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第62話 VSグレイ
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「待たせたな」
「ふん、逃げようとしないところだけは褒めてやるぜっ」
ギルドから外に出てグレイに顔を向けるとグレイは自信満々に言い放つ。
「別に逃げないさ」
「まあ、これだけの観客がいるんだ。逃げたら恥ずかしくて二度とここのギルドは使えないだろうけどなっ」
グレイは周りを囲む冒険者たちを眺めながら言った。
「それで、勝負方法は?」
「魔法、武器、なんでもありの全力勝負だ。どっちかが戦意を喪失したら終わりでどうだっ? もちろんおれ様はそうはならないけどな、わっはっはっ」
「わかった、それでいいよ」
俺が返すとグレイは急に真面目な顔になる。
「じゃあ行くぜっ。ブースト、レベル3っ!」
声に出したとほぼ同時にグレイは地面を強く蹴った。
あ、速っ――
「がぁっ……!」
一瞬にして俺との距離を詰めたグレイの右拳が俺の左頬を直撃。
俺は後ろにふっ飛ばされた。
「これで終わりだなっ」
グレイが勝利を確信してそう口にする。
「すげー、ブーストだぜっ……」
「私、初めて見たわ……」
「あいつ死んだんじゃねえか……?」
見ていた冒険者たちが言い合う中、
「悪いがライオンはウサギ相手でもいつでも本気なんだぜっ」
とガッツポーズを決めるグレイ。
とそこにエアリーがギルドから出てきた。
そして俺が地面に倒れているのを見ると急いで駆け寄ってくる。
「クロクロっ。今回復魔法をかけてあげるからっ」
「……いや、大丈夫だよ」
だが俺はそんなエアリーをよそに立ち上がった。
「お、おい、立ったぞあいつっ」
「ピンピンしてるぜっ」
「グレイさんの一撃をまともにくらったのにっ……」
「ちょ、ちょっと、クロクロ大丈夫なのっ?」
エアリーが俺の腕に触れる。
「ああ、問題ない。少し痛かったけどな」
「な、なっ!? クロクロっ、なんであんた無事なんだっ……ブーストでパワーも三倍になったおれ様のパンチをもろに受けたんだぞっ……!」
グレイが信じられないものを見たという表情で俺を見て言った。
グレイの言葉を無視して、
「今度はこっちの番だぞ」
言うと俺もブーストを使ってみることにした。
今の俺ならレベル10まで使えるものの寿命が縮まる恐れもあるのでレベル2くらいにおさえておこう。
「ブースト、レベル2っ」
唱えると体全体が熱くなり全身に力がみなぎってくる。
「マ、マジかよ……あ、あんた、本当にEランクの冒険者かっ……?」
「ああ、俺の一撃に耐え切れたらギルドカードを見せてやるよ」
「っ……」
唾を飲み込み身構えるグレイ。
その顔は恐怖ににじんでいた。
「行くぞっ」
声を上げた次の瞬間、俺はグレイの背後に移動していた。
「き、消えっ……!?」
グレイの目には俺が消えたように映ったらしい。
周りで見ていた冒険者たちも俺の動きに追いついてこれていないようだった。
俺はグレイの首元に素早くチョップを打ち込んだ。
その攻撃によりグレイが「ぅがっ……!」と声を発して地面に倒れる。
何が起きたのか理解できていない冒険者たちを前にして俺はブーストを解くとエアリーのもとまで歩いていった。
「エアリー、回復魔法なら俺じゃなくてあいつにしてやってくれ」
エアリーに声をかけると俺はギルドへと戻る。
そして冒険者が一人もいないギルド内で俺はゆっくりと依頼選びを再開するのだった。
「ふん、逃げようとしないところだけは褒めてやるぜっ」
ギルドから外に出てグレイに顔を向けるとグレイは自信満々に言い放つ。
「別に逃げないさ」
「まあ、これだけの観客がいるんだ。逃げたら恥ずかしくて二度とここのギルドは使えないだろうけどなっ」
グレイは周りを囲む冒険者たちを眺めながら言った。
「それで、勝負方法は?」
「魔法、武器、なんでもありの全力勝負だ。どっちかが戦意を喪失したら終わりでどうだっ? もちろんおれ様はそうはならないけどな、わっはっはっ」
「わかった、それでいいよ」
俺が返すとグレイは急に真面目な顔になる。
「じゃあ行くぜっ。ブースト、レベル3っ!」
声に出したとほぼ同時にグレイは地面を強く蹴った。
あ、速っ――
「がぁっ……!」
一瞬にして俺との距離を詰めたグレイの右拳が俺の左頬を直撃。
俺は後ろにふっ飛ばされた。
「これで終わりだなっ」
グレイが勝利を確信してそう口にする。
「すげー、ブーストだぜっ……」
「私、初めて見たわ……」
「あいつ死んだんじゃねえか……?」
見ていた冒険者たちが言い合う中、
「悪いがライオンはウサギ相手でもいつでも本気なんだぜっ」
とガッツポーズを決めるグレイ。
とそこにエアリーがギルドから出てきた。
そして俺が地面に倒れているのを見ると急いで駆け寄ってくる。
「クロクロっ。今回復魔法をかけてあげるからっ」
「……いや、大丈夫だよ」
だが俺はそんなエアリーをよそに立ち上がった。
「お、おい、立ったぞあいつっ」
「ピンピンしてるぜっ」
「グレイさんの一撃をまともにくらったのにっ……」
「ちょ、ちょっと、クロクロ大丈夫なのっ?」
エアリーが俺の腕に触れる。
「ああ、問題ない。少し痛かったけどな」
「な、なっ!? クロクロっ、なんであんた無事なんだっ……ブーストでパワーも三倍になったおれ様のパンチをもろに受けたんだぞっ……!」
グレイが信じられないものを見たという表情で俺を見て言った。
グレイの言葉を無視して、
「今度はこっちの番だぞ」
言うと俺もブーストを使ってみることにした。
今の俺ならレベル10まで使えるものの寿命が縮まる恐れもあるのでレベル2くらいにおさえておこう。
「ブースト、レベル2っ」
唱えると体全体が熱くなり全身に力がみなぎってくる。
「マ、マジかよ……あ、あんた、本当にEランクの冒険者かっ……?」
「ああ、俺の一撃に耐え切れたらギルドカードを見せてやるよ」
「っ……」
唾を飲み込み身構えるグレイ。
その顔は恐怖ににじんでいた。
「行くぞっ」
声を上げた次の瞬間、俺はグレイの背後に移動していた。
「き、消えっ……!?」
グレイの目には俺が消えたように映ったらしい。
周りで見ていた冒険者たちも俺の動きに追いついてこれていないようだった。
俺はグレイの首元に素早くチョップを打ち込んだ。
その攻撃によりグレイが「ぅがっ……!」と声を発して地面に倒れる。
何が起きたのか理解できていない冒険者たちを前にして俺はブーストを解くとエアリーのもとまで歩いていった。
「エアリー、回復魔法なら俺じゃなくてあいつにしてやってくれ」
エアリーに声をかけると俺はギルドへと戻る。
そして冒険者が一人もいないギルド内で俺はゆっくりと依頼選びを再開するのだった。
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