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第14章 魔法学院卒業編
104.拳闘の講座
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魔法学院は、卒業までに3年掛かってしまう。しかし、早いもので、もう、最後の3年目に突入した。
1年目は、教師の真似をして、魔法を起動するだけのつまらない授業だった。結局、1年目は、初級・中級程度の魔法の実習・演習が中心で、役に立たなかった。
2年目には、新規のダンジョン騒ぎのせいで、暫くは、魔法学院が閉鎖されてしまっていた。騒ぎが落ち着いて、魔法学院も授業を再開することになってから、本当の魔法学院の生活が始まった。特に、2年目からは、錬金術の講義が始まり、今までは、自己流で、色々な物を作っていたけど、やっと、基礎から勉強ができるようになった。
錬金術は、私が興味を持っている授業で、黒魔導士のミーチェが教えてくれた。彼女は、上級教師で、水魔法が得意だった。
それに、2年目は、キリのパーティーで頑張って、Sランクにまで、ランクアップすることも出来た。これは、本当に、大きな収穫だった。
更に、ミユが聴講生として魔法学院で、一緒に勉強をすることになった。しかも、今年は、ミュが正式に入学して、一緒に卒業できる可能性があることが分かった。
3年目は、卒業後の事を配慮して、実務に必要な事を中心に講座が組まれている。一つは、ダンジョンでの演習だ。これは、冒険者として、必要なパーティーでの役割を実際に体験するためのものだ。パーティーは、自由に作ることが出来る。条件は、2つだけだ。一つは、冒険者ギルドに登録すること。もう一つは、5人以下のパーティーにすること。たった、これだけだった。
当然は、私達は、キリのパーティーとして、魔法学院に登録した。これで、ダンジョンでの演習は、皆と一緒にできる。
もう一つは、剣などの直接的な魔法を使わない実技だ。私は、魔法の授業は、免除されている。というか、出禁になってしまっている。でも、この拳闘の講座は、出席を許された。使う魔法は、防御用の魔法に限定されたけど、剣を使えるので、楽しみだ。
今日は、1時間目が拳闘の講座だ。担当は、白魔導士のアイリス先生だ。本来は、治癒魔法が専門のはずだが、上級魔導士と言われるだけあって、拳闘の講座も担当できるようだ。それも、かなりの腕前で、色んな武器を扱えるようだ。
拳闘の講座は、外の演習場で行われる。私は、少し、起きるのが遅くなってしまって、慌てて、向かっていった。
「キリ、遅いよ」
既についていたフヨウが、私に声を掛けて来た。
「お早う。フヨウ」
「お早うじゃないよ。もう、皆、並んで先生を待っているよ」
フヨウに言われて、周りを見ると、もう、皆、列を作って、並んで待っていた。フヨウの列には、エルミアとミユもいた。
私も、急いで、ミユの後ろに並んだ。暫くして、アイリス先生がやって来た。
「おはようございます。この拳闘の講座を担当するアイリスと言います。よろしくね」
「「はい」」
「それでは、皆さん、自分の使う武器を用意してください。まだ、用意できていない人は、前のテーブルに置いている武器から、何か、一つ選んで、持っていくように」
私は、アイテムボックスから、細身の剣を取り出した。周りの皆もそれぞれ、武器を取り出している。エルミアも、ミユも、私と同じ、細身の剣を使うようだ。
「それでは、2人、一組になってください」
私は、ミユと組みを作った。フヨウは、エルミアと組みを作った。
「ミユ、よろしくね」
「キリ、お手柔らかに」
「はい」
周りを見てみると、皆も、相手を決めて、組を作ったようだ。それを確認して、アイリス先生は、皆に声を掛けた。
「それでは、お互いを相手に少し、打ち合ってみてください。ただし、相手に武器を当てることは禁止です」
「「はい」」
「カン、カン」
周りで、皆の打ち合う音が響いた。私も、ミユを相手に、剣を振り上げた。ミユも、剣を構えて、振り下ろして来た。
「カン、カン」
ミユは、剣を使うのが、初めてなので、無駄な動きも多く、直ぐに、疲れてしまった。私は、アイテムボックスから、赤のポーションを取り出して、ミユに飲ませた。
「キリ、ありがとう」
ミユは、赤のポーションを飲んで、元気になった。そして、また、打ち合いを始めた。私は、少し、心配になって、ミユに声を掛けながら、打ち合いを続けた
「ミユ、無理しないでね」
「はい、大丈夫です」
「それじゃ、行くよ」
「はい」
私達は、その後も、暫く、打ち合いを続けた。ミユは、少しずつうまく剣を使えるようになった。
「それまで!」
アイリス先生が、皆に声を掛けた。
「それでは、少し、見本を見て貰うことにします」
アイリス先生は、フヨウとエルミアの組を指名して、皆の前で演武を見せる様に言った。
「アイリス先生、わかりました」
フヨウが、返事をして、エルミアと共に、皆の前に出て来た。そして、打ち合いを始めた。
「カン、カン、カン」
「皆さん、よく見て、学んでくださいね」
「「はい」」
確かに、旨く、演武をしている。無駄が少ない。フヨウは、当然、タンクなので、問題は、無いが、エルミアも、しっかりと、受けて、攻撃もできていた。意外に良く、練習していたようだ。
