【ダンジョン・ニート・ダンジョン】 ~ダンジョン攻略でお金が稼げるようになったニートは有り余る時間でダンジョンに潜る~

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第36話 スライムコレクター

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ダンジョンに入りククリと合流した俺はまずはスキル、スライムコレクター取得を目指した。
地下一階層を大声を上げながら歩き回りスライムをみつけてはこれを一撃で倒していく。
いつもはモンスターに遭遇しないために使っている魔眼の透視能力も発動させスライム狩りをより効率的に進めていった。

俺の考えでは一時間に五十匹ペースなら一日で千匹倒せると踏んでいたのだが読みが甘かったのか最初の一時間では三十三匹しか倒すことが出来なかった。
しかし、それだけスライムを倒しているとアイテムを落とす確率も自然と上がる。
俺はスライムのドロップしたアイテムとして薬草を四つも手に入れていた。

そしてスライム狩りを始めて四時間が経過した頃俺は一匹のスライムがドロップした宝箱の中から小さな巾着袋をみつけた。

「なんだこれ?」
俺は人差し指と親指でひもの部分をつまんで持ち上げる。

「それはにおい袋といってその中にはモンスターの好きなにおいが充満しているんです。なのでそれを持っているとモンスターが寄ってくるんですよ」
「おおっ。だったら今の俺には最高のアイテムじゃないか」
「そうですね。袋の口を開けておくだけで効果がありますから首にでもかけておくといいんじゃないですか」
ククリに言われ俺はにおい袋の口を開けると首からぶら下げた。

すると早速、
『ピキー!』
『ピキー!』
『ピキー!』
においにつられたのだろうスライムが三匹も向かってきた。

脇目も振らず俺めがけてぴょーんと跳んでくる。
俺は素手でこいつらをまとめて返り討ちにしてやった。

「におい袋の効果ですね……って、また来ましたよ!」
「よっしゃ、任せろっ」


そこからスライム狩りのスピードは飛躍的に上がった。
一時間で百匹以上ものスライムを相手にした。
しかしいくら雑魚モンスターとはいえさすがに疲れた俺はにおい袋を一旦閉じるとククリに見守られながらダンジョン内で仮眠をとった。

そして起き上がるとにおい袋を開けてまたひたすらスライム狩り。


これを繰り返した結果――

「おらぁっ」

俺の右ストレートが炸裂し壁に激突するスライム。
そのスライムが泡状になって消滅したその時だった。


【スライムコレクターを取得しました】


目の前に待望の文字が浮かび上がった。

「ククリ! やったぞっ、スライムコレクターだっ! 千匹倒したんだっ!」
「え、ほんとですかっ! わーい、やりましたねマツイさん!」
「おーっ!」
俺は嬉しさのあまり普段なら絶対にしないであろうハイタッチをククリと交わした。

「これでスライムに与えるダメージが三倍になるんだよな」
「はい。マツイさんの持っていたスキル、スライムクラッシャーにスライムコレクターが上書きされたはずですよ。ステータス確認してみますか?」
「おう、そうだな」

俺は右目の下を軽く押した。


*************************************

マツイ:レベル13

生命力:41/41
魔力:11/11
攻撃力:19
防御力:16
素早さ:15

スキル:魔眼、スライムコレクター
魔法:バトルマッチ、ヒール

*************************************


「スキルの欄にスライムコレクターが入ってるぞっ」
「よかったですねマツイさん」
「ああ」
しかも嬉しいことにレベルも1アップしていた。

さらに嬉しいことはそれだけではなくスライムを千匹も倒したことによってドロップアイテムも複数手に入れていた。

今の俺の所持アイテムは薬草六つと魔力草二つとにおい袋、それから攻撃力+2のこんぼうと攻撃力+2の錆びた剣、防御力+2の皮のポンチョと防御力+1の運動靴の計十三個だ。
本当はもっとあったのだがさすがに持ちきれないのでそれらは諦めたのだ。

「よーし、この調子で次はゴブリン千体やっつけるぞっ」
「あ~やっぱりやるんですね」
「もちろん! ……でもその前にちょっと休憩だ」

俺はにおい袋の口を閉じるとダンジョン地下一階層で眠りについた。
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