二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

無似死可

文字の大きさ
上 下
142 / 145
第14章 魔法学院卒業編

108.実践練習

しおりを挟む
 卒業前にイベントが行われることになった。そのため、午前の授業の拳闘の講座では、予行を兼ねての練習が始まった。卒業イベントは、パーティーでの参加が基本で、パーティー通りのバトルを行うトーナメントになっている。

 今の所、参加チームは、分からないが、魔法学院以外からも、参加できるオープンなイベントらしい。そのため、冒険者のパーティーも、参加するし、兵士のパーティーも参加する。

 条件は、人数が5人以下ということだけだ。殺傷性が高い攻撃は禁じられている。私達のパーティーは、折角だから、記念に参加しようということになった。

 「今日は、卒業前のイベントに向けて、練習をします。それぞれのパーティーに分かれてください」

 私達は、パープルを除いた4人で、参加する。私とミユとフヨウとエルミアだ。いつも、一緒に、ダンジョンに潜っているので、息はぴったりだ。問題があるとすると、制限された中でのバトルだということだ。

 私の模倣は、どんな初歩的な魔法でも、相手を殺してしまう。だから、火球ファイア・ポールですら、放つことができない。だから、私は、剣を使った攻撃に徹することにした。

 参加パーティは、13パーティになったようだ。

 兵士達のパーティーが2つ、冒険者のパーティーが3つで、残りが魔法学院のパーティーになっていた。

 クルドも、パーティーを組んで、参加するみたいだ。怪我をしなければいいけど。まあ、私には、関係のないことだけど。

 練習も、参加するパーティー同志の対戦を中心に行うようだ。それ以外の人たちは、前の授業と同じ打ち込みに練習することになった。

 「それでは、参加するパーティーは、こちらに集まってください。抽選をします」

 アイリス先生が、皆に声を掛けた。すると、参加予定の8つのパーティーが、アイリス先生の傍に集まって来た。

 「代表者1名、こちらから、くじを引いてください」

 アイリス先生が用意しているくじを各パーティーの代表者が、1つずつ、引いて行く。私が引いたのは、3番のくじだった。

 「それでは、番号順に並んでください。そして、隣同士のパーティーに戦って貰います」

 それぞれのパーティーは、戦いが開始できるように、一定の間隔をあけて、対峙した。

 「本番と同じルールで、戦ってもらいます。よろしいですね。それでは、始め」

 私達は、その後もアイリス先生の元、練習を行っていった。いよいよ、明日は、イベント本番だ。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 今日は、イベント本番だ。イベントに参加するパーティーは、代表者が、順にくじを引いて行った。

 参加するパーティーは、13組で、その中に、魔法学院の生徒のパーティーは、8組だ。その他に、冒険者のパーティーが3組、兵士のパーティーが、2組あった。

 クルドのパーティーが1番くじを引いたと聞いた。直ぐに、第1試合が始まるので、急がないと、試合前に会うことができない。私は、一言、応援の言葉を掛けたいと思って、探したが、もう、闘技場に入っていた。仕方がないので、観客席から、応援することにした。

 応援席に引き返すと、クルドのパーティーが闘技場に入ってくるところだった。

 「クルド、頑張って!」

 私は、大声で、クルドに声援を送った。よく、分かるように、手を振って、クルドがこちらに気が付くまで、繰り返した。

 「やあ、キリ、応援ありがとう。頑張るよ」

 クルドも、手を振って、答えた。

 第1試合は、魔法学院の生徒同士の戦いになった。クルドは、剣で、相手のパーティーのタンクは、槍を持っていた。一般的に、槍の方が、有利とされている。

 「それでは、始め!」

 係の先生の号令と共に、試合が始まった。

 クルドと相手のタンクとの戦いに、後衛の黒魔導士の魔法が放たれてくる。

 クルドは、槍の攻撃をうまく、かわしながら、接近戦に持ち込んだ。これで、剣が有利な間合いになった。

 クルドのパーティーの白魔導士が、光魔法で、目くらましを放った。一瞬、相手のタンクが怯んだところを、クルドの剣が、胴に打ち込まれた。

 「グァアー」

 相手のタンクは、堪らず地面に膝をついた。そこに、クルドが再度攻撃を仕掛けようとした。そのとき、相手のパーティーから、降参の合図が上がった。

 「それまで、打ち方やめ!」

 係の教師の声で、クルドも攻撃を止めた。

 「クルドのパーティーの勝ち!」

 私は、また、手を振りながら、クルドに声を掛けた。

 「クルド、よくやったわ」

 「応援、ありがとう。キリも、頑張れよ!」

 「はい、分ったわ」

 私達のパーティーは、11番のくじを引いたので、今日の6試合目に出場することになった。13番くじを引いたパーティーは、1回戦、不戦勝だ。私達は、兵士のパーティーとの対戦になった。

 兵士のパーティーは、全員が剣を持っており、全員がタンクであり、魔導士でもある。厄介なパーティーだ。そこで、フヨウが、事前に戦い方を検討しようと皆に声を掛けて来た。

 それで、一旦、闘技場の外で、相談することになった。

 「フヨウ、何か、考えがあるの?」

 私は、フヨウに、尋ねた。

 「特には、ないけど、私とエルミアが、ペアで、相手の1人と戦おうと思っている」

 「それなら、残りの4人を足止めしないといけないね」

 ミユが、フヨウを補足した。

 「分かったわ。私が、4人を足止めするわ。それと、ミユに強化して貰うね」

 「はい、準備しておきます」

 簡単な打ち合わせを終えて、私達は、また、観客席に戻っていった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

 ブラッディーガールを探せ!

