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第87話 スケルトンリッチ
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「ハイヒール!」
オレンジ色の暖かい光が全身を包み込むと腕や足に負っていた傷が治っていく。
俺は魔力15を消費して自身の生命力を全回復した。
神秘のスカートの自然回復効果を待ってもよかったのだが俺は手っ取り早く魔法で済ませることにした。
「これでスケルトンコレクターも手に入れましたね」
「ああ」
俺は途中快眠枕での十分休憩を挟み一日半がかりでスケルトン千体を倒しきった。
スケルトンは経験値が少なめだったのでレベルは6しか上がらなかったが。
*************************************
マツイ:レベル64
生命力:118/118
魔力:53/68
攻撃力:76
防御力:73
素早さ:56
スキル:魔眼、テイマー、スライムコレクター、ゴブリンコレクター、ゾンビコレクター、ビーコレクター、コボルトコレクター、バットコレクター、ボアコレクター、スケルトンコレクター
魔法:バトルマッチ、ヒール、バトルアイス、キュア、バトルウインド、ハイヒール、バトルアース、ハイキュア
*************************************
またドロップアイテムもほとんどなく唯一落としていったのが攻撃力+2の錆びた剣だった。
武器は既に妖刀ふたつなぎを持っているので使い道はなく売値も五百円と大したことはないが容量にはまだ余裕があったので皮の袋の中にこれを一応入れておいた。
「さてと、あとはフロアボスだけだな」
俺とククリはスケルトン狩りの最中確認しておいたフロアボスの部屋へと進んでいく。
「そうですね。でも油断しないでくださいね、ここのボスのスケルトンリッチは魔法を使ってきますから」
「魔法? どんな魔法だ」
「アイスエッジというつららのような先の尖った氷を飛ばす魔法です」
「怖っ。俺のバトルアイスとはえらい違いだな」
俺のバトルアイスは氷の塊を手から落とすだけなのに。
「まあいざとなったら魔石をぶつければいいだけですけどね」
「うん、そうだな」
と答えてはみたが魔石を使うつもりは俺にはない。
売値十万円の魔石をそうやすやすと使ってたまるか。
しばらく歩くとスケルトンリッチがいる部屋の前に着いた。
「マツイさん、心の準備はいいですか?」
「一応訊くけど俺勝てるよな?」
「アイスエッジには当たらないようにしてくださいね」
「お、おう」
俺はククリに背中を押されフロアボスの部屋へと入っていく。
あれ? ククリの奴、俺の質問にちゃんと答えていなかったぞ……。
ゴゴゴゴゴ……。
考えている間に石の壁で通路は塞がれてしまった。
これでもう逃げることは出来ない。
「マツイさん、頑張ってくださいっ」
ククリの声を合図にしたようにスケルトンリッチは俺の方を向くと眼光鋭く俺を見据えた。
骸骨なので眼光鋭くという表現はおかしいが眼窩に赤い光をにじませ俺をにらみつけているように見えるのだ。
とにかく魔法を使われる前に倒してしまおう。
「おおりゃあー!」
俺は先制攻撃を仕掛けようとスケルトンリッチに向かって駆け出した。
だがスケルトンリッチも動いた。
骨だけの手を前に差し出し手のひらを広げると口をカタカタと動かす。
『……アイスエッジ……』
低くこもった声がしたかと思うと次の瞬間スケルトンリッチの手のひらからつららのように先が尖った円錐状の氷が飛び出てきた。
びゅんと俺の顔面めがけて飛んでくる円錐状の氷を俺はかろうじて刀ではじいた。
「あっぶねー!」
事前にククリに聞いていなかったら当たっていたかもしれない。
それくらい速さのある攻撃だった。
『……アイスエッジ……』
なおも氷を飛ばしてくる。
俺は後ろに下がりつつ刀でなんとかこれをはじく。
『……アイスエッジ……』
『……アイスエッジ……』
『……アイスエッジ……』
親の仇のように魔法を連発してくるスケルトンリッチに思うように近付けない。
それどころか俺は魔法攻撃をしのぐのが精一杯だった。
部屋の中央にいるスケルトンリッチの魔法攻撃を刀ではじいて防ぐがスケルトンリッチは徐々に俺に近付いてきているのでそれもいつまで持つかわからない。
「ククリっ、どうすればいいっ!」
「魔石を投げたらいいんじゃないですか?」
「もったいないっ。他の手で頼むっ」
「え~、そんなこと言ってる場合ですか?」
「いいから早くっ」
俺は部屋をぐるりと回るように逃げながらスケルトンリッチと距離をとる。
「では、スケルトンリッチの魔力が尽きるのを待ちましょう」
ククリが言う。
「スケルトンリッチの魔力はいくつだっ」
「100です」
「アイスエッジの消費魔力はっ」
「アイスエッジの消費魔力は1です」
「なんだそれっ。反則じゃねぇかっ」
俺のバトルアイスはまったく使えないのに消費魔力15だぞ。
そう言っている間にも円錐状の氷が次々と顔面めがけて飛んでくる。
「マツイさんマツイさん。なんでマツイさんも魔法で対抗しないんですか?」
「何っ? もっと大きい声で言ってくれっ」
「だからマツイさんも魔法を使えばいいじゃないですか。スケルトンリッチは動きが遅いですから簡単に当たりますよっ」
ククリに言われハッとなった俺は立ち止まるとスケルトンリッチに手を向け、
「バトルウインド!」
と叫んだ。
一陣の風の刃がつらら状の氷をはじき飛ばしながらスケルトンリッチに襲い掛かる。
バシュ!
