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第41話 地下三階層
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俺たちはトウキョウダンジョン地下三階層に下り立った。
「うっ……なんか臭わないか?」
階段を下りている時からなんとなく感じていたのだがやはり地下三階層には特殊な臭いが充満していた。
「そうですか?」
ククリはけろっとした顔で俺を見返す。
「いや、そうですか……ってこれ結構臭いだろ」
肉が腐ったような臭いとでもいうのだろうか、嗅いでいて決して気分のいい臭いではない。
「なんの臭いなんだこれ……?」
「私は全然平気ですけど」
「本当かよ。ククリお前鼻詰まってるんじゃないのか」
「あ~、レディに向かって失礼ですよマツイさん。それってセクハラって言うんですよ、知ってますか? セクハラ」
どこで覚えたのかセクハラという単語をしきりに口にするククリ。
「はいはい、俺が悪かった」
適当に相槌を打っていると、
『アー……』
男のうめき声のようなものが聞こえてきた。
なんだ?
「ちょっとマツイさん聞いてますっ?」
「ククリ静かにっ。何か聞こえたぞ」
「そんなこと言ったって騙されませんからね」
『アー……』
また聞こえた。
「ほらっ、ククリも聞いただろ今のうめき声」
「あれはモンスターの声ですよ。決まっているじゃないですか」
「モンスター? でも人間みたいな声だったぞ」
まるで人間の男が苦しんでいるような。
「なあククリ、この階層のモンスターって何が出るんだ?」
「あ~言ってませんでしたっけ。地下三階層のモンスターはゾンビです」
「ゾンビっ!?」
とその時、
『アー……』
『アー……』
両側の通路からゾンビが一体ずつ部屋に入ってきた。
モンスターというより映画に出てくる人間の男のゾンビと言った方がしっくりくるだろうか、気味の悪い見た目をしている。
挟まれたっ!
「ゾンビは動きが遅いのでなんとかなります、頑張ってくださいっ」
言うなりククリは天井付近まで高く舞い上がって避難する。
「くそっ」
俺はまず右側のゾンビに鋼の剣で斬りかかっていった。
ザシュ。
肩から腹にかけて肉を斬り裂く。
が、
『アー……』
ゾンビの動きは止まらない。
両手を前に出し体に食い込んだままの剣を掴むと、
『ゲボッ……』
と剣に胃液のような液体を吐きかけた。
「うおっ!? くさっ!」
鼻が曲がるほどの強烈な臭いを放つ液体が鋼の剣にかかる。
するとどういうことか鋼の剣がしゅう~っと音を立てて急速に錆びていく。
「うあ、なんだこれっ?」
「それは腐った液体です。当たると腐食しますので気を付けてくださいっ」
「そういうことは早く言ってくれっ……このっ!」
俺はすっかり錆びてしまった剣を力任せに抜くとゾンビの心臓めがけ突き刺した。
「はあっ、やったか?」
だがなおもゾンビは『アー……』と手を動かす。
「不死身かこいつらっ……」
「マツイさん、首をはねるか脳を破壊しないと倒せませんよっ」
とククリが声を上げた。
「何っ!」
人間の姿をしているゾンビを相手にするだけでも嫌なのに首をはねろだと……。
その時背後から、
『ゲボッ……』
もう一体のゾンビが腐った液体を俺に向かって吐いた。
くさりかたびらに当たり腐食していく。
「あーもうっ、くそったれ!」
俺は錆びた剣を心臓から引き抜くとゾンビの頭部に突き刺した。
脳を破壊できたのかゾンビが大の字になって倒れる。
俺は倒れたゾンビから剣を抜き今度はもう一体のゾンビの首めがけ力いっぱい振り抜いた。
錆びた剣がゾンビの首を見事切断する。
『アー……?』
胴体と切り離されたゾンビの頭部はうめき声を発しながら地面に転がった。
そしてじわじわと泡状になって消えていった。
「はぁっ、はぁっ……」
「やりましたねマツイさんっ」
「……ああ」
なまじ人間の姿をしているから戦いにくかったがそれはそれ。
せっかく買った鋼の剣とくさりかたびらを台無しにされた恨みは晴らしてやった。
「マツイさんマツイさん」
「なんだよ?」
「なんかお腹すきましたね」
「すかねぇよっ」
死臭にまみれた部屋の中で俺は鼻をつまみながら声を上げた。
「うっ……なんか臭わないか?」
階段を下りている時からなんとなく感じていたのだがやはり地下三階層には特殊な臭いが充満していた。
「そうですか?」
ククリはけろっとした顔で俺を見返す。
「いや、そうですか……ってこれ結構臭いだろ」
肉が腐ったような臭いとでもいうのだろうか、嗅いでいて決して気分のいい臭いではない。
「なんの臭いなんだこれ……?」
「私は全然平気ですけど」
「本当かよ。ククリお前鼻詰まってるんじゃないのか」
「あ~、レディに向かって失礼ですよマツイさん。それってセクハラって言うんですよ、知ってますか? セクハラ」
どこで覚えたのかセクハラという単語をしきりに口にするククリ。
「はいはい、俺が悪かった」
適当に相槌を打っていると、
『アー……』
男のうめき声のようなものが聞こえてきた。
なんだ?
