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第65話 エルフからのお願い
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「エルフ……?」
俺は馬鹿みたいにオウム返しをする。
「はい」
ローレライさんは俺の言葉に小さくうなずいた。
エルフっていうとアニメとかによく出てくるあのエルフ族のことだよな……。
「えっと、ローレライさんでしたっけ? エルフ族の人が一体俺になんの用ですか?」
俺は訊ねる。
すると、
「クロクロさん、あなたにエルフの里に来てほしいのです」
ローレライさんはそう答えた。
「エルフの里? どういうことですか?」
「私たちエルフはエルフの里という場所で人間とは交流を断って暮らしているのですが、最近竜王と名乗る魔物が里に現れて家畜を次々と喰い殺してしまったのです」
「竜王と名乗ったって、魔物って喋れるんですか?」
「私たちもそのような魔物は始めて見ました。ですが実際にその魔物は私たちと同じように言葉を喋ったのです」
と困惑しながらローレライさん。
俺も喋れる魔物は初耳だ。
「若い男性のエルフたちが応戦したのですが竜王はとても強くてみんな倒されてしまいました」
「そうですか、それは気の毒でしたね。でも、俺とどういう関係が?」
「その竜王が言ったんです、一週間後また来ると。その時までに家畜を同じ数だけ用意していなければ今度はエルフを喰い殺すと。私たちエルフでは竜王には歯が立ちません、なので人間の中から強い冒険者を雇うことにしたわけです」
「なるほど」
その竜王とやらと互角以上に戦える冒険者たちを探しに普段は交流を断っている人間の町までわざわざやってきたというわけか。
「だったらギルドで依頼をするといいですよ。さっき俺たちが出会った場所です。そこでなら依頼の難易度に応じてそれに見合った冒険者たちが依頼を引き受けてくれますから」
「そ、それがお恥ずかしい話なのですが私たちエルフは自給自足の生活をしていまして人間が使うお金はほとんど持ち合わせてはいないのです」
ローレライさんはそう言いながら服のポケットから小さな袋を取り出した。
うつむき加減でそれを開けて俺に見せてくる。
覗き込むとその袋の中には金貨が三枚と銀貨が五枚しか入っていなかった。
「ですのでAランクやSランクの強い冒険者を雇う余裕がありません」
「はあ……」
たしかに金貨三枚ではAランクどころかBランク、いやCランクの冒険者さえも雇えないだろう。
「そんな時クロクロさん、あなたとSランクの冒険者の勝負を拝見しましてあなたの強さを見て、この方しかいないと思いました……聞くところによるとあなたはEランクの冒険者だとか?」
「ええ、まあ」
「なのであなたに直接今回の依頼をお願いしたいのです。どうか私とともにエルフの里に来て私たちエルフを助けてくださいませんか、この通りですっ」
ローレライさんは俺に向かって深々と頭を下げる。
「えーっと、確認ですけど報酬は金貨三枚と銀貨五枚ってことですか?」
「は、はい。も、もちろんこの額が人間にとって少ないということは重々承知しています。し、しかし決して馬鹿にしているわけではありません、これでもエルフの里のみんなから集めた私たちの全財産なのですっ」
声を震わせ俺を見上げるローレライさん。
その顔は今にも泣き出しそうだった。
金貨三枚と銀貨五枚か……まあ、Eランクの俺からすれば妥当な額なのかな。
「……いいですよ。その依頼引き受けます」
「えっ、本当ですかっ?」
ローレライさんは声を上げた。
「ええ、ちょうどEランクの依頼もなかったところでしたし」
「あ、ありがとうございますっ」
ローレライさんは顔をぱあっと明るくさせると俺の手を両手で包み込む。
その太陽のようなまぶしい笑顔とシルクのようなきめ細やかな質感の肌に触れて、俺はやはりローレライさんはエルフなのだと実感した。
俺は馬鹿みたいにオウム返しをする。
「はい」
ローレライさんは俺の言葉に小さくうなずいた。
エルフっていうとアニメとかによく出てくるあのエルフ族のことだよな……。
「えっと、ローレライさんでしたっけ? エルフ族の人が一体俺になんの用ですか?」
俺は訊ねる。
すると、
「クロクロさん、あなたにエルフの里に来てほしいのです」
ローレライさんはそう答えた。
「エルフの里? どういうことですか?」
「私たちエルフはエルフの里という場所で人間とは交流を断って暮らしているのですが、最近竜王と名乗る魔物が里に現れて家畜を次々と喰い殺してしまったのです」
「竜王と名乗ったって、魔物って喋れるんですか?」
「私たちもそのような魔物は始めて見ました。ですが実際にその魔物は私たちと同じように言葉を喋ったのです」
と困惑しながらローレライさん。
俺も喋れる魔物は初耳だ。
「若い男性のエルフたちが応戦したのですが竜王はとても強くてみんな倒されてしまいました」
「そうですか、それは気の毒でしたね。でも、俺とどういう関係が?」
「その竜王が言ったんです、一週間後また来ると。その時までに家畜を同じ数だけ用意していなければ今度はエルフを喰い殺すと。私たちエルフでは竜王には歯が立ちません、なので人間の中から強い冒険者を雇うことにしたわけです」
「なるほど」
その竜王とやらと互角以上に戦える冒険者たちを探しに普段は交流を断っている人間の町までわざわざやってきたというわけか。
「だったらギルドで依頼をするといいですよ。さっき俺たちが出会った場所です。そこでなら依頼の難易度に応じてそれに見合った冒険者たちが依頼を引き受けてくれますから」
「そ、それがお恥ずかしい話なのですが私たちエルフは自給自足の生活をしていまして人間が使うお金はほとんど持ち合わせてはいないのです」
ローレライさんはそう言いながら服のポケットから小さな袋を取り出した。
うつむき加減でそれを開けて俺に見せてくる。
覗き込むとその袋の中には金貨が三枚と銀貨が五枚しか入っていなかった。
「ですのでAランクやSランクの強い冒険者を雇う余裕がありません」
「はあ……」
たしかに金貨三枚ではAランクどころかBランク、いやCランクの冒険者さえも雇えないだろう。
「そんな時クロクロさん、あなたとSランクの冒険者の勝負を拝見しましてあなたの強さを見て、この方しかいないと思いました……聞くところによるとあなたはEランクの冒険者だとか?」
「ええ、まあ」
「なのであなたに直接今回の依頼をお願いしたいのです。どうか私とともにエルフの里に来て私たちエルフを助けてくださいませんか、この通りですっ」
ローレライさんは俺に向かって深々と頭を下げる。
「えーっと、確認ですけど報酬は金貨三枚と銀貨五枚ってことですか?」
「は、はい。も、もちろんこの額が人間にとって少ないということは重々承知しています。し、しかし決して馬鹿にしているわけではありません、これでもエルフの里のみんなから集めた私たちの全財産なのですっ」
声を震わせ俺を見上げるローレライさん。
その顔は今にも泣き出しそうだった。
金貨三枚と銀貨五枚か……まあ、Eランクの俺からすれば妥当な額なのかな。
「……いいですよ。その依頼引き受けます」
「えっ、本当ですかっ?」
ローレライさんは声を上げた。
「ええ、ちょうどEランクの依頼もなかったところでしたし」
「あ、ありがとうございますっ」
ローレライさんは顔をぱあっと明るくさせると俺の手を両手で包み込む。
その太陽のようなまぶしい笑顔とシルクのようなきめ細やかな質感の肌に触れて、俺はやはりローレライさんはエルフなのだと実感した。
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