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第87話 大邪神直属の部下
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「サンドドラゴンだわっ!」
「サンドドラゴンですっ!」
三体のドラゴンを目にしてゲルニカとローレライさんが声を張り上げた。
『ギャアアァァオッ!』
『ギャアアァァオッ!』
『ギャアアァァオッ!』
三体のサンドドラゴンはそれぞれ俺とゲルニカとローレライさんに牙をむく。
俺は噛みつきにきていたサンドドラゴンの口をとっさに掴んだ。
ゲルニカは襲い来るサンドドラゴンに「サンダー」と唱え雷撃を浴びせる。
ローレライさんは手近にあった植物を魔法で剣に変えると、それでサンドドラゴンの攻撃を防いだ。
「こいつらがお目当ての魔物ってわけだなっ」
「そうよっ。でもまさか三体同時に現れるとは思わなかったわ、二人とも大丈夫っ?」
「わ、私はなんとかっ……」
俺とローレライさんがサンドドラゴンと向き合っている中、ゲルニカは俺とローレライさんに注意を払っている。
だがゲルニカが倒したと思っていたサンドドラゴンはむくりと起き上がると、長い尻尾でゲルニカを背後からなぎ払った。
「きゃあっ……!」
「ゲルニカっ」
「ゲルニカさんっ」
俺はそれを見て、
「このっ!」
掴んでいたサンドドラゴンの口を力任せに上下に引き裂く。
『ギャアアァァーッ……!』
断末魔の叫び声を上げるサンドドラゴンをよそに俺はゲルニカに駆け寄った。
「大丈夫かっ?」
「え、ええ、なんとかね……あっ、後ろっ!」
ゲルニカの声を合図に俺は振り向きざま裏拳をサンドドラゴンの顔面にくらわせる。
『ギャアッ……!』
俺の一撃をくらったサンドドラゴンは遠くに吹っ飛んでいった。
俺はさらにローレライさんのもとへと駆け出すと、ローレライさんと相対しているサンドドラゴンの首を手刀で切断する。
ぶしゅうっと血を噴きながらぬかるんだ地面に沈むサンドドラゴン。
「ふぅ……」
俺は手についていた返り血を拭いながら首と胴体にわかれたサンドドラゴンの死体を見下ろす。
「あ、ありがとうございました、クロクロさん」
「いえ、無事でよかったです」
とそこへ、
「クロクロ、あんた何者なのっ? なんでEランクのくせにそんなに強いのよっ」
ゲルニカがものすごい剣幕で近寄ってくる。
「いや、なんでって言われても……」
「あたしのサンダーもたいして効いてなかったのに、それをたった一撃で倒しちゃうなんて。あんたって本当にEランクなのっ?」
「ああ、Eランクだよ……ほら」
俺はゲルニカがうるさいのでギルドカードをズボンのポケットから取り出し見せてやった。
「ほんとだ……どうなってるのよ一体」
「言ったろ、記憶喪失だって。だから俺も俺自身のことがよくわからないんだよ」
本当は記憶はばっちりあるのだが、神様とか異世界とか言っても信じてもらえなかったらただのヤバい奴になってしまうからな。
ここは記憶喪失で貫き通す。
「……変な奴ね、あんたって」
「お互い様だろ。それより顔拭けよ、泥だらけだぞ」
「ふふふっ……あ、すみません。おかしくてつい笑っちゃいました」
ローレライさんが楽しそうに笑うので俺とゲルニカもつい口元が緩む。
だがそんな時――
『まいったなぁ。僕がせっかく創り出したサンドドラゴンを殺しちゃうなんてさぁ』
ふいにしゃがれた声が聞こえてきた。
俺たちは周りを見渡すが誰もいない。
『大邪神様に怒られるのは僕なんだよ。どうしてくれるのさ』
注意深く耳を澄ますとどうやらぬかるみの中から聞こえてきているようだった。