「ちょっとマツイさん聞いてますっ?」
「ククリ静かにっ。何か聞こえたぞ」
「そんなこと言ったって騙されませんからね」
『アー……』
また聞こえた。
「ほらっ、ククリも聞いただろ今のうめき声」
「あれはモンスターの声ですよ。決まっているじゃないですか」
「モンスター? でも人間みたいな声だったぞ」
まるで人間の男が苦しんでいるような。
「なあククリ、この階層のモンスターって何が出るんだ?」
「あ~言ってませんでしたっけ。地下三階層のモンスターはゾンビです」
「ゾンビっ!?」
とその時、
『アー……』
『アー……』
両側の通路からゾンビが一体ずつ部屋に入ってきた。
モンスターというより映画に出てくる人間の男のゾンビと言った方がしっくりくるだろうか、気味の悪い見た目をしている。
挟まれたっ!
「ゾンビは動きが遅いのでなんとかなります、頑張ってくださいっ」
言うなりククリは天井付近まで高く舞い上がって避難する。
「くそっ」
俺はまず右側のゾンビに鋼の剣で斬りかかっていった。
ザシュ。
肩から腹にかけて肉を斬り裂く。
が、
『アー……』
ゾンビの動きは止まらない。
両手を前に出し体に食い込んだままの剣を掴むと、
『ゲボッ……』
と剣に胃液のような液体を吐きかけた。
「うおっ!? くさっ!」
鼻が曲がるほどの強烈な臭いを放つ液体が鋼の剣にかかる。
するとどういうことか鋼の剣がしゅう~っと音を立てて急速に錆びていく。
「うあ、なんだこれっ?」
「それは腐った液体です。当たると腐食しますので気を付けてくださいっ」
「そういうことは早く言ってくれっ……このっ!」
俺はすっかり錆びてしまった剣を力任せに抜くとゾンビの心臓めがけ突き刺した。
「はあっ、やったか?」
だがなおもゾンビは『アー……』と手を動かす。
「不死身かこいつらっ……」
「マツイさん、首をはねるか脳を破壊しないと倒せませんよっ」
とククリが声を上げた。
「何っ!」
人間の姿をしているゾンビを相手にするだけでも嫌なのに首をはねろだと……。
その時背後から、
『ゲボッ……』
もう一体のゾンビが腐った液体を俺に向かって吐いた。
くさりかたびらに当たり腐食していく。
「あーもうっ、くそったれ!」
俺は錆びた剣を心臓から引き抜くとゾンビの頭部に突き刺した。
脳を破壊できたのかゾンビが大の字になって倒れる。
俺は倒れたゾンビから剣を抜き今度はもう一体のゾンビの首めがけ力いっぱい振り抜いた。
錆びた剣がゾンビの首を見事切断する。
『アー……?』
胴体と切り離されたゾンビの頭部はうめき声を発しながら地面に転がった。
そしてじわじわと泡状になって消えていった。
「はぁっ、はぁっ……」
「やりましたねマツイさんっ」
「……ああ」
なまじ人間の姿をしているから戦いにくかったがそれはそれ。
せっかく買った鋼の剣とくさりかたびらを台無しにされた恨みは晴らしてやった。
「マツイさんマツイさん」
「なんだよ?」
「なんかお腹すきましたね」
「すかねぇよっ」
死臭にまみれた部屋の中で俺は鼻をつまみながら声を上げた。
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