その後も、暫く、練習が続いた。
「今日は、これで、授業を終了します。各自、解散してください」
私達は、お腹が空いたので、皆で、食堂に行くことにした。そして、今後の練習の方法を検討した。
1年目は、教師の真似をして、魔法を起動するだけのつまらない授業だった。結局、1年目は、初級・中級程度の魔法の実習・演習が中心で、役に立たなかった。
2年目には、新規のダンジョン騒ぎのせいで、暫くは、魔法学院が閉鎖されてしまっていた。騒ぎが落ち着いて、魔法学院も授業を再開することになってから、本当の魔法学院の生活が始まった。特に、2年目からは、錬金術の講義が始まり、今までは、自己流で、色々な物を作っていたけど、やっと、基礎から勉強ができるようになった。
錬金術は、私が興味を持っている授業で、黒魔導士のミーチェが教えてくれた。彼女は、上級教師で、水魔法が得意だった。
それに、2年目は、キリのパーティーで頑張って、Sランクにまで、ランクアップすることも出来た。これは、本当に、大きな収穫だった。
更に、ミユが聴講生として魔法学院で、一緒に勉強をすることになった。しかも、今年は、ミュが正式に入学して、一緒に卒業できる可能性があることが分かった。
3年目は、卒業後の事を配慮して、実務に必要な事を中心に講座が組まれている。一つは、ダンジョンでの演習だ。これは、冒険者として、必要なパーティーでの役割を実際に体験するためのものだ。パーティーは、自由に作ることが出来る。条件は、2つだけだ。一つは、冒険者ギルドに登録すること。もう一つは、5人以下のパーティーにすること。たった、これだけだった。
当然は、私達は、キリのパーティーとして、魔法学院に登録した。これで、ダンジョンでの演習は、皆と一緒にできる。
もう一つは、剣などの直接的な魔法を使わない実技だ。私は、魔法の授業は、免除されている。というか、出禁になってしまっている。でも、この拳闘の講座は、出席を許された。使う魔法は、防御用の魔法に限定されたけど、剣を使えるので、楽しみだ。
今日は、1時間目が拳闘の講座だ。担当は、白魔導士のアイリス先生だ。本来は、治癒魔法が専門のはずだが、上級魔導士と言われるだけあって、拳闘の講座も担当できるようだ。それも、かなりの腕前で、色んな武器を扱えるようだ。
拳闘の講座は、外の演習場で行われる。私は、少し、起きるのが遅くなってしまって、慌てて、向かっていった。
「キリ、遅いよ」
既についていたフヨウが、私に声を掛けて来た。
「お早う。フヨウ」
「お早うじゃないよ。もう、皆、並んで先生を待っているよ」
フヨウに言われて、周りを見ると、もう、皆、列を作って、並んで待っていた。フヨウの列には、エルミアとミユもいた。
私も、急いで、ミユの後ろに並んだ。暫くして、アイリス先生がやって来た。
「おはようございます。この拳闘の講座を担当するアイリスと言います。よろしくね」
「「はい」」
「それでは、皆さん、自分の使う武器を用意してください。まだ、用意できていない人は、前のテーブルに置いている武器から、何か、一つ選んで、持っていくように」
私は、アイテムボックスから、細身の剣を取り出した。周りの皆もそれぞれ、武器を取り出している。エルミアも、ミユも、私と同じ、細身の剣を使うようだ。
「それでは、2人、一組になってください」
私は、ミユと組みを作った。フヨウは、エルミアと組みを作った。
「ミユ、よろしくね」
「キリ、お手柔らかに」
「はい」
周りを見てみると、皆も、相手を決めて、組を作ったようだ。それを確認して、アイリス先生は、皆に声を掛けた。
「それでは、お互いを相手に少し、打ち合ってみてください。ただし、相手に武器を当てることは禁止です」
「「はい」」
「カン、カン」
周りで、皆の打ち合う音が響いた。私も、ミユを相手に、剣を振り上げた。ミユも、剣を構えて、振り下ろして来た。
「カン、カン」
ミユは、剣を使うのが、初めてなので、無駄な動きも多く、直ぐに、疲れてしまった。私は、アイテムボックスから、赤のポーションを取り出して、ミユに飲ませた。
「キリ、ありがとう」
ミユは、赤のポーションを飲んで、元気になった。そして、また、打ち合いを始めた。私は、少し、心配になって、ミユに声を掛けながら、打ち合いを続けた
「ミユ、無理しないでね」
「はい、大丈夫です」
「それじゃ、行くよ」
「はい」
私達は、その後も、暫く、打ち合いを続けた。ミユは、少しずつうまく剣を使えるようになった。
「それまで!」
アイリス先生が、皆に声を掛けた。
「それでは、少し、見本を見て貰うことにします」
アイリス先生は、フヨウとエルミアの組を指名して、皆の前で演武を見せる様に言った。
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「皆さん、よく見て、学んでくださいね」
「「はい」」
確かに、旨く、演武をしている。無駄が少ない。フヨウは、当然、タンクなので、問題は、無いが、エルミアも、しっかりと、受けて、攻撃もできていた。意外に良く、練習していたようだ。
その後も、暫く、練習が続いた。
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