俺たちは身構えつつ一歩退いた。
すると次の瞬間、
「「「っ!!」」」
ぬかるんだ地面からぬぅっと半魚人のような見た目の魔物がゆっくり顔を出した。
そしてそのまま全身があらわになっていく。
「だ、誰よあんたっ!」
とゲルニカ。
ゲルニカも知らない魔物のようだ。
『僕は大邪神様直属の部下の一人、ガロワ』
「なんで人の言葉を喋れるわけっ」
『大邪神様のお力のおかげだよ。きみたちの言葉を喋れる魔物は僕の他にもあと七体いるよ……あ、違った。竜王と竜魔王はいなくなっちゃったからあと五体だった』
聞き取りにくい声で喋り続けるガロワという魔物。
「クロクロさん、もしかして……」
「はい、そうですね……」
こいつが言う竜王と竜魔王というのは俺がエルフの里で倒した人語を喋る金色のドラゴンたちのことだろう。
俺は期せずして大邪神直属の部下を二体も倒していたということか。
『大邪神様から魔物を創り出すお力をいただいた僕たちは、世界中のいたるところで魔物を創って解き放っているんだぁ。それできみたち人間が恐怖に恐れおののく姿を大邪神様に見てもらうのが僕たちの喜びなんだよ』
「おい、その大邪神て奴はどこにいるんだ?」
俺はガロワに駄目もとで訊いてみる。
『なんでそんなこと訊くのさ』
「もちろんそいつを倒すためだ」
『倒す……? ……それは無理だよ』
ガロワがゆっくりと首を横に振った。
「なんでだ?」
『だって大邪神様はこの世で一番強いんだもの』
「この世ね……それはどうかな。もしかしたらもう誰かに抜かれてるかもしれないぞ」
『……きみ、ちょっとだけムカつくなぁ』
そう口にしたガロワは『トライデント』とつぶやくと三つまたのヤリを右手の中に具現化する。
そして、
『僕、きみのこと殺すよ』
ゆっくりとした口調からは想像も出来ないほどの速さで俺の前まで迫ってくると、手にしていたヤリで俺のお腹を貫いた。
「サンドドラゴンですっ!」
三体のドラゴンを目にしてゲルニカとローレライさんが声を張り上げた。
『ギャアアァァオッ!』
『ギャアアァァオッ!』
『ギャアアァァオッ!』
三体のサンドドラゴンはそれぞれ俺とゲルニカとローレライさんに牙をむく。
俺は噛みつきにきていたサンドドラゴンの口をとっさに掴んだ。
ゲルニカは襲い来るサンドドラゴンに「サンダー」と唱え雷撃を浴びせる。
ローレライさんは手近にあった植物を魔法で剣に変えると、それでサンドドラゴンの攻撃を防いだ。
「こいつらがお目当ての魔物ってわけだなっ」
「そうよっ。でもまさか三体同時に現れるとは思わなかったわ、二人とも大丈夫っ?」
「わ、私はなんとかっ……」
俺とローレライさんがサンドドラゴンと向き合っている中、ゲルニカは俺とローレライさんに注意を払っている。
だがゲルニカが倒したと思っていたサンドドラゴンはむくりと起き上がると、長い尻尾でゲルニカを背後からなぎ払った。
「きゃあっ……!」
「ゲルニカっ」
「ゲルニカさんっ」
俺はそれを見て、
「このっ!」
掴んでいたサンドドラゴンの口を力任せに上下に引き裂く。
『ギャアアァァーッ……!』
断末魔の叫び声を上げるサンドドラゴンをよそに俺はゲルニカに駆け寄った。
「大丈夫かっ?」
「え、ええ、なんとかね……あっ、後ろっ!」
ゲルニカの声を合図に俺は振り向きざま裏拳をサンドドラゴンの顔面にくらわせる。
『ギャアッ……!』
俺の一撃をくらったサンドドラゴンは遠くに吹っ飛んでいった。
俺はさらにローレライさんのもとへと駆け出すと、ローレライさんと相対しているサンドドラゴンの首を手刀で切断する。
ぶしゅうっと血を噴きながらぬかるんだ地面に沈むサンドドラゴン。