縁 遊
ファンタジー
 ある特殊な能力が受け継がれるという美形の一族の残念な末っ子と周りから言われるフルド。  でも実は一族の中で一番期待されているのはフルドだった?!  それは一族に伝わるブラッディーボールを持って産まれて来たからなのだが…。 フルドは一族の期待に答える事ができるのか?!それとも残念なままなのか?! キャラクターが濃いです。 わざとキャラクターを濃くするために話し方も特徴をつけていたりします。 苦手な人はUターンをお願いします。  

〈完結〉前世と今世、合わせて2度目の白い結婚ですもの。場馴れしておりますわ。

ごろごろみかん。
ファンタジー
「これは白い結婚だ」 夫となったばかりの彼がそう言った瞬間、私は前世の記憶を取り戻した──。 元華族の令嬢、高階花恋は前世で白い結婚を言い渡され、失意のうちに死んでしまった。それを、思い出したのだ。前世の記憶を持つ今のカレンは、強かだ。 "カーター家の出戻り娘カレンは、貴族でありながら離婚歴がある。よっぽど性格に難がある、厄介な女に違いない" 「……なーんて言われているのは知っているけど、もういいわ!だって、私のこれからの人生には関係ないもの」 白魔術師カレンとして、お仕事頑張って、愛猫とハッピーライフを楽しみます! ☆恋愛→ファンタジーに変更しました

めんどくさがり屋の異世界転生〜自由に生きる〜

ゆずゆ
ファンタジー
※ 話の前半を間違えて消してしまいました 誠に申し訳ございません。 —————————————————   前世100歳にして幸せに生涯を遂げた女性がいた。 名前は山梨 花。 他人に話したことはなかったが、もし亡くなったら剣と魔法の世界に転生したいなと夢見ていた。もちろん前世の記憶持ちのままで。 動くがめんどくさい時は、魔法で移動したいなとか、 転移魔法とか使えたらもっと寝れるのに、 休みの前の日に時間止めたいなと考えていた。 それは物心ついた時から生涯を終えるまで。 このお話はめんどくさがり屋で夢見がちな女性が夢の異世界転生をして生きていくお話。 ————————————————— 最後まで読んでくださりありがとうございました!!  

家族もチート!?な貴族に転生しました。

夢見
ファンタジー
月神 詩は神の手違いで死んでしまった… そのお詫びにチート付きで異世界に転生することになった。 詩は異世界何を思い、何をするのかそれは誰にも分からない。 ※※※※※※※※※ チート過ぎる転生貴族の改訂版です。 内容がものすごく変わっている部分と変わっていない部分が入り交じっております ※※※※※※※※※

元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌

紫南
ファンタジー
十二才の少年コウヤは、前世では病弱な少年だった。 それは、その更に前の生で邪神として倒されたからだ。 今世、その世界に再転生した彼は、元家族である神々に可愛がられ高い能力を持って人として生活している。 コウヤの現職は冒険者ギルドの職員。 日々仕事を押し付けられ、それらをこなしていくが……? ◆◆◆ 「だって武器がペーパーナイフってなに!? あれは普通切れないよ!? 何切るものかわかってるよね!?」 「紙でしょ? ペーパーって言うし」 「そうだね。正解!」 ◆◆◆ 神としての力は健在。 ちょっと天然でお人好し。 自重知らずの少年が今日も元気にお仕事中! ◆気まぐれ投稿になります。 お暇潰しにどうぞ♪

この野菜は悪役令嬢がつくりました!

真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。 花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。 だけどレティシアの力には秘密があって……? せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……! レティシアの力を巡って動き出す陰謀……? 色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい! 毎日2〜3回更新予定 だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!

身寄りのない少女を引き取ったら有能すぎて困る(困らない)

長根 志遥
ファンタジー
命令を受けて自らを暗殺に来た、身寄りのない不思議な少女エミリスを引き取ることにした伯爵家四男のアティアス。 彼女は彼と旅に出るため魔法の練習を始めると、才能を一気に開花させる。 他人と違う容姿と、底なしの胃袋、そして絶大な魔力。メイドだった彼女は家事も万能。 超有能物件に見えて、実は時々へっぽこな彼女は、様々な事件に巻き込まれつつも彼の役に立とうと奮闘する。 そして、伯爵家領地を巡る争いの果てに、彼女は自分が何者なのかを知る――。 ◆ 「……って、そんなに堅苦しく書いても誰も読んでくれませんよ? アティアス様ー」 「あらすじってそういうもんだろ?」 「ダメです! ここはもっとシンプルに書かないと本編を読んでくれません!」 「じゃあ、エミーならどんな感じで書くんだ?」 「……そうですねぇ。これはアティアス様が私とイチャイチャしながら、事件を強引に力で解決していくってお話ですよ、みなさん」 「ストレートすぎだろ、それ……」 「分かりやすくていいじゃないですかー。不幸な生い立ちの私が幸せになるところを、是非是非読んでみてくださいね(はーと)」 ◆HOTランキング最高2位、お気に入り1400↑ ありがとうございます!

売れない薬はただのゴミ ~伯爵令嬢がつぶれかけのお店を再生します~

薄味メロン
ファンタジー
周囲は、みんな敵。 欠陥品と呼ばれた令嬢が、つぶれかけのお店を立て直す。

処理中です...