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第11話 超人
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「ケッペルさんっ?」
「よう、クロクロ待たせたな」
いつの間にかケッペルさんは俺の横に立っていた。
「おーっと次の挑戦者の登場ですっ! さあ、こちらへどうぞ!」
「あー、待ってくれ。挑戦者はおれじゃなくてこっちだこっち」
そう言うとケッペルさんは俺を指差す。
「は? どういうことですかケッペルさん」
「ここはおれのおごりだ、やってみな」
俺に一枚の金貨を握らせるケッペルさん。
「え、でも……」
「デスアントラーを一発で倒しちまったんだ、あんたならきっとやれるぜ」
ケッペルさんは俺の背中を押すようにして前に出す。
「はい、ではあなたのお名前はなんですかっ?」
マイクを向けられ、
「お、俺は……クロクロです」
「クロクロさん、参加費の金貨一枚をいただけますかっ?」
「あ、はい、すいません」
俺は名を名乗り金貨を手渡した。
ケッペルさんの顔を振り返り見ると楽しそうに笑っている。
周りの人たちも「いいぞ、やれやれーっ」「頑張れよーっ」と応援してくれていた。
……こうなったらやるだけやってみるか。
「さあ、ではハンマーを持ってください!」
「はい」
俺は地面に置かれていたハンマーを拾う。
見た目に反してだいぶ軽い。
「では行きましょう! クロクロさん、お願いいたしますっ!」
マイクを持った男性の掛け声を受けて俺は、
「えぇいっ!」
思いきりハンマーを振り下ろした。
ドゴオオォォーン!
という音の直後、カアアァァーン!! というベルの音が町中に高らかに鳴り響く。
重りが高さ十メートルの場所にあったベルを打ち鳴らし、その勢いのまま重りはベルをはじき飛ばしていたのだった。
「な、な、なんということでしょうかっ! 装置が壊れてしまうほどの大音量でベルが鳴らされてしまいましたっ!」
「「「うおおおーっ!」」」
アナウンスのあとに周りにいた人たちが大いに沸く。
「マジかよっ!?」
「ベルごと吹っ飛ばしやがったぜっ」
「なにもんなんだ、あいつっ」
ざわつきがおさまらぬ中マイクを持った男性が、
「そ、それではクロクロさんには約束の賞金を差し上げたいと思いますっ!」
十枚の金貨の入った袋を差し出してきた。
「あ、どうも」
俺はそれを受け取りケッペルさんの方を向くとケッペルさんは白い歯を覗かせ「やったな、クロクロ!」俺にグーサインを作ってみせた。
◇ ◇ ◇
「これがイリーナばあさんへの届け物だ。しっかり渡しといてくれ」
「わかりました」
俺はケッペルさんから布でくるまれた何かを預かると大事に抱える。
「あの、本当に金貨全部貰っちゃっていいんですか?」
「ああ、それはあんたが自分の力で稼いだ金だ。気にすることはない」
「そうですか、ありがとうございます」
「じゃあおれは祭りで書き入れ時だからな、店に戻るぜ。クロクロ、また来いよ」
「はいっ」
走って道具屋に戻っていくケッペルさんの背中に俺はもう一度頭を下げてからノベールの町をあとにするのだった。
◇ ◇ ◇
ベータ村への帰り道、砂地で大型の黄色い狼の魔物に遭遇した。
おそらく奴が話に聞いていたサンドウルフだろう。
ケッペルさんからの預かりものを大事に小脇に抱えながら俺は襲い来るサンドウルフを迎え撃った。
カレンの話では強い魔物ということだったが俺の一撃でサンドウルフは地面に沈んだ。
うすうす気付いてはいたがやはりどうやら俺はこの世界ではかなり強いらしい。
「よう、クロクロ待たせたな」
いつの間にかケッペルさんは俺の横に立っていた。
「おーっと次の挑戦者の登場ですっ! さあ、こちらへどうぞ!」
「あー、待ってくれ。挑戦者はおれじゃなくてこっちだこっち」
そう言うとケッペルさんは俺を指差す。
「は? どういうことですかケッペルさん」
「ここはおれのおごりだ、やってみな」
俺に一枚の金貨を握らせるケッペルさん。
「え、でも……」
「デスアントラーを一発で倒しちまったんだ、あんたならきっとやれるぜ」
ケッペルさんは俺の背中を押すようにして前に出す。
「はい、ではあなたのお名前はなんですかっ?」
マイクを向けられ、
「お、俺は……クロクロです」
「クロクロさん、参加費の金貨一枚をいただけますかっ?」
「あ、はい、すいません」
俺は名を名乗り金貨を手渡した。
ケッペルさんの顔を振り返り見ると楽しそうに笑っている。
周りの人たちも「いいぞ、やれやれーっ」「頑張れよーっ」と応援してくれていた。
……こうなったらやるだけやってみるか。
「さあ、ではハンマーを持ってください!」
「はい」
俺は地面に置かれていたハンマーを拾う。
見た目に反してだいぶ軽い。
「では行きましょう! クロクロさん、お願いいたしますっ!」
マイクを持った男性の掛け声を受けて俺は、
「えぇいっ!」
思いきりハンマーを振り下ろした。
ドゴオオォォーン!
という音の直後、カアアァァーン!! というベルの音が町中に高らかに鳴り響く。
重りが高さ十メートルの場所にあったベルを打ち鳴らし、その勢いのまま重りはベルをはじき飛ばしていたのだった。
「な、な、なんということでしょうかっ! 装置が壊れてしまうほどの大音量でベルが鳴らされてしまいましたっ!」
「「「うおおおーっ!」」」
アナウンスのあとに周りにいた人たちが大いに沸く。
「マジかよっ!?」
「ベルごと吹っ飛ばしやがったぜっ」
「なにもんなんだ、あいつっ」
ざわつきがおさまらぬ中マイクを持った男性が、
「そ、それではクロクロさんには約束の賞金を差し上げたいと思いますっ!」
十枚の金貨の入った袋を差し出してきた。
「あ、どうも」
俺はそれを受け取りケッペルさんの方を向くとケッペルさんは白い歯を覗かせ「やったな、クロクロ!」俺にグーサインを作ってみせた。
◇ ◇ ◇
「これがイリーナばあさんへの届け物だ。しっかり渡しといてくれ」
「わかりました」
俺はケッペルさんから布でくるまれた何かを預かると大事に抱える。
「あの、本当に金貨全部貰っちゃっていいんですか?」
「ああ、それはあんたが自分の力で稼いだ金だ。気にすることはない」
「そうですか、ありがとうございます」
「じゃあおれは祭りで書き入れ時だからな、店に戻るぜ。クロクロ、また来いよ」
「はいっ」
走って道具屋に戻っていくケッペルさんの背中に俺はもう一度頭を下げてからノベールの町をあとにするのだった。
◇ ◇ ◇
ベータ村への帰り道、砂地で大型の黄色い狼の魔物に遭遇した。
おそらく奴が話に聞いていたサンドウルフだろう。
ケッペルさんからの預かりものを大事に小脇に抱えながら俺は襲い来るサンドウルフを迎え撃った。
カレンの話では強い魔物ということだったが俺の一撃でサンドウルフは地面に沈んだ。
うすうす気付いてはいたがやはりどうやら俺はこの世界ではかなり強いらしい。
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