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第67話 高橋さんとの別れ
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すべてを見ていた高橋さんには真実を伝えることにした。
呪いで殺人を実行するのではないことや俺が殺した人間はこの世から完全に消え去ること。
そして俺が殺すのは悪人だけだということを。
高橋さんは涙を拭いながらただ静かに俺の話を黙って聞いていた。
俺が話を終えると高橋さんはそっと小指を差し出してくる。
何かと思って訊ねると、
「秘密ね。今日ここで起こったことはわたしとdevilさんの二人だけの秘密」
高橋さんが俺の目をじっとみつめながらそう言った。
「……鬼束ヤマトです」
「え?」
「俺の名前。鬼束ヤマトです」
「いいの? わたしに話しちゃって」
「はい。これも俺と高橋さん二人だけの秘密にしてください」
俺も右手の小指を伸ばすと高橋さんは「うんっ」と答えて俺の小指に自分の小指を絡ませた。
その後床に落ちていた男たちのスマホを拾い、中の動画を消去すると俺はそれらをズボンのポケットにしまい込む。
「じゃあこれで依頼は完了しました。お疲れ様でした、高橋さん」
「そっか……これでもう終わりなんだね」
「はい……俺は一足先にここを出ますから高橋さんも少ししたら出てください。男たちの死体はないので大丈夫だとは思いますけど、もし警察に話を訊かれた時は――」
「大丈夫、上手くごまかすから。それにこのホテルには防犯カメラはないから警察がわたしたちのところに来ることはないと思う」
「そうですか」
それなら安心だ。
ホテルの中で男が三人も消えたらさすがに直前に会っていたはずの高橋さんが疑われかねないからな。
「だったら俺はもう行きますね」
「うん。いろいろありがとうね、ヤマトくん」
俺は高橋さんに背を向けると部屋を出て一人ホテルをあとにした。
ホテルのすぐ近くを流れていた大きめの川に男たちのスマホを投げ捨てる。
さらに自分のスマホから高橋さんの番号とこれまでの履歴をすべて消去した俺は、
「さてと……群馬に帰るか」
三週間滞在していた東京に別れを告げて帰宅の途につくのだった。
呪いで殺人を実行するのではないことや俺が殺した人間はこの世から完全に消え去ること。
そして俺が殺すのは悪人だけだということを。
高橋さんは涙を拭いながらただ静かに俺の話を黙って聞いていた。
俺が話を終えると高橋さんはそっと小指を差し出してくる。
何かと思って訊ねると、
「秘密ね。今日ここで起こったことはわたしとdevilさんの二人だけの秘密」
高橋さんが俺の目をじっとみつめながらそう言った。
「……鬼束ヤマトです」
「え?」
「俺の名前。鬼束ヤマトです」
「いいの? わたしに話しちゃって」
「はい。これも俺と高橋さん二人だけの秘密にしてください」
俺も右手の小指を伸ばすと高橋さんは「うんっ」と答えて俺の小指に自分の小指を絡ませた。
その後床に落ちていた男たちのスマホを拾い、中の動画を消去すると俺はそれらをズボンのポケットにしまい込む。
「じゃあこれで依頼は完了しました。お疲れ様でした、高橋さん」
「そっか……これでもう終わりなんだね」
「はい……俺は一足先にここを出ますから高橋さんも少ししたら出てください。男たちの死体はないので大丈夫だとは思いますけど、もし警察に話を訊かれた時は――」
「大丈夫、上手くごまかすから。それにこのホテルには防犯カメラはないから警察がわたしたちのところに来ることはないと思う」
「そうですか」
それなら安心だ。
ホテルの中で男が三人も消えたらさすがに直前に会っていたはずの高橋さんが疑われかねないからな。
「だったら俺はもう行きますね」
「うん。いろいろありがとうね、ヤマトくん」
俺は高橋さんに背を向けると部屋を出て一人ホテルをあとにした。
ホテルのすぐ近くを流れていた大きめの川に男たちのスマホを投げ捨てる。
さらに自分のスマホから高橋さんの番号とこれまでの履歴をすべて消去した俺は、
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三週間滞在していた東京に別れを告げて帰宅の途につくのだった。
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