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第24話 晩ご飯
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仕事を終えアパートに帰宅すると、俺の部屋の前でドアを背に制服姿の美紗ちゃんが立っていた。
「ただいま美紗ちゃん。何、どうかしたの?」
「鬼束さん……あ、あの、今朝はすみませんでしたっ」
頭を下げる美紗ちゃん。
「今朝?」
「はい、鍋を置いて逃げるような真似をしてしまって……それに鬼束さんの彼女さんにも失礼な態度をとってしまったみたいだし……」
あ~、そういえば今朝そんなことがあったっけ。
「全然気にしてないよ。っていうかもしかしてそれを言うためだけに待ってたの?」
「あ、はい。すみません」
制服のまま着替えていないということは学校から帰ってきてからずっと待っていてくれたということだろうか。
「なんか逆にごめんね。あー、あと一緒にいた女性は彼女とかじゃなくてただの職場の先輩だから。俺の部屋で酔いつぶれて起きなかったから朝まで一緒だっただけだよ」
一応誤解も解いておく。
「え、職場の先輩……彼女さんじゃなかったんですか」
「そうだよ。あんなきれいな人が俺なんかの彼女になってくれるわけないでしょ」
性格はともかくルックスだけ見れば細谷さんは上の上、俺はせいぜい中の中。釣り合いが取れない。
「そ、そんなことないですよ。鬼束さんはとっても素敵ですっ、かっこいいですっ」
美紗ちゃんは顔を赤らめながらも俺を見上げ必死に訴える。
「あ、ああ、ありがと」
恥ずかしさを我慢してまで俺のフォローをしてくれるなんて美紗ちゃんは本当に優しい子だなぁ。
お世辞とはいえ嬉しい。
「清水さんは……お母さんはまだ帰ってきてないの?」
「はい、まだ仕事みたいです。でももうすぐ帰ってくると思いますけど」
言うと美紗ちゃんは玄関ドアの鍵を取り出そうとしてかバッグを開けて中に手を入れた。
「そっか。じゃあね、風邪ひかないようにね」
「はい。ありがとうございます」
「おでんありがとうね。じゃあまた」
「はい」
俺は美紗ちゃんに軽く手を振ると一足先にドアの鍵を開け中へと入――
「あれっ? う~ん……」
――ろうとしたが美紗ちゃんの困惑したような声に思わず立ち止まる。
俺はドアを開けたまま、
「美紗ちゃん、どうかした?」
声をかけた。
「あ、いえ、なんか家の鍵がみつからなくて……」
「落としたの?」
「わかりません。もしかしたらそうなのかも……どうしよう」
困った様子の美紗ちゃん。
だが俺にはどうすることも出来ない。
既に辺りは暗く、鍵を落としていたとしたら探すのは困難だろう。
俺に出来ることと言えば……。
「清水さんが帰ってくるまでうちで待つ?」
こんなことくらいか。
「え……いいんですか? 迷惑じゃ……?」
「全然」
美紗ちゃんも清水さんも秘密を共有している以上もう家族みたいなものだ。
「さあ入って」
俺は美紗ちゃんをうちに上げることにした。
「晩ご飯まだだよね。何か食べていく?」
と言っても今朝もらったおでんかさっき仕事帰りに買ってきたおにぎりくらいしかないが。
「あ、大丈夫です。お母さんが帰ってきてから一緒に食べるので。鬼束さんはわたしに遠慮せずご飯食べてください」
「そう、悪いね」
俺は美紗ちゃんの見ている前でレジ袋からおにぎりを四つ取り出すとテーブルの上に並べる。
さらに今朝美紗ちゃんからもらったおでんもテーブルの上に置いた。
俺は早速ツナマヨ入りのおにぎりを頬張りながら、
「テレビでも観る?」
リモコンを操作しザッピングを始める。
しかし特に面白そうな番組が見当たらなかったのでニュース番組でリモコンを動かす手を止めた。
「受験勉強はどう? はかどってる?」
「はい。この間の全国模試ではA判定だったんです」
「へー、それはすごいね」
「ありがとうございます。それでですね……」
