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第91話 海岸沿いを歩く
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ニノの村の宿屋を出た俺たちは村に唯一あった道具屋に立ち寄ると、そこで日持ちのする食糧や水などを買い揃える。
そして海岸に沿って移動した先にある塔に、最近になって魔物が多く現れるようになったという村人からの情報を頼りに、そこへと向かうため俺たちはニノの村をあとにした。
「あ~、風がいい気持ち~」
「そうですね」
海風がそよそよとゲルニカとローレライさんの髪を撫でていく。
その様子をなんとはなしに眺めながら俺は二人の後ろをついて歩いていた。
ゲルニカはニノの村で買ったリボンを自身の長い黒髪に結んでいて、歩くたびにそれがぴょこぴょこと横に揺れている。
さらにやはりニノの村で買った踊り子の服というややセクシーな衣装に着替えたゲルニカは、よほどそれが気に入ったのか上機嫌で足取りも軽やかだった。
俺の勝手な思い込みでゲルニカはおしゃれなんて気にしない性格だと思っていたのだが、どうやらそうでもないらしい。
一方のローレライさんはエルフ族に伝わる緑色の装束を身に纏っている。
せっかく俺がお金をあげたのだから何か武器や防具を買えばいいものを「武器は植物から作れますし、防具は今着ている装束で問題ありませんから」とローレライさんは言ってほとんどお金を使わなかった。
今は俺たち三人だけなのでローレライさんも気が緩んでいるのか海風でめくりあげられたフードを直そうとはしていない。
そのおかげでいつもは見えないローレライさんのきれいな黄金色の髪があらわになっていた。
とそんな時、
『ヌオオォォーン!』
海辺の方から魔物の鳴き声がした。
俺たちは一斉に声のした方を向く。
するとそこにいた魔物を見ていち早く「ヌヴォーですっ」とローレライさんが声を上げた。
ワニとイグアナをミックスしたような見た目のヌヴォーとやらは、俺たちと目が合うとそののっぺりとした鳴き声からは予想もしていなかった素早い動きで向かってきた。
「クロクロ、あんたの出番よっ」
「え、俺っ?」
「そうよ。あんた強いんだからあんたが倒しなさいよっ」
「まあ、いいけどさ」
ゲルニカに言われるがまま俺は前に出るとヌヴォーの前に立ちふさがる。
『ヌオオォォーン!』
ヌヴォーが口を大きく開けて襲いかかってきた。
俺はそれを両手で受け止めると遠くに投げ飛ばす。
だがヌヴォーは空中で態勢を整えると地面に着地した瞬間、今度は体を回転させながらミサイルのごとく飛びかかってきた。
俺はその猛突進に合わせて握り締めた右拳を勢いよく前に出す。
「ふっ飛べっ!」
ガツンとヌヴォーの口先に俺の拳がぶつかると、ヌヴォーは後方に飛んでいき海にぼちゃんと沈んだ。
「ほら、倒したぞ」
振り向きつつゲルニカに言う。
「あ~あ、海に沈んじゃったら体の一部が切り取れないじゃない」
ゲルニカは続けて、
「ヌヴォーってそこそこ強いからギルドで換金すればいいお金になるのに」
不満そうに口をとがらせた。
「だったらお前が倒せよ」
「ふんっ……まあいいわ。あんたに貰ったお金がまだ沢山あるし、ローレライなんかろくに使ってないみたいだしね」
「こら、ローレライさんのお金をあてにするな」
「わ、私は別に構いませんよ」
話を聞いていたローレライさんが入ってくる。
「甘やかしちゃ駄目ですよ、ローレライさん。こいつにもローレライさんと同じだけ金貨をあげたんですからね。お前もどうしてももっとお金が欲しいんだったら自分で魔物を倒せよな」
「うっさいわね、わかったわよ……」
ゲルニカは面倒くさそうに手をひらひらさせた。
……本当にわかったのか怪しいところだ。
そして海岸に沿って移動した先にある塔に、最近になって魔物が多く現れるようになったという村人からの情報を頼りに、そこへと向かうため俺たちはニノの村をあとにした。
「あ~、風がいい気持ち~」
「そうですね」
海風がそよそよとゲルニカとローレライさんの髪を撫でていく。
その様子をなんとはなしに眺めながら俺は二人の後ろをついて歩いていた。
ゲルニカはニノの村で買ったリボンを自身の長い黒髪に結んでいて、歩くたびにそれがぴょこぴょこと横に揺れている。
さらにやはりニノの村で買った踊り子の服というややセクシーな衣装に着替えたゲルニカは、よほどそれが気に入ったのか上機嫌で足取りも軽やかだった。
俺の勝手な思い込みでゲルニカはおしゃれなんて気にしない性格だと思っていたのだが、どうやらそうでもないらしい。
一方のローレライさんはエルフ族に伝わる緑色の装束を身に纏っている。
せっかく俺がお金をあげたのだから何か武器や防具を買えばいいものを「武器は植物から作れますし、防具は今着ている装束で問題ありませんから」とローレライさんは言ってほとんどお金を使わなかった。
今は俺たち三人だけなのでローレライさんも気が緩んでいるのか海風でめくりあげられたフードを直そうとはしていない。
そのおかげでいつもは見えないローレライさんのきれいな黄金色の髪があらわになっていた。
とそんな時、
『ヌオオォォーン!』
海辺の方から魔物の鳴き声がした。
俺たちは一斉に声のした方を向く。
するとそこにいた魔物を見ていち早く「ヌヴォーですっ」とローレライさんが声を上げた。
ワニとイグアナをミックスしたような見た目のヌヴォーとやらは、俺たちと目が合うとそののっぺりとした鳴き声からは予想もしていなかった素早い動きで向かってきた。
「クロクロ、あんたの出番よっ」
「え、俺っ?」
「そうよ。あんた強いんだからあんたが倒しなさいよっ」
「まあ、いいけどさ」
ゲルニカに言われるがまま俺は前に出るとヌヴォーの前に立ちふさがる。
『ヌオオォォーン!』
ヌヴォーが口を大きく開けて襲いかかってきた。
俺はそれを両手で受け止めると遠くに投げ飛ばす。
だがヌヴォーは空中で態勢を整えると地面に着地した瞬間、今度は体を回転させながらミサイルのごとく飛びかかってきた。
俺はその猛突進に合わせて握り締めた右拳を勢いよく前に出す。
「ふっ飛べっ!」
ガツンとヌヴォーの口先に俺の拳がぶつかると、ヌヴォーは後方に飛んでいき海にぼちゃんと沈んだ。
「ほら、倒したぞ」
振り向きつつゲルニカに言う。
「あ~あ、海に沈んじゃったら体の一部が切り取れないじゃない」
ゲルニカは続けて、
「ヌヴォーってそこそこ強いからギルドで換金すればいいお金になるのに」
不満そうに口をとがらせた。
「だったらお前が倒せよ」
「ふんっ……まあいいわ。あんたに貰ったお金がまだ沢山あるし、ローレライなんかろくに使ってないみたいだしね」
「こら、ローレライさんのお金をあてにするな」
「わ、私は別に構いませんよ」
話を聞いていたローレライさんが入ってくる。
「甘やかしちゃ駄目ですよ、ローレライさん。こいつにもローレライさんと同じだけ金貨をあげたんですからね。お前もどうしてももっとお金が欲しいんだったら自分で魔物を倒せよな」
「うっさいわね、わかったわよ……」
ゲルニカは面倒くさそうに手をひらひらさせた。
……本当にわかったのか怪しいところだ。
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