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第22話 ドラチェフさん
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「結婚……? グェスさん、もしかしてその方はグェスさんの恋人ですか?」
俺が訊くと、
「と、とんでもないっ。この人が勝手に言っているだけですっ。私に恋人なんていませんからっ」
顔をこれでもかと横に振るグェスさん。
そっか、恋人じゃないのか。
じゃあこの人はなんなんだ……?
俺の視線を察してかドラチェフさんが話し出す。
「わたしの名はドラチェフ。グェスちゃんとはノベールの町で出会ってね、わたしの完全な一目惚れってやつだよ。でもわたしとグェスちゃんは一緒になる運命だと思っているけどね」
「は、はあ、そうですか……」
いわゆるストーカーか。
この世界にもストーカーはいるんだな。
「そんな運命ありませんっ」
グェスさんの声を無視して、
「ところできみは誰なんだい? お客さんかな? だったら悪いけど帰ってもらえないだろうか。わたしはグェスちゃんと二人きりになりたいんでね」
とドラチェフさん。
見たところ年は四十前後だろうか。
「そう言われても俺もここの住人なんで」
「ん、住人? ま、まさかきみはグェスちゃんと一緒に住んでいるんじゃないだろうねっ」
「住んでますけど」
「な、なにぃぃーっ!?」
ドラチェフさんは体をそり返しながら驚いてみせた。
「そ、それはどういうことなんだいグェスちゃんっ。わたしというものがありながらこんな男と同棲だなんてっ!」
「私はドラチェフさんともクロクロさんともなんの関係もありませんから、変なこと言わないでくださいっ」
「クロクロっ!? 彼の名前はクロクロというのかいっ」
ドラチェフさんは俺に向き直る。
「クロクロくんっ、こうなったらグェスちゃんをかけて勝負をしようじゃないかっ! 勝った方がグェスちゃんと一緒に暮らせる、それでいいねっ!」
「……はい?」
「ちょ、ちょっとドラチェフさん、馬鹿なこと言わないでください! あなたは騎士団長なんですよ、なのに一般人のクロクロさん相手にそんなこと――」
「止めないでくれグェスちゃん、これは男と男の真剣勝負なんだ!」
俺を前にしてグェスさんとドラチェフさんが言い合う。
そして、
「クロクロくん、そういうことだから明日の午前十時この村で勝負だっ! もし勝負を放棄したらその時は不戦敗でグェスちゃんはわたしがいただくからねっ」
そう俺に向かって宣言するとドラチェフさんは颯爽と消えていった。
「あの、グェスさん。これは一体……?」
「本当にごめんなさいっ。わたし何故かあの人に気に入られちゃったみたいで、本当はノベールの町を出てきたのもあの人から逃げるためだったんです」
「あー、そうだったんですか」
それは気の毒に……。
「明日の十時か……まあいっか」
「えっ? もしかしてドラチェフさんとの勝負受ける気なんですかっ?」
「はい。だって俺がやらないと不戦敗になってあの人グェスさんをどうするかわからないですよ。それでもいいんですか?」
「そ、それはすごく困りますけど……でもドラチェフさんってロレンスの町の騎士団長なんですよ。いくらクロクロさんが強いといっても相手が悪すぎます」
グェスさんは心配そうに俺をみつめる。
「うーん、多分ですけどなんとかなると思いますよ。俺に任せといてください」
「クロクロさん……」
不安げな顔をしているグェスさんをよそに俺はまた昼寝をするためそれだけ言うと部屋に戻るのだった。
俺が訊くと、
「と、とんでもないっ。この人が勝手に言っているだけですっ。私に恋人なんていませんからっ」
顔をこれでもかと横に振るグェスさん。
そっか、恋人じゃないのか。
じゃあこの人はなんなんだ……?
俺の視線を察してかドラチェフさんが話し出す。
「わたしの名はドラチェフ。グェスちゃんとはノベールの町で出会ってね、わたしの完全な一目惚れってやつだよ。でもわたしとグェスちゃんは一緒になる運命だと思っているけどね」
「は、はあ、そうですか……」
いわゆるストーカーか。
この世界にもストーカーはいるんだな。
「そんな運命ありませんっ」
グェスさんの声を無視して、
「ところできみは誰なんだい? お客さんかな? だったら悪いけど帰ってもらえないだろうか。わたしはグェスちゃんと二人きりになりたいんでね」
とドラチェフさん。
見たところ年は四十前後だろうか。
「そう言われても俺もここの住人なんで」
「ん、住人? ま、まさかきみはグェスちゃんと一緒に住んでいるんじゃないだろうねっ」
「住んでますけど」
「な、なにぃぃーっ!?」
ドラチェフさんは体をそり返しながら驚いてみせた。
「そ、それはどういうことなんだいグェスちゃんっ。わたしというものがありながらこんな男と同棲だなんてっ!」
「私はドラチェフさんともクロクロさんともなんの関係もありませんから、変なこと言わないでくださいっ」
「クロクロっ!? 彼の名前はクロクロというのかいっ」
ドラチェフさんは俺に向き直る。
「クロクロくんっ、こうなったらグェスちゃんをかけて勝負をしようじゃないかっ! 勝った方がグェスちゃんと一緒に暮らせる、それでいいねっ!」
「……はい?」
「ちょ、ちょっとドラチェフさん、馬鹿なこと言わないでください! あなたは騎士団長なんですよ、なのに一般人のクロクロさん相手にそんなこと――」
「止めないでくれグェスちゃん、これは男と男の真剣勝負なんだ!」
俺を前にしてグェスさんとドラチェフさんが言い合う。
そして、
「クロクロくん、そういうことだから明日の午前十時この村で勝負だっ! もし勝負を放棄したらその時は不戦敗でグェスちゃんはわたしがいただくからねっ」
そう俺に向かって宣言するとドラチェフさんは颯爽と消えていった。
「あの、グェスさん。これは一体……?」
「本当にごめんなさいっ。わたし何故かあの人に気に入られちゃったみたいで、本当はノベールの町を出てきたのもあの人から逃げるためだったんです」
「あー、そうだったんですか」
それは気の毒に……。
「明日の十時か……まあいっか」
「えっ? もしかしてドラチェフさんとの勝負受ける気なんですかっ?」
「はい。だって俺がやらないと不戦敗になってあの人グェスさんをどうするかわからないですよ。それでもいいんですか?」
「そ、それはすごく困りますけど……でもドラチェフさんってロレンスの町の騎士団長なんですよ。いくらクロクロさんが強いといっても相手が悪すぎます」
グェスさんは心配そうに俺をみつめる。
「うーん、多分ですけどなんとかなると思いますよ。俺に任せといてください」
「クロクロさん……」
不安げな顔をしているグェスさんをよそに俺はまた昼寝をするためそれだけ言うと部屋に戻るのだった。
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