二人キリの異世界冒険 (Information Teacher's Second Life)【完結】

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第13章 Sクラスパーティー編

102.フヨウの頑張り

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 私達は、魔法学院の食堂に急いで行った。すると、パーティーの皆は、揃って、お茶を飲んでいた。

 「キリ、ここよ」

 ミユが、私達を見つけて、声を掛けてくれた。私達も、お茶とケーキを取って、皆の所に急いだ。

 「キリ、パープル、ご苦労様」

 フヨウが、私達をねぎらってくれた。そして、報告を聞きたくて、うずうずしていた。

 「それじゃ、ダンジョンの様子を伝えるね」

 「「はい」」

 私は、見て来たことを伝えた。まず、ダンジョンは、中級より、上級に近いということ。そして、最下層の第70階層には、ダンジョンマスターとして、レッド・ドラゴンがいるということ。そして、そのレベルは80ということ。

 「そうか。結構、深いんだね」

 フヨウが、少し、暗い顔をして、呟いた。

 「でも、キリがいるから、大丈夫よ」

 エルミアが、フヨウを慰める様に言った。しかし、私は、フヨウとエルミアに倒して欲しい。

 「キリに頼るのは良くないわ」

 ミユが、私の代わりに言ってくれた。

 「そうだよ。僕たちは、パーティーだから、皆で、倒さないといけないよ」

 フヨウも、納得してくれたようだ。

 「そうね。私も頑張るわ」

 エルミアも、賛成してくれた。それから、暫く、皆で、ダンジョンの攻略方法を検討した。そして、ダンジョンマスターのレッド・ドラゴンの倒し方を確認した。

 私は、皆のレベルを確認した。フヨウはレベル70,エルミアがレベル65、ミユがレベル85,そして、私がレベル90だ。このままでは、フヨウとエルミアだけでは、倒すことは困難だ。そこで、2人の体力や魔力を最大限残した状態で、レッド・ドラゴンに向かっていけるようにすることにした。

 いよいよ、ダンジョンの制圧に出発することになった。私達は、転移魔法でダンジョンの第70階層に移動した。

 私は、スキル探索で、魔物の状態を確認した。すると、この第70階層には、他の魔物がいないことが分かった。ここにいるのは、ダンジョンマスターのレッド・ドラゴンだけだった。

 念のために、上の階層への入り口を闇魔法の結界で覆って、上の層から、魔物が下りて来ないようにした。

 「フヨウ、炎息ファイア・ブレスに注意してね。それから、喉の所にある逆鱗が見える?」

 「はい。見えます」

 「あの逆鱗の下が、急所よ。あそこに剣を突き刺してね」

 「はい、頑張ります」

 フヨウが、エルミアを連れて、レッド・ドラゴンの前に出て行った。炎息ファイア・ブレスが放たれる前に大きな口を開けて、一呼吸がある。その時が狙い目だ。

 フヨウは、ゆっくりと、逆臨を見つめながら、距離を詰めていった。

 私は、レッド・ドラゴンが空を飛ばないように、氷柱アイス・ポールで翼を切り裂いていった。暫く、繰り返しているうちに、フヨウが、逆鱗に剣を突き刺した。しかし、レッド・ドラゴンの鱗は非常に硬く、フヨウの剣を弾き飛ばしてしまった。

 そして、レッド・ドラゴンの大きな口が開かれようとしていた。

 「フヨウ、避けて!」

 私は、思わず、大きな声を出してしまった。フヨウは、頷きながら、旨く、炎息ファイア・ブレスを避けていた。

 エルミアが、風魔法で、逆鱗に攻撃しようとしていた。

 「風カッターウィンド・カッター

 エルミアの魔法は、効果がなかった。そこで、私も、支援することにした。

 「風カッターウィンド・カッター

 逆鱗に風カッターウィンド・カッターが、命中して、少し、ヒビが入った。

 「エルミア、今よ」

 「はい。風カッターウィンド・カッター

 逆鱗への攻撃は、少しずつ効果を出していた。

 「エルミア、繰り返して!」

 「はい。
 風カッターウィンド・カッター
 風カッターウィンド・カッター
 風カッターウィンド・カッター

 逆鱗は、大きくヒビが入った。そこに、すかさず、フヨウの剣が突き刺さった。

 「ドリャー」

 フヨウは、剣と共に、レッド・ドラゴンの首にぶら下がってしまった。

 私は、風魔法で、フヨウを包み込み、地面まで、静かに下した。そして、アイテムボックスから、剣を取り出して、フヨウに渡した。

 「もう一度、攻撃してね」

 「はい」

 フヨウは、もう一度、逆鱗に剣を突き立てた。すると、やっと、鱗が割れて、下の肌が見えた。

 「フヨウ、今よ。止めを刺してね」

 「はい」

 フヨウは、レッド・ドラゴンとの距離を詰めて、一気に、急所に剣を突き刺した。

 「グギャー」

 大きな声と共に、レッド・ドラゴンが倒れた。そして、大きな魔石が飛び出した。それと共に、ダンジョンコアが現れた。

 私は、ダンジョンコアを闇魔法の結界で覆ってから、アイテムボックスの中に入れた。大きな魔石はパープルが拾ってアイテムボックスの中に入れていた。

 「フヨウ、やったね」

 「はい」

 「エルミアもうまく援助していたわ」

 「キリに、助けられました」

 「私が、手を出さなくても、時間の問題だと思うわ」

 「皆さん、ご苦労様」

 ミユが、声を掛けて、アイテムボックスから、食事を出している。少し、休憩してから、冒険者ギルドに帰ることにした。

 私達は、食事をしながら、ダンジョンマスターとの戦いを振り返っていた。フヨウとエルミアは、うまく連携が取れていた。レベル80のレッド・ドラゴンを自力だ倒せるまでに成長していた。

 これで、本当に、Sランクパーティーになった気がした。私一人のパーティーでないことが、実証された気分だ。
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