吐き出した。
カランカランと石畳の上に落ちて転がる。

「わあ! やっぱり別のものにして吐き出しましたよ。スラさんすごいです!」
『ピキー』
スラはむふーんと自慢げな顔をしてみせた。

「マツイさん、スラさんの魔力はどうなっていますか?」

確認するとスラの魔力は残り6になっていた。
「さっきより10減ってる」
「じゃあこの特技を使うには魔力を10消費するってことですね」
「そう……なるな」
まだよくわからないがおそらくはそれで合っているだろう。

「ってことはもう使えないってことか」
俺が言うと、
『ピキー』
スラはさっき吐き出したひのきの棒をばくっと口に含んだ。

もごもごさせてからペッと吐き出す。
カランカランとひのきの棒が石畳の上に落ちた。

「うん。やっぱり魔力が足りないと今の特技は使えないらしいな」
「そうみたいですね」
「それにしてもすごいぞスラ」
俺はスラを持ち上げた。

「こんなすごい特技が使えるようになるなんて偉いな~、お前は」
『ピキー!』
目を輝かせて喜ぶスラ。

だがスラ以上に俺の方が喜んでいるかもしれない。
なにせまったく役にたたず、なんなら足手まといくらいに思っていたスラにアイテムを変換できる能力があったのだから。

スラの最大魔力は30だから万全の状態ならば三回もその特技が使えるというわけだ。

「でもでもお腹が減ったらスラさんはどうするんですか? せっかく食べた薬草も魔力草も別のものに変えちゃうんですよね」
「それは大丈夫だよ。今のひのきの棒を見ればわかるだろ」
魔力が足りなければ物質変換することが出来ないのは今ので確認できた。

「もし今薬草があれば普通に食べられるはずさ」
残念ながらもう薬草も魔力草もないのであげることは出来ないが。

「そうですか。よかったですねスラさんっ」
『ピキー!』


こうして俺はスラのおかげで薬草と魔力草の代わりに金塊とひのきの棒を手に入れたのだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

朝起きたら、ギルドが崩壊してたんですけど?――捨てられギルドの再建物語

六倍酢
ファンタジー
ある朝、ギルドが崩壊していた。 ギルド戦での敗北から3日、アドラーの所属するギルドは崩壊した。 ごたごたの中で団長に就任したアドラーは、ギルドの再建を団の守り神から頼まれる。 団長になったアドラーは自分の力に気付く。 彼のスキルの本質は『指揮下の者だけ能力を倍増させる』ものだった。 守り神の猫娘、居場所のない混血エルフ、引きこもりの魔女、生まれたての竜姫、加勢するかつての仲間。 変わり者ばかりが集まるギルドは、何時しか大陸最強の戦闘集団になる。

処理中です...