「ふぅ……」
俺は手についていた返り血を拭いながら首と胴体にわかれたサンドドラゴンの死体を見下ろす。
「あ、ありがとうございました、クロクロさん」
「いえ、無事でよかったです」
とそこへ、
「クロクロ、あんた何者なのっ? なんでEランクのくせにそんなに強いのよっ」
ゲルニカがものすごい剣幕で近寄ってくる。
「いや、なんでって言われても……」
「あたしのサンダーもたいして効いてなかったのに、それをたった一撃で倒しちゃうなんて。あんたって本当にEランクなのっ?」
「ああ、Eランクだよ……ほら」
俺はゲルニカがうるさいのでギルドカードをズボンのポケットから取り出し見せてやった。
「ほんとだ……どうなってるのよ一体」
「言ったろ、記憶喪失だって。だから俺も俺自身のことがよくわからないんだよ」
本当は記憶はばっちりあるのだが、神様とか異世界とか言っても信じてもらえなかったらただのヤバい奴になってしまうからな。
ここは記憶喪失で貫き通す。
「……変な奴ね、あんたって」
「お互い様だろ。それより顔拭けよ、泥だらけだぞ」
「ふふふっ……あ、すみません。おかしくてつい笑っちゃいました」
ローレライさんが楽しそうに笑うので俺とゲルニカもつい口元が緩む。
だがそんな時――
『まいったなぁ。僕がせっかく創り出したサンドドラゴンを殺しちゃうなんてさぁ』
ふいにしゃがれた声が聞こえてきた。
俺たちは周りを見渡すが誰もいない。
『大邪神様に怒られるのは僕なんだよ。どうしてくれるのさ』
注意深く耳を澄ますとどうやらぬかるみの中から聞こえてきているようだった。
俺たちは身構えつつ一歩退いた。
すると次の瞬間、
「「「っ!!」」」
ぬかるんだ地面からぬぅっと半魚人のような見た目の魔物がゆっくり顔を出した。
そしてそのまま全身があらわになっていく。
「だ、誰よあんたっ!」
とゲルニカ。
ゲルニカも知らない魔物のようだ。
『僕は大邪神様直属の部下の一人、ガロワ』
「なんで人の言葉を喋れるわけっ」
『大邪神様のお力のおかげだよ。きみたちの言葉を喋れる魔物は僕の他にもあと七体いるよ……あ、違った。竜王と竜魔王はいなくなっちゃったからあと五体だった』
聞き取りにくい声で喋り続けるガロワという魔物。
「クロクロさん、もしかして……」
「はい、そうですね……」
こいつが言う竜王と竜魔王というのは俺がエルフの里で倒した人語を喋る金色のドラゴンたちのことだろう。
俺は期せずして大邪神直属の部下を二体も倒していたということか。
『大邪神様から魔物を創り出すお力をいただいた僕たちは、世界中のいたるところで魔物を創って解き放っているんだぁ。それできみたち人間が恐怖に恐れおののく姿を大邪神様に見てもらうのが僕たちの喜びなんだよ』
「おい、その大邪神て奴はどこにいるんだ?」
俺はガロワに駄目もとで訊いてみる。
『なんでそんなこと訊くのさ』
「もちろんそいつを倒すためだ」
『倒す……? ……それは無理だよ』
ガロワがゆっくりと首を横に振った。
「なんでだ?」
『だって大邪神様はこの世で一番強いんだもの』
「この世ね……それはどうかな。もしかしたらもう誰かに抜かれてるかもしれないぞ」
『……きみ、ちょっとだけムカつくなぁ』
そう口にしたガロワは『トライデント』とつぶやくと三つまたのヤリを右手の中に具現化する。
そして、
『僕、きみのこと殺すよ』
ゆっくりとした口調からは想像も出来ないほどの速さで俺の前まで迫ってくると、手にしていたヤリで俺のお腹を貫いた。
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