俺は成績が上がったことを嬉しそうに話す美紗ちゃんとゆったりした晩ご飯の時間を過ごした。
「ただいま美紗ちゃん。何、どうかしたの?」
「鬼束さん……あ、あの、今朝はすみませんでしたっ」
頭を下げる美紗ちゃん。
「今朝?」
「はい、鍋を置いて逃げるような真似をしてしまって……それに鬼束さんの彼女さんにも失礼な態度をとってしまったみたいだし……」
あ~、そういえば今朝そんなことがあったっけ。
「全然気にしてないよ。っていうかもしかしてそれを言うためだけに待ってたの?」
「あ、はい。すみません」
制服のまま着替えていないということは学校から帰ってきてからずっと待っていてくれたということだろうか。
「なんか逆にごめんね。あー、あと一緒にいた女性は彼女とかじゃなくてただの職場の先輩だから。俺の部屋で酔いつぶれて起きなかったから朝まで一緒だっただけだよ」
一応誤解も解いておく。
「え、職場の先輩……彼女さんじゃなかったんですか」
「そうだよ。あんなきれいな人が俺なんかの彼女になってくれるわけないでしょ」
性格はともかくルックスだけ見れば細谷さんは上の上、俺はせいぜい中の中。釣り合いが取れない。
「そ、そんなことないですよ。鬼束さんはとっても素敵ですっ、かっこいいですっ」
美紗ちゃんは顔を赤らめながらも俺を見上げ必死に訴える。
「あ、ああ、ありがと」
恥ずかしさを我慢してまで俺のフォローをしてくれるなんて美紗ちゃんは本当に優しい子だなぁ。
お世辞とはいえ嬉しい。
「清水さんは……お母さんはまだ帰ってきてないの?」
「はい、まだ仕事みたいです。でももうすぐ帰ってくると思いますけど」
言うと美紗ちゃんは玄関ドアの鍵を取り出そうとしてかバッグを開けて中に手を入れた。
「そっか。じゃあね、風邪ひかないようにね」
「はい。ありがとうございます」
「おでんありがとうね。じゃあまた」
「はい」
俺は美紗ちゃんに軽く手を振ると一足先にドアの鍵を開け中へと入――
「あれっ? う~ん……」
――ろうとしたが美紗ちゃんの困惑したような声に思わず立ち止まる。
俺はドアを開けたまま、
「美紗ちゃん、どうかした?」
声をかけた。
「あ、いえ、なんか家の鍵がみつからなくて……」
「落としたの?」
「わかりません。もしかしたらそうなのかも……どうしよう」
困った様子の美紗ちゃん。
だが俺にはどうすることも出来ない。
既に辺りは暗く、鍵を落としていたとしたら探すのは困難だろう。
俺に出来ることと言えば……。
「清水さんが帰ってくるまでうちで待つ?」
こんなことくらいか。
「え……いいんですか? 迷惑じゃ……?」
「全然」
美紗ちゃんも清水さんも秘密を共有している以上もう家族みたいなものだ。
「さあ入って」
俺は美紗ちゃんをうちに上げることにした。
「晩ご飯まだだよね。何か食べていく?」
と言っても今朝もらったおでんかさっき仕事帰りに買ってきたおにぎりくらいしかないが。
「あ、大丈夫です。お母さんが帰ってきてから一緒に食べるので。鬼束さんはわたしに遠慮せずご飯食べてください」
「そう、悪いね」
俺は美紗ちゃんの見ている前でレジ袋からおにぎりを四つ取り出すとテーブルの上に並べる。
さらに今朝美紗ちゃんからもらったおでんもテーブルの上に置いた。
俺は早速ツナマヨ入りのおにぎりを頬張りながら、
「テレビでも観る?」
リモコンを操作しザッピングを始める。
しかし特に面白そうな番組が見当たらなかったのでニュース番組でリモコンを動かす手を止めた。
「受験勉強はどう? はかどってる?」
「はい。この間の全国模試ではA判定だったんです」
「へー、それはすごいね」
「ありがとうございます。それでですね……」
俺は成績が上がったことを嬉しそうに話す美紗ちゃんとゆったりした晩ご飯の時間を過ごした。
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