スケルトンリッチの胴体が真っ二つになり骨が地面に散らばった。
そしてまばたきをしている間にスケルトンリッチは泡状になって消えたのだった。
オレンジ色の暖かい光が全身を包み込むと腕や足に負っていた傷が治っていく。
俺は魔力15を消費して自身の生命力を全回復した。
神秘のスカートの自然回復効果を待ってもよかったのだが俺は手っ取り早く魔法で済ませることにした。
「これでスケルトンコレクターも手に入れましたね」
「ああ」
俺は途中快眠枕での十分休憩を挟み一日半がかりでスケルトン千体を倒しきった。
スケルトンは経験値が少なめだったのでレベルは6しか上がらなかったが。
*************************************
マツイ:レベル64
生命力:118/118
魔力:53/68
攻撃力:76
防御力:73
素早さ:56
スキル:魔眼、テイマー、スライムコレクター、ゴブリンコレクター、ゾンビコレクター、ビーコレクター、コボルトコレクター、バットコレクター、ボアコレクター、スケルトンコレクター
魔法:バトルマッチ、ヒール、バトルアイス、キュア、バトルウインド、ハイヒール、バトルアース、ハイキュア
*************************************
またドロップアイテムもほとんどなく唯一落としていったのが攻撃力+2の錆びた剣だった。
武器は既に妖刀ふたつなぎを持っているので使い道はなく売値も五百円と大したことはないが容量にはまだ余裕があったので皮の袋の中にこれを一応入れておいた。
「さてと、あとはフロアボスだけだな」
俺とククリはスケルトン狩りの最中確認しておいたフロアボスの部屋へと進んでいく。
「そうですね。でも油断しないでくださいね、ここのボスのスケルトンリッチは魔法を使ってきますから」
「魔法? どんな魔法だ」
「アイスエッジというつららのような先の尖った氷を飛ばす魔法です」
「怖っ。俺のバトルアイスとはえらい違いだな」
俺のバトルアイスは氷の塊を手から落とすだけなのに。
「まあいざとなったら魔石をぶつければいいだけですけどね」
「うん、そうだな」
と答えてはみたが魔石を使うつもりは俺にはない。
売値十万円の魔石をそうやすやすと使ってたまるか。
しばらく歩くとスケルトンリッチがいる部屋の前に着いた。
「マツイさん、心の準備はいいですか?」
「一応訊くけど俺勝てるよな?」
「アイスエッジには当たらないようにしてくださいね」
「お、おう」
俺はククリに背中を押されフロアボスの部屋へと入っていく。
あれ? ククリの奴、俺の質問にちゃんと答えていなかったぞ……。
ゴゴゴゴゴ……。
考えている間に石の壁で通路は塞がれてしまった。
これでもう逃げることは出来ない。
「マツイさん、頑張ってくださいっ」
ククリの声を合図にしたようにスケルトンリッチは俺の方を向くと眼光鋭く俺を見据えた。
骸骨なので眼光鋭くという表現はおかしいが眼窩に赤い光をにじませ俺をにらみつけているように見えるのだ。
とにかく魔法を使われる前に倒してしまおう。
「おおりゃあー!」
俺は先制攻撃を仕掛けようとスケルトンリッチに向かって駆け出した。
だがスケルトンリッチも動いた。
骨だけの手を前に差し出し手のひらを広げると口をカタカタと動かす。
『……アイスエッジ……』
低くこもった声がしたかと思うと次の瞬間スケルトンリッチの手のひらからつららのように先が尖った円錐状の氷が飛び出てきた。
びゅんと俺の顔面めがけて飛んでくる円錐状の氷を俺はかろうじて刀ではじいた。
「あっぶねー!」
事前にククリに聞いていなかったら当たっていたかもしれない。
それくらい速さのある攻撃だった。
『……アイスエッジ……』
なおも氷を飛ばしてくる。
俺は後ろに下がりつつ刀でなんとかこれをはじく。
『……アイスエッジ……』
『……アイスエッジ……』
『……アイスエッジ……』
親の仇のように魔法を連発してくるスケルトンリッチに思うように近付けない。
それどころか俺は魔法攻撃をしのぐのが精一杯だった。
部屋の中央にいるスケルトンリッチの魔法攻撃を刀ではじいて防ぐがスケルトンリッチは徐々に俺に近付いてきているのでそれもいつまで持つかわからない。
「ククリっ、どうすればいいっ!」
「魔石を投げたらいいんじゃないですか?」
「もったいないっ。他の手で頼むっ」
「え~、そんなこと言ってる場合ですか?」
「いいから早くっ」
俺は部屋をぐるりと回るように逃げながらスケルトンリッチと距離をとる。
「では、スケルトンリッチの魔力が尽きるのを待ちましょう」
ククリが言う。
「スケルトンリッチの魔力はいくつだっ」
「100です」
「アイスエッジの消費魔力はっ」
「アイスエッジの消費魔力は1です」
「なんだそれっ。反則じゃねぇかっ」
俺のバトルアイスはまったく使えないのに消費魔力15だぞ。
そう言っている間にも円錐状の氷が次々と顔面めがけて飛んでくる。
「マツイさんマツイさん。なんでマツイさんも魔法で対抗しないんですか?」
「何っ? もっと大きい声で言ってくれっ」
「だからマツイさんも魔法を使えばいいじゃないですか。スケルトンリッチは動きが遅いですから簡単に当たりますよっ」
ククリに言われハッとなった俺は立ち止まるとスケルトンリッチに手を向け、
「バトルウインド!」
と叫んだ。
一陣の風の刃がつらら状の氷をはじき飛ばしながらスケルトンリッチに襲い掛かる。
バシュ!
スケルトンリッチの胴体が真っ二つになり骨が地面に散らばった。
そしてまばたきをしている間にスケルトンリッチは泡状になって消えたのだった。
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